【Rollei】お散歩ローライ(ときどき、旅行)⑤春は梅の香りとともに
「天気も良いし、梅でも見に行こうよ!」
2月下旬の本当に暖かな日、いつもの休日のように遅めの朝食の後、妻を誘います。
「え、でもまだ早いんじゃない?」
早速スマホで確認する妻。
「『6分咲き』ですって。どうする?」
「むしろ『満開』っていう頃は、もう散ってるのも多いし、何より人が多くなっちゃうよ。平日だしちょうど良いんじゃない。」
そんなわけでお出掛けです。
向かったのは東京都大田区にある「池上梅園」。自宅から自転車で10分ほどの所にある区立の公園です。
日蓮宗の大本山「池上本門寺」の西に在り、丘陵斜面を利用し30種余りの梅が植えられています。
近いこともあり、毎年のように花見に行っています。
あれこれ用事を済ませ、家を出たのは世間で言うお昼の時間帯になっていました。
今回のお伴は「ローライフレックス 3.5E2(クセノタール)」
ローライ二眼レフカメラの完成型として有名な「ローライフレックス 3.5F」のひとつ前のモデル。
とはいえ、搭載レンズなどは全く同じ。違うのは、絞りとシャッタースピードの設定が露出計に連動しているかどうかなど、細かなところだけです。(もし中古で出ていたら、「ローライフレックス 3.5F」より格段にお安いので検討されても良いかと。)
搭載レンズは、シュナイダー製のクセノタール 75mm F3.5。同じローライフレックス 3.5シリーズに搭載されるカール ツァイス製 プラナー 75mm F3.5と当時からよく比較され、その優劣を様々な評論家や愛好家が口にしてきました。プラナー 75mm付きの3.5Fも所有し使い分けていますが、正直その差はよく分かっていません。
昔からよく「より柔らかな写りをする人物撮影向けのプラナー」と「より歪みの少ない風景撮影向けのクセノタール」なんて言われているのを信じて使っている次第です。
とはいえ、クセノタールでもごくたまに人物撮影しますし(勿論、妻ですが…)、プラナーを持っていっても撮影のほとんどは風景です(まれに妻を撮りますが…)。
クセノタールにするかプラナーか?、3.5にするか2.8か?、ご購入を検討されている方は、まずはじっくり悩みましょう。作例写真をあれこれ見たり、好きな写真家の使っているカメラを調べてみたり、勿論マップカメラ スタッフに相談されるのもアリ。そうやってじっくり悩んで、ついにコレと決めたら、自分の選んだカメラ・レンズが一番いいんだと信じて撮影を楽しみましょう。
では、撮影です。
園の入口付近は結構人も多かったのですが、既に見学を終え出ていく方も多く、思った通りそこまで混んではいないようです。
入場料100円(!)を払って園内に入ると、すぐに「6分咲き」の梅が迎えてくれました。
Rolleiflex 3.5E2(Schneider-Kreuznach Xenotar 75mm F3.5) FUJIFILM PROVIA 100F 以下、同じ。
確かにまだつぼみも多い感じ。でもそのつぼみも今にも弾けそうに膨らんでいて、「春が来た!」という感じが木全体から伝わってきます。
種類によってなのか、あるいはちょっとした日当たり等の条件の違いなのか、早くも満開なもの、逆にまだまだこれからというものもありました。
そんな梅の木々の間を歩くと、ほのかに感じる梅の香り。マスク越しでも本当にほのかですが香ります。
「いい香り…」後ろを振り向くと妻がいつの間にかマスクを取って花に鼻を近づけているところ。
(あ、ズルい…)私もあわててマスクを外し、胸いっぱいに香りを吸い込もうとしましたが、勢いよく吸い込むと逆にあまり香りを感じないから不思議です。ほのかに漂うのを感じ取るのが良いようです。
枝が重なっているところでは、絞りを開け気味に。手前の枝がしっかり浮き上がってくれました。
園内は斜面上に何本もの梅が植えられています。階段があり丘の上の方にも行くこともできます。下から見上げるもよし、上から見下ろすもよし。
上に上がると木の枝が目の前にあり、花々がすぐ目の前に。周りの人たちは持ってるカメラやスマホをグイと近づけて撮影を楽しんでいますが、ローライは最短撮影距離1m… そこで○○○ポケットからおもむろに便利アイテムを取り出す私。
「ローライナー ‼」
二眼レフカメラ ローライフレックスのための近接撮影用レンズです。二眼レフ用なので、撮影レンズとフォーカスレンズ双方に付けるようになっています。近接の強さによって、ローライナー1(100~45cm)・ローライナー2(50~31cm)・ローライナー3(32~24cm)と3種類あります。私は撮影の際は常にローライナー1と2をバッグに入れています。
カメラに装着しているのがローライナー1、手前の2つがローライナー2のセットです。厚い方はフォーカスレンズ用、中に斜めにガラスが入っていてパララックスを補正します。薄い方を撮影レンズに付けます。
ローライナー1使用
ローライナー2使用
ピンクの花は、なんとも可愛らしい感じ。人気があって皆さん撮っていました。
同じピンクでもちょっと異なるもの。これまた繊細な趣が。
背景ですが、木々の間から差し込む光が五角形になっています。絞り羽根の枚数が少なく、絞り込むとレンズ内に五角形が形作られるのですが、それがそのまま木漏れ日等の光源に表れます。
丘の上、ちょっと突き出した展望台的なところから望むと、ひょろひょろっと伸びる木が。青空の中に映える姿が面白く、ピントを合わせました。
そう、2月とは思えないような陽気、強い日差しに汗ばむくらいでした。
今回はカメラにリバーサルフィルムのFUJIFILM PROVIA 100Fを装填したのですが、大成功。この抜けの良い青はPROVIAならでは。ちょっと奮発した甲斐がありました。
丘を下り、園の奥を散策。和室や茶室が点在しています。それらのさらに奥へと分け入ると「座論梅(ざろんばい)」という希少な品種が植わっています。ここも毎年の撮影スポット。
ローライナー2使用
低い木で、首から提げたローライのウエストレベルファインダーを覗くと、スクリーンいっぱいに可憐な花々が。勿論ローライナーを付けて撮影。
ついつい近景ばかり撮っていたような気がします。ちょっと離れたところも。
白い梅の日陰になった手前部分や日の当たったところに対し、奥の赤・白・ピンクの梅たち、さらに奥の緑の木々や青空の写り具合が良い塩梅になっているように感じます。
より解像力の高いデジタルカメラで撮ると、背景がもっと主張してしまうことがあります。ちょうど下の写真のように。
撮影:APS-Cミラーレス一眼カメラ
って、実は今回APS-Cサイズのミラーレス一眼カメラも連れていっていました。(久々のお出掛けに気合いが入っていました。)
勿論、中判とAPS-Cというサイズの違いによるボケ方の違いもありますが、デジタル機の方が細密に写っているのは明らかです。
好みの問題になってしまいますが、2つを比べた時私は「ほどほど」の写りのローライに親近感を覚えてしまいます。
ローライナー1使用
枝垂れ梅を中腰になって下から撮ってみました。露出計の値よりオーバー目に。シロ飛びギリギリになりました。
気がつくと、それまでより明らかに人が増えています。入口の方から続々とやってきます。
どうやら昼時を過ぎ、近辺の介護施設などからマイクロバスに乗った団体が花見にいらしているようです。
丘の上に登られる方は少ないので、あっという間に下の散策コースは人でいっぱいに。
私の少し前を歩いていた妻と目が合いました。マスク越しでもニヤニヤしているのが分かります。
「また、年齢層高いね。」
私が妻を誘うとなぜかいつもご高齢(まぁ、私も限りなくそちら側ですが)の方の多いところになってしまいます。
私より少しだけ、気持ち、ちょっと若い妻は、その様子を見て「この中で一番若いかも…」なんて思っているのかいないのか。すみませんね、毎回。
「そろそろ、いいか!」
暖かな(ちょっと暑いくらいの)陽気のなかのお花見は、訪れつつある春を感じるのに十分なものでした。
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