【Voigtlander】マップカメラだけで購入できる特別な「NOKTON 23mm F1.2 Aspherical SC X-mount」
FUJIFILMMapCamera 30th Anniv. EditionVoigtlanderカメラを愉しむスタッフおすすめ機材単焦点を楽しむ夏めく
連載中の「カメラを愉しむ」vol.91は「マップカメラだけで購入できる特別なVoigtlander NOKTON 23mm F1.2 Aspherical SC X-mount」をご紹介いたします。
前回に続きマップカメラ創業30周年を記念して「株式会社コシナ」様と特別に共同開発したわずか300本限定のフジフイルムXマウント専用交換レンズ『Voigtlander NOKTON 23mm F1.2 Aspherical SC X-mount ~MapCamera 30th Edition~』を撮影に持ち出しました。今回使用したカメラボディはX-Trans CMOS 4を搭載した小型軽量モデル「FUJIFILM X-S10」に装着して撮影。第4世代センサーとの相性はいかに。
通常モデル「Voigtlander NOKTON 23mm F1.2 Aspherical X-mount」は硬質鉛筆でデッサンしたような線描写を感じられる写りで非常に人気のあるモデル。このレンズをベースにマップカメラとコシナ共同開発で外観デザインの変更やコーティング変更などを実施し、特別な1本として仕立てた究極のNOKTON。マルチコーティングではなく、あえてシングルコーティングを採用することで逆光やフレアをも楽しむ。あっさりと繊細な描写をより味わえる1本に仕上がっています。
夕方6時から撮影をはじめましたが、空はまだ青空。陽が伸びたな〜と感じつつシャッターを切りました。マルチコーティングモデルよりもすっきりとした描写でより繊細な印象を受けます。
絞りは開放F1.2で鬼百合を狙います。落ち着いたトーン、花びらや葉の輪郭も現代のレンズではなかなかお目にかかれない味わい深いボケ味です。最新レンズながらまるでオールドレンズのような表現ができるところがNOKTONに人気の秘訣かもしれません。
少しフィルムライクな表現をしてみたく「グレインエフェクト」を強に設定しました。シングルコートならでは表現が実に心地よい。
強い日差しに照らされる歩行者とその陰、フレアやゴーストも作品の一部になってくれるレンズ。普段であれば「厳しいシチュエーションだな」などと敬遠しがちなシーンですが、このレンズを持っていると不思議なもの。「お!逆光だ。いい写真撮れるかも」と強い日差しを探してしまいます。
だいぶ陽も傾き、コントラストの低いシーンになってきました。絞りF4での描写、全体的にシャープで引き締まった印象を受けます。F2.8あたりから徐々にシャープな描写に変化を遂げるその絞りコントロールが実に楽しい。
上の2枚はクラシックネガ、下の1枚はベルビアで撮影。普段からFUJIFILMのカメラをお使いの方であるとその違いがお分かりいただけるかもしれませんが、色味・コントラストともにとても落ち着いた表現をしています。そんな落ち着きの中にもシャープに水面の波紋を描いているところもこのレンズの面白いところ。
使えば使うほど味わい深くなる。だからこそフィルムシミュレーションも積極的に多用したくなることでしょう。
薄暗い公園に綺麗な紫陽花を照らすように街灯が。早速絞りを開放に、被写体に近寄り「ふわっ」としたボケ味を満喫します。ソフトレンズまでは行かないが、とろけるような優しさが1本で楽しめるのはとても嬉しい。
絞りをやや絞り込み、流し撮りなどにもトライしてみました。マニュアルフォーカスですのでオートフォーカスと比べると少し一か八かの勝負といったシーンになりますが、理想通りに仕上がった時は快感を覚えることでしょう。
この日は七夕ということもあり神社やお寺では夏祭りや七夕の短冊などが開催されておりました。
シングルコートの楽しさは夏にこそ活きる。強い日差し、抜けるような青空、赤提灯で彩る祭り風景など使えば使うほどその魅力を感じる瞬間が多くありました。通常モデルの既製品『Voigtlander NOKTON 23mm F1.2 Aspherical X-mount』と同じ画角ではありますが、そのレンズが持つ描写性能は全くの別物。
「使えば使うほど新しい発見があるレンズ」。赤出汁のパンチのあるお味噌汁がマルチコーティングだとすれば、お出汁の効いたお吸い物がシングルコートだろうか。レンズと向き合いながらこのレンズの味を活かすならどんなシーンが良いかとコミュニケーションをとりながら撮影するのがとても楽しいレンズ。今しか手に入らない銘玉を、ぜひこの機会に手に入れてみてはいかがでしょうか。