突然ですが、この写真はどのカメラで撮影された写真かお分かりになりますでしょうか。
一眼レフ?
ミラーレス?
高級コンデジ??
本ブログのタイトルで察しがつくと思いますが
1/2.3インチ小型センサーを搭載したコンデジで撮影したものです。
一眼でもなく、ミラーレスでもなく、高級コンデジでもない
ファミリー向けのセンサーサイズが小さいコンデジで撮影されたものだと聞くと、驚く方もいるかも知れません。
近年、スマートフォンを筆頭にした気軽に写真撮影ができるデバイスとの差別化を図り、フルサイズミラーレスや大型センサーを搭載したコンデジが主流になってきました。
その中で残念ながら縮小を続けている1/2.3センサーを搭載したコンパクトデジタルカメラ。
コンデジ全盛期は各メーカーがしのぎを削り、技術力をつぎ込んだ新製品が出るたびに革新的な技術が搭載され、すごい!と感動していた頃を懐かしく思う方も多いかもしれません。
しかし、近年もコンデジは進化を続けており、全盛期とは比較にならないスペックを手にしていました。
マップタイムズやkasyapaでもあまり取り上げることのない1/2.3センサー搭載コンパクトデジタルカメラ、今だからこそ改めてその魅力に迫ってみたいと思います。
今回はSONYから発売されているDSC-HX99を片手に、限られた時間の中ではありますが、様々な撮影にトライしてみました。
センサーは先述の通り”1/2.3型 Exmor R CMOS センサー”を搭載しており、SONYのお家芸である裏面照射型CMOS技術が使用されています。
レンズはZEISSバリオ・ゾナーT*レンズ≪レンズ構成:10群11枚(非球面レンズ5枚)≫と、小さいながら11枚のレンズを使用することで高倍率ズームを可能にし、非球面レンズ5枚搭載と光学性能にも力が入っていることが伺えます。
このレンズの焦点距離は”24-720mm”と、近年コンデジの主流となっている高倍率ズームレンズでありながら、242gとコンパクトなボディサイズに収まっています。
家族写真から風景写真、スナップから子供の運動会までこなすことが出来るオールインワンのコンパクトデジタルカメラに仕上がっています。
このクラスのコンデジは保存形式としてJPG一択とされているのが一般的ですが、DCS-HX99はRAW撮影ができ、撮影後に自宅でゆっくり調整できるのも大きなポイントです。
(ちなみに、小型化に伴い記録メディアがmicroSDカードとなっているので注意が必要です)
以下に掲載される写真は全てSONY DSC-HX99にて撮影された作例です。
RAW形式で保存の上、最低限のカラーバランス、露出の調整、ノイズ処理を行っています。
小型センサー搭載のコンパクトデジタルカメラにも様々なメリットがありますが、その一つに最短撮影距離の短さがあります。
一枚目のおはじき写真の左端の繊維を見て頂ければわかるとおり、接写でも周辺部までキレのある描写が維持されているのがわかります。
ガラスの透明感のあるクリアな質感も表現されており、マクロ性能の高さが窺えます。
フクロウの写真は薄暗い環境下での撮影でしたので、感度を上げたことでノイズが出てしまっています。
しかし、羽の質感は損なわれておらず、しっかりとノイズ処理を行えば十分に実用に耐えうるのではないでしょうか。
少し時季外れになってしまいましたが、色づいた葉もマクロで撮影してみました。
一枚目の写真のように、ズームしつつ最短撮影距離付近で撮影すれば、小さなセンサーでも十分にボケを生かした撮影が可能に。
二枚目のような広角側ならではのダイナミックなマクロ撮影は、小物や花の撮影だけでなく、小さなペットや昆虫にも積極的に活用したいところです。
ここまで良い点ばかりを挙げてきましたが、他の小型カメラと同様に強い逆行時には、光源に対しては特徴的なフレアが発生してしまいます。
橋に太陽の光が当たって反射している部分は特に分かりやすいのではないでしょうか。
ダイナミックレンジもセンサーサイズが小さい故、どうしても白飛びしてしまいがちではあります。
キラキラ光る水面の反射なども、場合によっては少し気になるかもしれません。
フレアや白飛びしやすい特性を生かせないかと思い、水が撒かれたアスファルトを撮影してみました。
明暗さを大胆に活かしながらホワイトバランスも調整することで、いつも気にせず歩いている歩道も幻想的な雰囲気に。
カメラ側で変更しながら撮影もできますが、RAW対応の本機種では自宅に帰ってからゆっくりホワイトバランスの調整を行うことが可能です。
調整前提で構図だけささっと決めて撮影が出来るのも、本機の魅力です。
DSC-HX99をポケットに忍ばせ、近所の公園をぶらぶらと散歩しながらスナップ感覚で撮影を行いました。
先ほど逆光では…との記述をしましたが、少し意地悪な環境下での撮影でしたので、通常使用する分にはあまり気になる事もなく、綺麗な写真を描き出してくれました。
木の凹凸の質感や自転車のイスの光沢感もしっかり出ており、ワンランク上の写りを楽しませてくれます。
お洒落なカフェがあったので、少しローアングルめに一枚パシャリ。
本機は可動式液晶を備えているので、腰の位置までアングルを落とすことも安易に可能です。
街中で腰をかがめて…なんて撮影をしていると目立ってしまいがちですが
姿勢を変えずにアングルを変更できるのも本機を使っていて感じたうれしいポイントです。
コンデジでは厳しいと思いがちな明暗差のある写真も、露出さえ整えれば一眼レフに決して劣らないレベルで撮影が可能なことに驚きました。
昔のデジタルカメラでは明るいところは白飛び、暗いところは黒つぶれ…なんて撮影環境でも階調がしっかり表現されており、SONYセンサーの技術力の高さが実感できると思います。
本機の特徴である高倍率ズームを活かして、野鳥の撮影も少し行いました。
720mmの世界では手振れが気になるところですが、手振れ補正のおかげで安定して被写体をとらえ、撮影する事ができます。
ゆっくり泳いでいる鴨に対しては高速AFでピタっとピント合わせができ、一眼レフさながらの一枚に。
比較的動きの遅い被写体であれば、テレ側720mmでも十分な結果が得られそうです。
本機はシャッタースピード優先での撮影も可能でしたので、上限である1/2000秒での撮影も行いました。
ハイエンド機やレンズ交換式カメラは1/4000~8000秒で撮影が出来る中、1/2000秒では少し心許無いと思うところではありますが、ポケットサイズで持ち歩けるカメラという前提であれば必要十分であるとも言えます。
流石に鳥の羽ばたきを止めることはできませんでしたが、顔の部分はしっかり止まっており、ちょっとした撮影には十分耐えうるのではないでしょうか。
さすがに噴水の撮影は意地悪かな?と思いながらトライしてみましたが、水玉一つ一つをしっかりと捕られており、シャープさには欠けるもののここまで出来るのか!と感心した一枚に。
(背景の白い線はツリーを支えるワイヤーです)
最後は夜景の作例です。
クリスマスシーズンはデートや家族で、夜景やイルミネーションを楽しむ方も多いと思います。
そんな時に大きな一眼やカメラはちょっと…という時にもポケットサイズの本機は大活躍。
スマートフォンよりワンランク上の撮影を手軽に楽しむことができます。
180度可動式液晶モニターも搭載しているので夜景と共に自撮りしたり
その写真をWiFiでスマートフォンに送信することも安易に行うことが出来るのもうれしいポイントです。
少し遠いところにあるクリスタルのシャンデリアも高倍率ズームの本機であれば簡単に撮影することができます。
このようば場所で600mmを超える大きなレンズを使うのはさすが躊躇ってしまうところですが
ポケットからササっと取り出し、スマートに撮影することができました。
肝心の画質もクリスタルの質感がしっかりと描写されており、立体感のある一枚に。
ちょっとした夜景の撮影では、超小型三脚での長時間露光での撮影もオススメです。
感度を少しでも上げたくない場面では、シャッタースピードを遅くすることでノイズの少ないクリアな夜景撮影が可能になります。
光源が強いところでは少し白飛びしてしまっていますが、ノイズレスのかなり綺麗な画質を得られることができました。
以上、少し長くなってしまいましたが、SONY DSC-HX99のレビューを締めたいと思います。
実際に本機を使ってみた感想としてはスゴイ!の一言。
ここまで撮れるのであれば重たい一眼レフは要らないのでは…なんて思わせてくれる機種になりました。
ファミリーフォトや荷物を少なくしたい旅行での撮影で大活躍の本機。
写真好きな方もポケットに忍ばせておけば、オールマイティに活躍してくれること間違いなし。
高性能カメラに目が行きがちですが、今を生きるコンデジも是非思い出していただければ幸いです。