【SONY】とりあえず買ったα7RIIIが今、手放せなくなった訳。
2019年の春、ちょうど三年前。そろそろα7RⅣが発売になるんじゃないかと噂される中、α7RⅢを購入しました。
新品で安心サービス付き、ショッピングクレジット36回払い。三年間は使い倒すぞ、という気概。
今の私も大して変わってはいないですが、当時の私にしてはそれはそれは大きな買い物で緊張したのを覚えています。
それまではCanon EOS 7D MarkⅡを使っていました。
高校に上がる時に買ってもらった大切なそのEOSを手放した理由は、今後苛烈を極めるであろうミラーレスカメラの波に乗り遅れまいという気持ちと、あとから紹介しますが、一目惚れしたとあるレンズを使う為。今でもその判断に後悔はありません。
しかし、購入した当時は思いもしなかった誤算がひとつ。
このカメラを使い尽くしたと思うには三年じゃ到底足らぬ、ということ。
大変です、詳しくお話させてください。
SONY ILCE-7RM3 + SIGMA Art 30mm F1.4 DC HSM
まず前提として、まだまだ知識の浅かった私はそれなりに無知であることを自覚していたので、三年間の分割支払いが終わったら上位機種に乗り換えよう、その三年間で良い機種を見極めよう、と考えておりました。
実際、この期間のうちに次のモデルである「α7RⅣ」や、軽量コンパクトなフルサイズ「α7C」、それに待望の「α7SⅢ」、「α1」まで登場することになります。一見すると、(もうちょっと購入を待ってこれらの機種にすべきだったのでは?)と思われるかもしれませんが実はそんなことはありません。
SONY ILCE-7RM3 + voigtlander MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical
手放せない理由一つめは、言わずもがな高画質であることに由来します。
α7RⅢは、SONYが展開するミラーレスカメラの高画素機ラインナップ3代目。
有効画素数4000万画素オーバー、ローパスレス、裏面照射型CMOSセンサーは描写力に関して文句は言わせません。そのうえ、想像していたよりもずっと高感度に強い耐性を持ち、やや心配していた暗所での撮影も思いのままでした。
と、ここまではスペックの記載を読めばある程度わかること。想像をはるかに超えたのは「Voigtlander MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical」との相性の部分。冒頭で“一目惚れしたレンズ”と言ったのがまさにこのレンズ、アポランター65mmでした。
高画質な写真を撮ろうとするうえではセンサーの解像力に意識が向きがちですがそれはもちろんのこと。そして、その上で同時にレンズからの光が大事になってきます。このレンズはハーフマクロレンズとしてある程度寄った撮影が可能なほか、高い評価は描写力と滑らかさという相反するテクスチャー両方の表現にあります。
SONY ILCE-7RM3 + voigtlander MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical
SONY ILCE-7RM3 + voigtlander MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical
普段、マクロレンズとしてではなく日常使いの65mmレンズとして使用していますが、たまに本来の得意分野であるマクロ撮影をしてみるとやはりこれは驚かされます。上の写真はたった0.1カラットのアレキサンドライトという宝石。大きさで言えばほんの1ミリ程度のものです。
三脚に固定して最短置きピン、APS-Cクロップ機能も併用することで換算およそ98mm相当。それでも等倍マクロとはいきませんが、画素をずらして4枚の写真を合成するピクセルシフトマルチショットを使うことで人間の目では到底見えない細かさで描き切ります。
こんなことが平日の夜、お酒を飲みながらテーブルの上でできるのですから、今のカメラってすごいなと感服させられるばかり。
くれぐれも手元には気をつけてください。石、落っことしたら絶対に見つかりません。
さて、これが手放せなくなった理由の一つ。
このレンズを使う為にカメラを変え、そして使っているうちに「このカメラでないといけない」と思ってしまったのです。
まだいくつか疑問符が浮かんでいますね、続けます。
SONY ILCE-7RM3 + SIGMA Art 30mm F1.4 DC HSM
二つめ、動画撮影における優位性です。
最近はこのカメラで動画撮影も行うようになってきました。
動画を撮る上でもある程度高画素であることは嬉しいこと、しかし同時に、高画素になればなるほど高感度でノイズが発生してしまうのもまた事実。だからこそ低画素センサーを搭載して動画撮影に特化した「α7S」シリーズがあるわけですが…欲張りな私は超高精細なセンサーも欲しい。
「α7RⅢ」であれば動画で少し感度を上げたって問題ない、なおかつ静止画で細部までバシッと決めたい。つまり“ちょうどいい”のです。
下に掲載するのはRⅢで撮った動画です。是非ご覧ください。
「高画素機だし動画はそんなに得意じゃないかな?」
アポランターを活かしたいがあまりそう思いつつα7RⅢを買いましたが、試しに撮ってみたらすべてが覆りました。
この動画のように明るいところであればNDフィルターを活用しさえすれば感度はもちろん下げたまま。
暗所で感度を上げてもそこまで気にならない程度のノイズ。
どうしても気になるのであれば…そうですね、レンズを変えましょう、そう、明るいレンズを着ければ解決。
Leica M10-Pを買おうかと検討もしてはいます、がしかし動画撮影の機能がもともとありません。
仮に買うとしてもα7RⅢを手放すことはまずないでしょう。
SONY ILCE-7RM3 + SIGMA Art 30mm F1.4 DC HSM
そして三つめ、SONY FEマウントの万能性たるや。
もうこれに関してはその言葉の通りです。一眼レフ用レンズやライカレンズを少しですが嗜むうえで、ここまで豊富にアダプターが揃っているマウントはおそらくまだありません。圧倒的に選べるバリエーションが広いのが魅力です。
私は主にライカM、M42スクリュー、シネマ用C、CanonEFマウントを愛用しています。それぞれのマウントアダプターにそのマウントで一番好きなレンズを常に着けた状態で撮影の準備は万端。その日の気分と天気、被写体に合わせて数多くの選択肢を検討できる魅力。なかなか他のマウントでそうはいきません。
SONY ILCE-7RM3 + Leica Hektor 73mm F1.9
SONY ILCE-7RM3 + Leica Hektor 73mm F1.9
私が使っているレンズの中で一番新しいものは現在でも発売されている最新のものですが、一番古い物は1932年製。
今年2022年でちょうど90歳になります。それでもなお現役でこうして使い続けられるのですから技術の進歩に感謝しています。
種類によっては製造に100年近い差があるレンズを撮り比べ放題ですから、αボディは実質カメラ史100年間の軌跡を手のひらの中で楽しめる“機械”であり、丁度いまの時代がそういう恵まれた“機会”でもあるのだと思います。大げさでしょうか?でも素晴らしい時代であることには変わりありません。
・・・
いかがでしたでしょうか。
今私が個人的に感じている大きな魅力は以上の3点ですが、これらを邪魔してしまうような「マイナスポイントが無い」ということも魅力の一つとして考えていいと思います。α7RⅡより大容量に改良されたバッテリー、チルト液晶の見え方、連写性能、操作感、見た目や重量、なにひとつ大切な撮影を邪魔する要素はありません。
さらに言えば、私が当時新品でレンズと一緒に40万円近くしたボディが、中古であればいま20万円を切っているという事実。
オールドレンズを楽しむため買うもよし、マクロ撮影用に買うもよし、もちろん動画と写真の両立も不可能ではない事もご覧いただけたかと思います。趣味として日々を残すという上で要求されるスペックを軽々と越えてくるカメラです。
SONY ILCE-7RM3 + SIGMA Art 30mm F1.4 DC HSM
三年前の自分を褒めてあげるため、これからもこのボディと多彩なレンズで撮影を楽しみます。
もちろん今からでも全く遅くはありません、ぜひ、“とりあえず”「α7RⅢ」を手にしてみてください。
そして自分に必要な特徴を見極められたら、それぞれに更に特化したボディへ進んで頂ければと思います。
幸いにも、α7シリーズ、α7Rシリーズ、α7Sシリーズ、そしてα7Cとα1、今のSONYフルサイズ機は最高の状態で揃っています。もしかしたら、私と同様に「α7RⅢ」を手放せなくなっているかもしれませんが。
それでは、この春から快適なαライフをお楽しみください。