ミラーレスカメラが大いに賑わう今日この頃、他の追随を見ない圧倒的高画素のミラーレスカメラが存在します。
その名は「GFX 100」
FUJIFILMのラージフォーマットミラーレスカメラのフラッグシップともいえるカメラです。
GFX 100の100は100メガピクセルを意味します。
つまり、なんと1億画素というわけです。
筆者が使っているGFX 50Rは5000万画素を有しますが、画素数に不安を覚えたことは全くありません。
そんな5000万画素の倍…?と何度も考え込んでしまうほど1億画素とは大きな数字。いったいどうなってしまうのでしょうか。
今回はGFX 100で撮影した作例、そしてその作例をトリミングしたものをご紹介しながら、GFX 50RとGFX 100での使用感の違いを綴りたいと思います。
今回は撮影地を動物園に決め、せっかくなら望遠レンズをとGF 250mm F4 R LM OIS WRを合わせました。
FUJIFILMで100といえば筆者はACROS 100のフィルムを思い浮かべます。こじつけにも近いですが、初めての撮影には迷いなくフィルムシミュレーションACROSを選択しました。
まず目にとまったのは「森の人」といわれるオランウータン、顔のしわ、毛の一本一本が繊細に描かれています。
早速一度シャッターを切っただけでGFX 50Rと明らかに違うところに気づきました。
AFスピード、そしてシャッターのフィーリングです。
像面位相差AF搭載とは知っていたもののラージフォーマットでここまでの速度が出るのかと大変驚きました。
感じたままにお伝えするならば、すっと吸いつくような感じがします。
GFX50Rと比べてみてもピントが合う感触が心地良いです。
そしてフェザータッチシャッター、感触については好みがわかれますが、半押しからAFへのレスポンスが速いため流れるようにシャッターを切ることが出来ると感じます。
AFが速くなったゆえの相性の良さだと言えます。
そして上の画像をトリミングしたものがこちら。
トリミングしたことを全く感じさせません。
近くで見るととてもつぶらな瞳をしているのがわかります。
動いている動物を観察するのがとても楽しいですが、家に帰りじっくりと拡大などして新たな発見をするのも楽しいものです。
オオワシです。猛禽類の鋭い目が好きなのですが、うまく陽が入るまで粘り撮影しました。
そしてトリミング後です。
羽の質感、鋭い眼光、申し分ありません。
このカットを撮影するとなると400mm以上の望遠レンズは必至。ともなると手持ちで振り回せる重さではありません。
園内で楽しみながら撮影するのにはトリミングも一つの手段に入ると思いました。
日向でくつろぐアカカンガルー、筆者は休日の父の姿を重ねてしまいます。
ピントが合っている面の解像感そして立体感が際立ちます。
トリミング後。
気持ちよさそうな寝顔です。毛並みも良く端正な顔立ち。筆者の父よりもまつげが長いです。
かなり大きくトリミングしましたが破綻は感じられません。
初めて大きなモニターで確認した際、拡大した画像の読み込みに時間がかかりました。
その間読み込み前のもやっとした画像が写し出されていたため、「流石にここまでは…。」と思っていましたが、読み込み終わった画像には目を疑うような解像感がありました。
使うたびに新たな感動を与えてくれるカメラだと思います。
夢中で肉をほおばるライオン。無心で食べていました。
トリミング後。
こちらもやはりまつげが長いです。
ここまでトリミングをすると、動物のまつげはとても発達しているというのがよくわかります。
少し分けてほしいほどの長さです。
スマトラトラの欠伸をとらえました。
すばやいAFがこの撮影を可能にしてくれたのだと感じます。
トリミング後。
トラの舌を初めて見ました。とてもざらざらとしています。やすりで例えるなら100番台くらいでしょうか。
鋭い牙の描写も見事です。
さて、そろそろカラーが恋しくなってきたところで、フィルムシミュレーションをクラシックネガにチェンジしました。すこし設定を変えているとバッテリーの残量が気になりました。
筆者の所有するGFX 50Rであれば使い込む日だと半日でなくなってしまいます。
やはりGFX 100も1つ目のバッテリーが切れる寸前でした。しかしGFX 100ではバッテリーを2個装填可能であるため、1つ切れたとしても2個目の消費に移ります。つまりまだ半分しか使っていないという事です。とても頼りになります。
しかし重さとはトレードオフ。
軽快に持ち歩ける50R、長く撮影可能な100、使うシーンにおいてはどちらにもメリットがあります。
さきほどのスマトラトラも欠伸をしていましたが、ホッキョクグマはすでにぐっすりとお眠りの様子でした。
日向で寝ころがりとても幸せそうな様子。こちらを向きながら寝ているのがチャーミングです。
トリミングしてみると、なんと半目で寝ていました。
普段怖い顔をしていてもお茶目なところは誰しもあるものです。
クラシックネガ独特のネガフィルムらしい白の色づくりが気に入っています。土に汚れた毛の描写もリアルです。
今回のお目当てであったセスジキノボリカンガルー。
この姿を一億画素で残したかったのです。
一度通りかかった時はぐっすりとおやすみしていたため時間を置き、
2週目で葉っぱを食べている様子を収めることが出来ました。
トリミング後。
なんと、舌が出ていました。少しとぼけたような優しい顔つきでとても癒されます。
疲れた時に見返すとホッとする可愛らしさがあります。
長い尻尾もチャームポイントの一つです。
園内の解説によると、この尾を枝の上から垂らすことでバランスを取り不安定な木の上でも生活ができるとのことでした。
絶対にだめだと分かっていても触ってみたいと思わせる、ふわふわもちもち感があります。
一億画素で大好きなしっぽを残すことができ、大変満足です。
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今回初めてGFX 100を使用しましたが、「これを撮影したい。」という期待に最上級の答えを提示してくれるカメラであると思いました。
気ままに被写体を探しながらスナップ撮影をするには少々オーバースペックかもしれませんが、大は小を兼ねるとも言います。
「撮りたいもの」がある方にとってはこれ以上ないカメラです。
GFレンズも種類が増え、沢山の専門的な撮影に特化できます。
今回は動物のみとなりましたが、対応するレンズを合わせればポートレート、風景、それぞれの最高峰を手にすることができます。
賛否はあるやもしれませんが、「自在にトリミングをしても破綻しない、圧倒的画質で記録する。」という事は写真の新しい道を切り拓くとも言えます。
完璧を求める方にはご一考の価値があるカメラです。
最後になりますが、もちろん65:24の横長フォーマットも楽しめます。愛好家の方は是非お試しください。