FE 50mm F1.4 GMが発売されました。
GMレンズらしい素早いAFと解像力の高さが楽しめるレンズです。
しかし同じ焦点距離、同じF値でもう一本SONYのレンズがあります。
それは、Planar T* FE 50mm F1.4 ZAです。
2016年に発売されたレンズで、今回のGMレンズが発売されるまではSONYのレンズでは50mmF1.4のレンズと言えばこのレンズでした。
新しいレンズは、一般的に軽量化が実現し、AFの速度もより正確に、より速くなっていることが多いです。
それだけ聞くと「やはり新しく発売されたレンズを買っておけばいいか」となりそうです。
では、そんな中でPlanar T* FE 50mm F1.4 ZAを使う意味とは何か。
このレンズの魅力は何か。
私は、それがとにかく知りたくなりました。
そこで、α7Ⅲとさっそく合わせて写真を撮りに出かけました。
新緑が眩しい公園に来ました。ちょうど平日のお昼時。近所の会社に勤める方が公園でのんびりお昼ご飯を食べていました。
その背中にピントを合わせてみます。
かなりずっしりしたレンズではあるので気軽に構えてさっと撮影し歩き出す、ということはできませんでした。
左手をレンズの下に添えてファインダーをしっかり覗き込みます。
少し明るめに撮影しましたが、白飛びなどもありません。
むせかえる様な緑が印象的でした。
時々晴れ間は指すもののこの日はどんより曇り空でした。
ぽつりぽつりと考え事をしつつ1人で公園を歩きます。
そんな中で、たまたま空いているベンチが2つ。
手前か奥か。どちらにピントを合わせるべきか少し迷いながら結局奥のベンチにピントを合わせます。
AFはやや迷いを見せて何度かレンズ内を行ったり来たりしていました。
やはり、AFが少し…と思いながら撮影画像を確認します。
ピントを当てたベンチだけにスポットライトが当たっているかのような描写で驚きます。
SONYのレンズの中では抜群の芸術性を感じました。
「思いやりのある利用をお願いします」という文言に惹かれて一枚シャッターを切りました。
ピントを合わせるものが一つぽつんとある場合、AFはすんなり合います。
スポーツや野鳥などを撮影するのには確かに不向きなレンズではありますが、スナップや静物を撮影する分には申し分ありません。
そして、光を取り入れるのが得意なレンズのようです。
太陽の光をうけて草がキラキラ光っています。
看板の文言と合わせてなんだか優しい世界のようです。
ボートに乗る人々でにぎわうボート乗り場の隣には、おそらく現役を引退したであろうボートがたくさん浮かんでいます。
そこだけ時間が止まったかのようにしんとした時間が流れていました。
これまで何人もの人を乗せて湖を行ったり来たりしてきたボートたちです。
静かな余生を邪魔しないように木の影からそっと一枚。
木の影が黒くつぶれておらず、深緑の苔なども描写されていることがわかります。
今回ボディで選んだのはα7Ⅲです。
後継のα7Ⅳが発売されていてもなお人気の高いカメラです。
今回、私が一番α7Ⅲいいな!と思ったところはシャッター音です。
他のSONYのカメラの場合、少し大人しい機械音になるものが多いかと思うのですが、このカメラはメカニカルなガシャンという音が心地よいです。
性能がカメラを選ぶ際の一番の決め手になることはもちろんですが、シャッター音やカメラを握った際のしっくりくる感じも大事だなと思います。
ふと思い立ち、クリエイティブスタイルを使ってみることに。
日がちょうどかげっていたころということもあり、明度を下げたモードが映えるのではないかと考え、「ディープ」モードを選びました。
SONY公式サイトによると、ディープモードは「明度を抑えた、落ち着きのある雰囲気。重厚感のある表現に」ぴったりとのことです。
ピントをタンポポの綿毛に合わせて一枚。
確かに、青みが強くなって深みが出た印象です。
SONYにあまりこういった撮影モード変更のイメージはありませんでしたが、使ってみるとなかなか楽しいです。
他にも「ライト」「クリア」といった軽やかに明るくなるモードもあるようです。
季節柄、たくさんの花が咲いていました。
それぞれの写真、すべて花がきれいに撮影できていますがボケの感じがすべて違う味になっています。
特に気に入ったのは一枚目の赤いツツジの写真です。
ボケがバブルボケかのような圧倒的ボケだなと思いました。
他のSONYレンズは見たものをそのまま写し取る優等生なイメージですが、たまにこのような期待を裏切ってくるのがPlanar T* FE 50mm F1.4 ZAならではの味だと思います。
あまり型にはまって固く考えすぎず、たまには自分らしさを持ち味に行動してみては、とレンズに言われたような気がします。
少し疲れたのでケーキを食べました。
以前はほとんど甘いものを食べませんでしたが、ここ数か月で甘いものを好むようになってきました。
短期間で変わっていくこともあるものだ、としみじみしながら食べます。
最短撮影距離は45cmのため、このようなテーブルフォトも可能です。
タルトのしっとりとした描写もお手の物です。
・・・
Planar T* FE 50mm F1.4 ZAを使うからこそ味わえるものは何か。
写真にまで入り込むしっとりとした空気感や、少しクセのあるボケ。
このレンズにしか出せない写りというものは確かにそこに存在しています。
毎日、決まったスケジュールで忙しく生きていく中で少しずつ取りこぼしていきそうなものにちゃんとスポットを当ててくれるレンズだと思いました。
少し一息つきたい時、一回深呼吸して立ち止まりたい時に隣にいて欲しいレンズです。
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