ケラレはどれくらい!? 磁力でフィルターを取り付ける Manfrotto Xume(ズーム)の実力!!
ケラレはどれくらい!?
磁力でフィルターを取り付ける
Manfrotto Xume(ズーム)の実力!!
11月28日、マンフロットブランドのフィルターが、ついに日本上陸を果たした。
パッケージもシンプルかつ洗練された印象。
早いもので、年の瀬迫った12月。
街中はクリスマスソングやイルミネーションに溢れて
高揚感が高まっております。
毎年恒例の情景…に対抗して(?)、今回は今までに無かった
便利アイテムを取り上げたいと思います。
XUMEとは?
今回取り上げるアイテムは、
11月28日にマンフロットから発売されたフィルター用アクセサリー「Xume」。
何と読めば良いか……というところから疑問が尽きないあたり、
やはり斬新すぎます(ちなみに「ズーム」と読みます)。
レンズ用アクセサリーとしてのフィルターは超メジャーな存在ですが、
これは「フィルター用」アクセサリー。
端的に表現すると、フィルターの付け外しがワンタッチで行えるようになる、
超便利なアクセサリーなのです。
どのような場面で役立つか?
この季節、夜景やイルミネーション撮影はテッパンもの。
キラキラした感じを演出するためにクロスフィルターを用いたり、
幻想的雰囲気を演出するためにソフトフィルターを使用すると思うのですが…
これらは、何と言っても付け外しが面倒だと私は感じてしまいます。
きっと誰もが、フィルターの付け外しの度に、ぐるぐると回す手間を面倒と感じたハズ。
同じように、風景撮影時に色彩を強調させる目的で用いる偏光フィルターや、
昼間の長時間露光で用いるNDフィルターも、やはり付け外しが面倒。
何と言っても、シャッタースピード低下を伴うため、不要な場面なら外しておきたいもの。
「写真表現は妥協したくはない!」
「だけど、手際よく撮影はこなしたい!!」と思っているお客様!
XUMEを使って、サクサクと撮影をこなしてみませんか!?
使い方は、とても簡単
磁力を利用して付け外しを行うXume。
レンズに取り付ける「マグネットベース」と、
装着するフィルターに付けておく「フィルター用フレーム」の2種類で構成されています。
2つをあわせてマグネットツールとでも呼びましょうか。
まずお手持ちのレンズに、フィルターが取付けられるかをチェックしてください。
中には、レンズ前玉が出目金のように大きく湾曲していて、フィルターがそもそも付けられないものもあります。
フィルターが取り付けられるレンズは、レンズのどこかに「Φ」のマークと、続いて数字が振ってあります。
たとえば、77mmのフィルターが使えるレンズは「Φ77」と記載されています。
この数字があれば安心です。その数字が示す大きさのマグネットツールをお求めください。
レンズ先端から、プロテクトフィルター、マグネットベース、フィルター用フレーム、C-PLフィルターの順で取り付けた。
このレンズはフィルター径67mm(Φ67)だったので、各種67mmを用意。
マグネットツールだけでフィルター1枚分の厚みが!!
レンズ先端部から取り外した状態。
高さを測ったところ、ニコンFマウントのレンズリアキャップと同じでした。
文章で説明すると、凄く難しそうな印象を受けてしまうかもしれませんが、
危ぶむなかれ、です。取り付けてみれば、あまりの簡単さに驚愕してしまいますよ。
ケラレの発生状況
前置きが大変長くなりましたが、
筆者が一番重要と考えているのが、ケラレがどれだけ発生するか、という点です。
画面の四隅にフィルター枠が写り込んで、黒い影ができる現象です。
写る範囲が広い広角レンズのカテゴリーでは、
特に注意すべきポイントです。
撮影上もっとも気になるこの点に焦点を絞って、
以下ケラレの発生状況を見ていきます。
今回の試し撮りでは、SONYの交換レンズ
「Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS SEL1635Z」。
ステップアップリング72-77をかませて、77mmのマグネットツールを装着しました。
ご厚意でお借りしたものが77mmだったものの、筆者のうっかりで手持ちレンズが72mmだったというオチです。(笑)
絞り値は、ケラレの形状がより判別できるようF22で統一しました。
まず試したのがこちら。
レンズ先端からステップアップリング、
マグネットツール、C-PLフィルターを取り付けてみました。
C-PLフィルターは、現時点で世界最薄のZeta EX C-PL。
薄枠設計を謳うフィルターの戦国時代にあって、その上をいく「超薄枠」。
筆者実測で約3mm。ケラレ防止の点で理想的なフィルターです。
では、さっそく見ていきましょう。
焦点距離16mmで撮影。画像四隅に発生している黒い影が「ケラレ」。
焦点距離18mmで撮影したところ、画面四隅のケラレが消失。
先の組み合わせに加え、さ・ら・に、プロテクトフィルターを取り付けた状態。
焦点距離は16mm。ケラレがより発生していることが確認できます。
焦点距離を20mmまで繰り出すと、ケラレが消失。
思いのほか早く消失したことにびっくりです。
次に試したのが、薄枠ではないタイプ(通常枠とでも言いましょうか)の組み合わせです。
レンズ先端からステップアップリング、プロテクトフィルター、マグネットツール、通常枠フィルター。
ケラレ発生条件としては、一番厳しくなる意地悪な組み合わせですが…。
焦点距離16mmで撮影。意外なことにケラレの発生状況は、
直前に取り上げた組み合わせと大差なし。
焦点距離を21mm付近まで繰り出すことで、ケラレが解消。
EXIFデータでは20mmと記載されていたものの、
限りなく21mm付近まで繰り出していたので21mmを実測値にしています。
興味深かったのが、標準ズーム「Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSS SEL2470Z」との組み合わせでは、
より望遠まで繰り出さないとケラレが解消されなかったことです。
レンズ先端からプロテクトフィルター、マグネットベース、C-PLフィルターを組み合わせたとき、
焦点距離32mmまで繰り出すことでケラレ解消に至りました。
「Canon EF 24-70mm F2.8 L USM」でも同様の傾向が見られるあたり、
焦点距離の大小よりも、ズーム繰り出し量の方が重要みたいです。
やっぱり便利
言葉で表現するのは難しいですが、
やはりフィルターワークの手間が省ける意味では
このアイテムはマストバイでしょう。
筆者がライフワークにしている空の撮影では
偏光フィルターを多用するものの、付け外しが正直面倒というのが長年の悩みの種でした。
レンズにマグネットベースを装着し、複数のフィルターにフレームを取り付けていれば、
特殊効果フィルターの付け替えがサクサク行える…考えるだけでも夢のようです。(笑)
利用可能な焦点距離には注意が必要ですが、
利用頻度の高い焦点距離をカバーしている点を踏まえると、
撮影効率の向上に寄与してくれること間違いなしでしょう。
この冬、Xumeを用いたフィルターワークで、思い通りの撮影にトライしてみましょう。
今回使用したアイテムたち
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マグネットベース各種サイズ
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フィルター用フレーム各種サイズ
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