
先日、SONYから新作Macroレンズが発表となりました。
『FE 100mm F2.8 Macro GM OSS』は、G Masterシリーズの中で初めての中望遠マクロレンズです。
現在までにSONY Eマウントで活躍しているマクロレンズは「FE 50mm F2.8 Macro」「FE 90mm F2.8 Macro G OSS」「E 30mm F3.5 Macro」の3種類。ここに今回さらに強力な1本が加わることにより、SONY Eマウントにおけるマクロ需要はほぼ完ぺきに満たした形となりました。
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さて、マクロレンズと言えば「近接撮影しかできない」や「マクロ専用レンズ」などと思われがちですが、あくまでマクロレンズは「近接撮影の際にも良好な画質が得られるように設計されたレンズ」であり、当然遠くの被写体にもきちんとピントが合って解像されるように設計されています。つまり通常のレンズと比較して近接から望遠まで自由なレンジで撮影が出来るのでとても扱いやすく、どこにでも何にでも持ち歩けるようなおすすめレンズとも言えるのです。
今回はその中のうちの一つ「FE 90mm F2.8 Macro G OSS」レンズと「SONY α7II」のボディを使って私の身の回りにあるお気に入りの物を撮ってみました。
シルバーでベーシックな見た目でどのコーディネートにも合う「Cartier」の時計、文字盤には細かいラメが入っています。外に持ち出すとそのラメがキラキラと光を反射し、身に着けても気分が上がる時計の一つです。日常生活ではゴールドのアクセサリーを身に着けることが多く、シルバーや時計をあまり身に着けていないのですが時々お出かけをする際に身に着けるのがお気に入りです。
親戚が付けていた「Rolex」、沢山使った跡があるもののその輝きは衰えません。通常の撮影距離では周りと同化するような細かいキズやボディそのものの質感までマクロレンズならではの近接能力で写してくれました。このレンズ、開放で撮影を行うと想像以上に被写界深度は浅くなりピントの合う範囲が狭くなります。なので少し絞りながらの撮影になりますがそれでもGレンズならではのやわらかいボケを出してくれます。照明のオレンジの光も柔らかいボケとマッチして独特な光を浮かび上がらせることができました。
こちら、「Tiffany & Co.」のハートの形を模したピアス。見ているだけでも実際に身に着けても可愛すぎてテンションが上がります。パッケージがかわいいのもこのブランドの特徴。レンズの側面に「フォーカスレンジリミッター」が付いているので簡単にピントの合わせる距離を変えることができシビアなピント合わせも難なくできます。
更に寄って最短撮影距離:0.28mで撮ってみました。少しボケの範囲が大きくなってしまいましたが文字凹凸がわかる程ハッキリ写ります。
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次に近い焦点距離のレンズ「FE 85mm F1.8」で同じピアス撮影をしてみました。
マクロレンズではないので最短撮影距離は0.8mとかなり離れなければなりません。今回撮影した場所では後ろに下がるスペースもなかったので椅子の上に立ちがり上に腕を伸ばし、さらにAPS-Cクロップを用いてようやく画角に収めることができました。このように別のレンズと比較しながら撮影を行うといかにマクロレンズが近接撮影で使いやすいかを痛感。
普段身に着けるアクセサリー。身にまとって楽しむだけでなく様々な視点で写すことで非日常の楽しみ方を味わうことが出来るのは真に一石二鳥です。
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最後に「FE 90mm F2.8 Macro G OSS」を使ってアクセサリー以外を撮影をした作品をご紹介します。
こちらはハイビスカスの花。
夏の花としてのイメージが強いハイビスカスの花ですが最近の気候だと30度以上だと咲きにくくなるので9月を過ぎて涼しくなってきたあたりから見事な花を沢山咲かせます。
さらに寄ってみました。ハイビスカスは一つの花に雄蕊と雌蕊の両方を持つ「両生花」です。中央にある5つの分岐している部分が雌蕊で細かい毛が生えているのがよくわかります。そして芯の部分は渦巻きながら先端の方まで伸びている事が確認できました。雄蕊の方には細かい花粉がたくさんついており,その細かい粒の様子までわかります。家の花壇で沢山の花を育てていますがマクロならではの世界観で気付けることが多くとても面白いと感じました。
こちらは花壇に仲間入りつい先日仲間入りしたお花です。実際のサイズは親指の先程の小さい花なのですがしっかりと寄って撮影することが可能で、葉の裏側の繊維や花びら一枚一枚の色彩の変化の様子など細かな部分まで視認できるのが個人的に好み。またAF・MFの切り替えも、搭載されている「リングスライドスイッチ」で簡単に切り替えることが出来ます。低い花壇の撮影で体勢がきついものでもスイッチをスライドさせるだけで変えられるので撮影に大変役立ちました。
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「α7Ⅱ」と「FE 90mm F2.8 Macro G OSS」の組み合わせは、今なおその描写力の高さを実感することが出来ました。発売から10年以上が経過したボディでの撮影であったため多少暗部はノイジーな印象を受けたものの、マクロならではの被写界深度の浅さを和らげるような視覚効果もあり滑らかな雰囲気が良くマッチしました。マクロレンズは寄っても引いても細部の質感を丁寧に写してくれる一方で、背景や前ボケは自然で被写体をより引き立ててくれます。腕時計の金属光沢や花弁のグラデーションまで普段見えないところまで鮮明に写し、あまりマクロレンズを使うことが少ない私ですが、マクロならではの世界の広がりを感じることが出来ました。
次に控える「SONY FE 100mm F2.8 Macro GM OSS」では更なる高解像とAF性能の進化が予感されます。
これからのマクロの世界を広げてくれる新たな一本ですが、今手に取れる90mm Macroも変わらず、第一線で活躍し続けるものだと思います。
その2つをどう使い分けていくのか、これを機に今後が楽しみになりました。