【マップカメラ情報】ジャンル別撮影術入門 第5回 「動物を撮ってみよう」
「動物園で、あたかもアフリカ!? な写真撮りたいんですけど・・」
「こんにちは!今日は動物園に来ています。最近は動物園も変わってきていてより自然に近い状態でいるところを観察できるようになっていたりします。そこで今回は「動物園でいかに、あたかもアフリカ!?な写真を撮るか!」ガンバってみようと思います。よろしくお願いいたします。」
「おお、すごい意気込みですね。それではまずはいつものように自由に撮ってみましょうか?」
「わかりました!」
「いろいろ撮ってみたんですけどぜんぜん思ったように撮れません・・」
「はい、どんなところでお困りですか?!」
「動物園の動物だからじっとしてると思ったら結構動くからピントが合わないんです。それと、ガラスごしになっている場所が多くてキレイに撮れません。」
「さっきのお話の通り最近の動物園のトレンドは「行動展示」というもので、檻に入った動物を見せるのではなく、擬似的なジャングルやサバンナを作ってそこにいる動物の行動をガラスごしにまわりから眺める、というスタイルが多くなってきているようです。 まずはシズカさん、オートフォーカスのモードはどうしていますか?」
「え?オートフォーカスのモードですか?えーっと・・「AF-A」というのになっています。ここっていじったことないんですけどこのままじゃダメなんですか?」
「オートフォーカスのモードには大きく分けて「AF-S(シングル)」と「AF-C(コンティニュアス)」の2種類があります。「AF-S(シングル)」というのはシャッターボタン半押しで1回ピントを合わせるモードでピントが合ってからシャッターが切れる、通常の撮影時に使用するモードです。それに対して「AF-C(コンティニュアス)」はシャッターボタンを半押しにしている間はAFフレームでとらえ続けている限り、対象のものが動いてもピントを合わせ続けてくれるモードで、ピントにかかわらずいつでもシャッターが切れるモードなんです。AF-Aというのはそれら2つ中から適していると思われるものを自動選択してくれるモードですが、相手が動くとわかっている場合ははじめから「AF-C(コンティニュアス)」にする事が必要です。」
「そうかぁ。こうするとずうっとピントを合わせ続けてくれるんですね。知りませんでした。」
「それともうひとつ。相手は「動物」ですのでできるだけ速いシャッター速度を使わないとブレてしまいます。これを「被写体ブレ」と言います。速いシャッタースピードに設定するには①絞りを開ける②ISO感度を上げる事が必要です。感度を上げるとノイズが気になるところですが、昼間の撮影なので夜景よりは影響を受けにくいですし、ぶれてしまうよりはマシですからね。任意のシャッター速度を選ぶと絞りや感度も自動設定してくれる「シャッタースピード優先AE」を使うのも手ですね。」
「なるほど!できるだけ速いシャッタースピードが必要なんですね!」
「後は「ガラス越しで撮るのが難しい」という件ですね。コレに関しては以前にとっても有効な「グッズ」を使ってもらった事があると思うんですけど・・覚えていませんか?」
「えー何だろう?ガラス越しに撮るのに便利なグッズ・・・あっ、もしかして「あの紙」ですか?でもあれは夜景専用だと思っていました。」
「「あの紙」ですか・・・(トホホ)ああ見えてもアレはどんな写りこみも防いでくれるスペシャルなフードなんですよ!ゼッタイ役に立つと思いますので使ってみてくださいね。」
「す、すいませんわかりました。じゃあ使ってみます ・・・おおっ、すごーい!ホントに写りこみが消えてる!!さすがです!」
「ちょっとした道具ですが、あるとないとでは大違いです。ま、わかる人にはわかるスペシャルグッズと言ったところでしょうか?これにはもうひとつ効果があって、動物たちが「なんだろ、これ?」って注目してくれる事もあるんですよ!」
「ホントだ!こっち向いてくれました!!どうです?コレなんかちょっとアフリカっぽくないですか!?」
「逆光で輪郭が輝いてキレイですね!アフリカというより陽だまりのおじいさんって感じですかね。」
「こんどはツルを撮ってみようと思うんですけど・・・どうしても手前の檻にピントが合っちゃうんです。どうしたらいいですか?」
「お約束の作例のような写真ですね!これはシズカさん。マニュアルフォーカスを使う必要がありますね。」
「マニュアルフォーカスって自分でピントを合わせるんですか?ええー難しそう!」
「ちょっと難しく感じるかもしれないけど、やってみるとそうでもないですよ。ピントリングを回して、ハッキリ見えるように調節すればいいんです。それに、測距点(フォーカスフレーム)のあるところにしかピントを合わせられないAFと違って、これならどこにでもすぐにピントをあわせることが出来ます。」
「がんばってみます!ゆっくりピントを合わせて・・・これでいいのかな?なんとか鶴にピントを合わせる事が出来ました!でもぼんやり柵が写っちゃってます・・」
「うーん、大口径の明るいレンズで開放で撮ったり、また、出来るだけ柵に近づいて撮れれば消えるんですが・・条件によっては難しい場合もありますね。」
「今度はお猿さんのいる猿山にやってきました!猿って見てると面白いですねー、お互いに毛づくろいしたり・・あっ赤ちゃんをつれているお母さんもいます。よーし「アフリカな写真」撮るぞー!」
「(この猿はアフリカにいるやつじゃないと思いますけど・・)つまりは、いきいきとした写真を撮りたい、という事ですね!」
「ここは柵もガラスもないから撮りやすいですね!撮れました!うまく撮れたと思うんですけど、なんかちょっと物足りないような・・・何でだろう?。」
「どれどれ・・なかなかよく撮れているとは思いますけど、ひとつあるとしたらお猿さんの毛色とバック岩肌の色が近いから、メインの被写体のお猿さんが目立たないという事ですかね?」
「あ、なるほど。たしかに岩とお猿さんと似たような色ですね。そうかー、だからぱっとしないのかー。こういう場合はどうしたら良いんでしょうか?」
「そうですね。例えばこのように岩の上に乗っているところを撮るというのはどうでしょうか?」
「ああっ、たしかにお猿さんが浮き上がって見えます!えーとこれは・・・背景の茂みが遠くだからボケになってお猿さんが浮き上がって見えるんですね!」
「正解!望遠ズームレンズを使い、絞りを開ける事で背景をぼかしています。この場合は背景に木がありますけど、例えば青空を背景にしてみるなんて方法もありますね!」
「お花でも、イルミネーションでも動物でも一緒なんですね!写真は背景が大事!そして動く動物を止めるには速いシャッタースピード、ピントを合わせるにはコンティニアスAFですね!それにしても今のカメラってすごいなあ、使い方さえわかってれば何でも撮れちゃいそうです。」
「そうですね、どんな機種でもそれぞれかなりの機能を搭載していますね。それらを引き出す事によって今までうまく撮れなかったものを上手に撮れる事もあるということです。だからマニュアルを読んで機能を引き出す努力も時には必要ですよ。」
「いろいろ気をつけたり、マニュアルを読んだり・・ただなんとなく撮るだけじゃなくて努力しないと思うような写真って撮れないんですね。でも調べたり、教えてもらったりした事をベースに自分で工夫をしてみて、思い通りの写真を撮れたときはとっても嬉しいものですよね。「もっとこうしたい」という気持ちを大事に、がんばります!」
PENTAX K-m DA L18-55mmF3.5-5.6AL/DA L50-200mmF4-5.6ED