【マップカメラ情報】ジャンル別撮影術入門 第2回 「花を撮ってみよう」
「ふわーっと浮かび上がったようにお花を撮りたいんですけど・・」
「見てください!キレイな花壇を見つけたのでお花を撮ってみました。でもなんだかイメージどおりにならないんです・・・。」
「これはこれで見所のある写真だと思いますが、シズカさんはどういうふうに撮りたかったんですか?」
「花だけがふわーっと浮かび上がったような写真にしたかったんですけど、なんだかメインのお花が目立たないと言うか・・それと影がクッキリしすぎちゃって。」
「この写真を撮ったのって何時ごろですか?」
「午後の2時半から3時くらいです。」
「だいぶお日様が傾いている時間ですね。太陽が低い時間帯に撮ると長い影が出来てしまいます。それとこの写真って太陽の光が横からあたっていますよね。これも影がハッキリ出てしまう原因です。」
「じゃあどうすれば良かったのですか?」
「花だけがふわーと浮かび上がったような写真が撮りたいのであれば、花だけが浮かび上がるような背景を選んだほうが良いですね。お花の色が引き立つような緑の茂みとか何かの影の部分とか。それと太陽の光がお花に正面から当たるように撮る。これは『順光』と言って、一番色が濃く出る条件なんです。そして撮る時間帯も大事。なるべく正午ちかくの太陽が真上にある時間帯がベスト。ふつうの順光よりも陰影が出来にくいから影の出方に気をつかわなくてもいいんです。」
「お昼ごろにお日様を背にして撮るんですね!」
「もうひとつ!お花に思い切り近づいて撮る事。シズカさんが今回使ったレンズでも、かなり近寄れると思いますよ。ズームレンズを望遠側にして思い切り寄ることでふわーっとしたボケの中にお花だけがくっきり浮かび上がる写真が撮れます。後は・・シズカさん、絞りです。」
「f5.6とかf8とかのですか?」
「そう!それです。絞りっていうのは、どのくらいの量の光を取り込むかを調節する部分なんですけど5.6とか8とかの数字のうち大きいほうにする事を『絞りを絞る』って言って、光を取り込む量を減らす意味があります。そして『絞りを絞る』とピントの合う範囲が広くなるという効果もあります。
「なるほど!じゃあ数字を小さいほうにするとどうなるんですか?」
「絞りの数字を小さいほうに変える事を『絞りを開ける』といいます。絞りを開けると光を取り込む量が増え、そしてピントの合う範囲が狭くなります。」
「ピントの合う範囲が狭くなるって事は・・」
「狙ったところだけピントが合ってそのほかの部分はふわーっとボケるということです。シズカさんが言うような花だけが浮かび上がった写真を撮るには『絞りを開ける』といいんです。」
「じゃあ、お花がふわっと浮かびあがった写真を撮るには『お昼ごろに、お日様を背にして、ズームを望遠側にして、思い切り近づいて、絞りの数字を小さくして』撮ればいいんですね!?」
「絞りを変えるにはモードを「A」にあわせてからダイヤルをグルグルまわします。液晶モニターに今の絞り値が表示されるからわかりますよね。そのレンズだったら一番小さい数字にすれば良いと思います。それとメインのお花が引き立つような背景を選ぶ事も忘れずに!」
花だけをクローズアップで撮りたいときに最も大事なのは要素を整理する、と言うことです。
お花の色彩が浮かび上がるような背景を選び、一番強調したい要素以外のものをぼかすために絞りを開ける、そしてお花にまんべんなく光が当たる時間帯を選ぶ、など。
色々な事にちょっと気を使うだけで今までとは違う写真が撮れるかもしれません。
今回のシズカさんのように「こう撮りたい!」といハッキリしたものがあれば、それを実現するための方法を探せばよいのです。
最新のデジカメといえども、思った通りの写真を撮るには、それなりにちょっとしたTips(コツ)が必要なこともあります。今後もこのシリーズでは、思い通りの写真が撮影できるように、そんなTips(コツ)を紹介していきたいと思います。
OLYMPUS E-510 ZUIKO DIGITAL14-42mm f3.5-5.6