フィルムで描く唯一無二とは
アメリカのカメラメーカー、と聞くと、思い浮かべるのはKodak社でしょうか。
1930年代後半から1960年ごろ、アメリカで親しまれたArgusというメーカーがあります。
カメラ自体の構造が箱のような簡単な作りで、比較的手に入れやすい価格のために数多くの人に愛されました。
アメリカの10世帯に1世帯は持っていた、なんていうお話もあったとかなかったとか。
実際に私が持っているカメラがこちらです。
C3というモデルで、レトロな見た目とシンプルな使用感が心地よいです。
革が黒いものと、グリーングレーの物があります。
端から剥がれてきているものも多いので、綺麗なものを手に入れられて幸運でした。
さて、テスト撮影も兼ねたお散歩の際の写真を紹介いたしましょう。
いつものように、テスト撮影はFUJIFILM業務用カラーフィルムISO100を使用しました。
今となってはもう手に入れようにも少々お値段が上がってしまいましたね。
こうなることを憂いつつ、私は昨年100本セットで買ったためまだまだ家に残っています。
果たして使いきれるのでしょうか…
いかがでしょうか、適度な粒状感とやや浅めの青緑色のこのフィルムで撮影しても、このコントラスト。
レンズも同じくArgus社製の「Coated Cintar 50mm f3.5」が付いていますが、いやはやいい色を出します。
周辺の滲みや歪みも気にならないので写真を見ていて心地よいです。
先述したように、同じフィルムをたくさん使用する私ですが、
使用するカメラ、レンズによって色は大きく異なることを実感します。
実際、このレンズで撮った写真の色は同じフィルムを使用しても出すことが出来ませんでした。
少し寂し気な寒色と、目の覚めるように鮮やかな赤色が全体の雰囲気を引き締めてくれています。
たしか撮影したのは今年の本当に初めの方だったでしょうか。
まだ1月、外出もまだ規制されていないころ、人々の賑わいも今となっては懐かしいです。
冬の心地よい晴れ間で、日差しだけが冷気の中に暖かく、過ごしやすい日だったのを覚えています。
最近もまた新しいフィルムカメラが増え、もちろん同じテスト用のフィルムを通しました。
フィルムの色味が同じであることで、レンズの出す色が比較しやすいと、私はそう思っています。
もう八月も終盤です。
季節の話をするとつい気温の話にばかり移ってしまいがちなので今回の締めは香りの話でも。
季節の匂いを感じることはないでしょうか。
私はここ数日、秋の匂いを感じる事があります。といっても、朝方だけですが。
結局その匂いの正体は分からないまま20と数年生きてきましたが、今年の秋ももう近いようです。
このカメラを手に出来たのは冬の匂いがする頃でした。
今年の秋は、今年の冬は、一体どんなものになるのでしょうか。
Argus C3。
365日の月日が経ってしまわぬうちに、夏の香りも写してみる事といたします。
それではこの辺で。