好きじゃなかったものが好きになる瞬間は皆さんにはありますでしょうか?
ブラックコーヒーが美味しく感じるようになったり
ミネラルウォーターを買って飲むようになったり
紅生姜が食べられるようになったり
紫蘇が食べられるようになったり
辛いものが好きになったり
“モノクロ写真がいいと思えるようになったり”
子供の頃、洋服以外は色のついたものが好きでした。
写真はカラー写真にしか興味が無く、絵を描くときは絵の具を使ってカラーイラストを描いたり、カラー写真で色味をこだわるために現像の勉強を一時期没頭していました。
美術部に所属をしていた時に感じた「色を付ける愉しさ」にずっと捕らわれていたのかもしれません。
そんな筆者の転機。ある写真展で見掛けたモノクロ写真。
モノクロ写真であるにも関わらず、筆者には色づいて見えたのです。その想像した色が正しいか、そんなことは分かりません。でもその想像する「色」の世界に筆者は強く心を惹かれました。
ILCE-7RM4/ピクチャーエフェクト:ハイコントラストモノクロ
さて、かなり前置きが長くなりました。
今回は漠然と「モノクロ撮りたい…!」という感情だけがあり何を撮りたいかは全く考えておりませんでした。
考え抜いた末に連想ゲームのようにモノクロといえば…スナップでは?と思いついたので早速撮りに出てみることに。
しかし、筆者はスナップがあまり得意ではないことを忘れていました…。
写真やカメラ好きには、様々なタイプがあると思いますが大別するとしたら主に「撮る」ことを楽しむ人と、「写真」を楽しむ「作品」作りを楽しむ人がいると思います。
筆者は後者で「撮る」行程はあまり重視せずで機材選びは使いやすさやAF精度などの性能重視で選んでました。加えて、被写体には人物や動物がほとんどでスナップのように抽象的な被写体を相手に撮影したことがありませんでした。
とりあえずカメラを持ってフラッと、というよりかは撮影には機材をしっかり準備してガッツリ撮影というスタイルがほとんどで、昔に挑戦したスナップは何を撮っているのかが分からず、モヤモヤした不完全燃焼のような形で終わった経験から苦手意識のようなものがありました。
ILCE-7RM4/ピクチャーエフェクト:ハイコントラストモノクロ
ILCE-7RM4/ピクチャーエフェクト:ハイコントラストモノクロ
しかし「モノクロを撮りたい…!」この感情を抑えられないため被写体を決めないままとりあえずスナップに出てみることに。
すると、どうでしょう?悪くない気がします…!上手く言葉に出来ませんが、何となくそれっぽい雰囲気のある写真に見えなくもない気がします…!
撮影中は特にあまり写真を見返さず気ままに以前に挑戦したような感覚でサクサクと撮り進めて行きました。帰宅しデータを見返してみて心がザワつくような衝撃を今でも覚えています。
あ、なんか…いい!
何故そう感じたのか、このザワつくような高揚感。写真撮っている!!自分写真上手いな!!と錯覚を感じさせる満足感。筆舌に尽くし難いこの感情。
SIGMA fp/カラーモード:モノクローム
SIGMA fp/撮影後Photoshopにて加工
SIGMA fp/撮影後Photoshopにて加工
SIGMA fp/撮影後Photoshopにて加工
どう考えても筆者の乏しい語彙力ではこの何とも言えない感覚を上手く言語化出来ないのですが、今回の様な成功体験があると苦手意識なんてものが嘘のようにスナップ写真への意識が前のめりになりました。
特に興味を持たなかったモノクロ写真から感じるこの形容しがたい魅力。子供の頃嫌いだったものを大人になってその良さが分かったような感覚。
今までカラー写真だけにしか向けていなかった目をモノクロ写真に向けてみるとそれまで見えていた世界が大きく形を変えて広がったようなそんな気がします。今思えば何かにこだわり過ぎていたのかもしれません。
筆者に見えていた苦手意識の様な壁は見方を少し変えたら何でもないただの薄い布みたいなものでした。
これからは、スナップもモノクロも写真を楽しむ手段としてもっと挑戦していきたい。と、そう思えるような出会いをくれたあの日のモノクロ写真には感謝しています。
もしかしたら、その写真がすごくいいと感じることが出来たのは筆者が大人になったからかもしれません。なんて思ってみたり。
ではまた。