いよいよ明日8月13日をもちまして、マップカメラは28周年を迎えます!
創業日直前ということで、まずはじめにこれまで紹介してきた28mmという焦点距離のレンズについて少しお話しさせていただきます。
文字が多くなり、読みにくいこともあるかと思いますが、どうぞお付き合いください。
28mmのレンズは画角でいうと75°になります。
個人差やシチュエーションにより差があるかと思いますが、肉眼の視界に近い気がします。
広角レンズの中でも28mmレンズは更に広角のレンズと比べ馴染みやすい画角で、極端に広すぎず、不自然なパースなどもなくスナップや風景を中心に非常に使いやすい画角と言えます。
スマートフォンに搭載されているカメラにも多く採用されており、意外にも35mmや50mmよりも身近な画角です。
35mm判カメラ用の交換レンズとして28mmが世に現れたのは、今から約90年も前のこと。
1933年にZeiss ikon テッサー28mm F8が発売されました。
そして2年後の1935年にマップカメラスタッフにもファンが多い、ライカのヘクトールL28mm F6.3が発売されました。
現在のライカにはF1.4を誇るズミルックスがある中、F8やF6.3は非常に暗く感じますが、当時としてはかなりハイレベルなレンズだったそうです。
テッサーに至っては距離計非連動でピントは目測です。それだけ設計が難しかったのでしょうか。
もしくはF8であれば被写界深度が深く、パンフォーカスで使うという理由もあるのだと思います。
約90年の歳月が経ち、モノクロフィルムはカラーフィルムに、フィルムはデジタルに、様々な変化を遂げてきました。
今ではF2.8通しの28mmやもう少しワイドな24mmからはじまるズームレンズが定番として不動の地位を築いています。
そんな現代においてもなお、28mmの単焦点レンズがユーザーに愛されている理由、各メーカーが販売している理由。
これまでのニハチブログで少しでもお伝えできていれば幸いです。
・・・
ヘクトールの話が出ましたが、ライカは定番の50mmや35mmだけでなく、28mmレンズにもかなり力を入れています。
歴代のレンジファインダー用の28mmを見ていくと、
ヘクトールL28mm F6.3
ズマロンL28mm F5.6
エルマリートM28mm F2.8 4種
エルマリートM28mm F2.8 ASPH.2種
ズミクロンM28mm F2 ASPH.2種
ズミルックスM28mm F1.4 ASPH.
ズマロンM28mm F5.6(復刻版)
と1935年~2022年現在に至るまで12種類ものレンズを製造・販売してきました。
歴代の28mmを並べてみました。壮観です。
残念ながらエルマリートM28mm F2.8 1stはありませんでした。代わりに1stに近い外観をもつ前期型の2ndを並べています。
カメラに付いているのが、後にご紹介するエルマリートM28mm F2.8 4th (E46) です。
その他は頂点から時計回りにエルマリートM28mm F2.8 ASPH.(現行)、ズミクロンM28mm F2 ASPH.(旧)、ズミクロンM28mm F2 ASPH.(現行)、ズミルックスM28mm F1.4 ASPH.、ズマロンM28mm F5.6(復刻)、ズマロンL28mm F5.6(旧)、ヘクトールL28mm F6.3、エルマリートM28mm F2.8 2nd(無限遠ロック付き)、エルマリートM28mm F2.8 2nd(無限遠ロック無し)、エルマリートM28mm F2.8 3rd、エルマリートM28mm F2.8 ASPH.(旧)
こんなにも同じ焦点距離のレンズを販売したメーカーは他にないのではないかと思います。
また、古くからあるレンズも最新のM型カメラに装着し、レンジファインダーで撮影できるのもライカの醍醐味のひとつです。
ちなみに現行のMマウントレンズだけでもエルマリート、ズミクロン、ズミルックス、ズマロン(復刻)の4種類。
50mmに次いで2番目に多いのが28mmです。
M型だけでなく、人気のLeica Q(Typ116)、後継であるQ2のレンズも28mmであることからも、28mmというレンズが多くのユーザーに愛されているということがうかがえます。
今回はそんな数多く存在するライカの28mmの中から私がずっと気になっていたレンズ、エルマリートの第4世代に当たる、
エルマリートM28mm F2.8 (E46)をご紹介いたします。
今回はLeica M-Eで撮影しております。
真夏の強い日差しに私とカメラが悲鳴を上げる中、強すぎる光線に善戦してくれました。
是非ご覧ください。
とある夏の日、ロケーションは淡路島。はやくまた行きたいものです。
神戸から車で明石海峡大橋を渡るとあっという間に淡路島です。空港からだと1時間ちょっと。
こちらの明石海峡大橋は今年の3月まで世界最長の橋でした。今はトルコにある橋が世界一とのことです。
全長はなんと3,911m。この橋をズドンと立てると富士山よりも高くなります。
夏の空を絵に描いたようです。
思ったよりもハイライトとシャドーに粘りがありました。
空、雲、海、光と影に包まれた街並み、山の木々、複数の要素を一枚に詰め込めるのも広角レンズの魅力でしょう。
(余計なものが写ることも多々ありますが… )
淡路島は日本で一番人口の多い島だそうで、島内にいくつものコンビニや商業施設があります。
普段イメージするような島というよりも、いくかの町から成る市がまるっと海に浮かんでいるような感覚です。
そんな大きな島である淡路島ですが、実は滋賀県にある琵琶湖の方が大きいというのを聞き琵琶湖の大きさには驚かされます。
見えているのは徳島県側から見た大鳴門橋です。
普段は都内から新宿の往復ばかりで、久々に目の当たりにする空の広さと青さに思わずシャッターを切りすぎてしまいます。
こちらもなんとも言えない発色。
この時はかなり強い日差しでピント合わせに難儀したのを記憶しています。
絞ってしまえばある程度の被写界深度を稼げるのでザックリとピント合わせができるのは気分が楽です。
(とはいえデジタルは厳密に確認するとピントの芯が分かるので、嫌な方はきちんと合わせましょう。)
淡路島には日本を代表する建築家である安藤忠雄氏が手掛けている淡路夢舞台という建築群があります。
某アイドルグループのMVで使用されていたそうで、ご存知の方も多いかもしれません。
空、海、コンクリートの建築物が建ち並ぶ姿は写真好きにはたまらないスポットです。
風景だけでなく、建築を撮るにも広角レンズは欠かせません。
更に広角のレンズを使ってもいいのですが、普段使わない私にこれ以上の広角は難しすぎました。
強すぎる日差しのせいか遠方がかすんでいます。レンジファインダー機であるライカでC-PLフィルターを使うには難しく、せめてUVフィルターでも付けていれば…。
夏休み感溢れる一枚。
これまでの写真より色がハッキリ出ています。これくらいが本来の力でしょう。
絞りによる変化ではなく、日照条件による変化です。
夏の撮影は思ったよりもシビアでした。
エルマリートの第4世代にあたるこちらのレンズは、非球面レンズを採用する直前のモデルです。
1993年~2006年の13年間製造・販売されていたロングセラーレンズです。フィルム~デジタルの狭間世代です。
30年も前のレンズとはいえ、当時十分な画質を確保できるとして、非球面レンズを採用せずに設計されたといわれています。
実際に撮影してみると余程の悪条件でなければヌケもコントラストも良好で非常に使いやすく安心感のあるレンズです。
強いて挙げるとするとやはり歪みと解像力が少し気になるくらいでしょうか。
普段はズミルックスM50mm F1.4 後期型のようなもっと古いレンズを好んで使用していますが、今回のように真夏の炎天下での撮影を想定していたため、しっかり写るけどしっかりしすぎていないレンズを探していました。
夏の強い日差しは順光でもオールドレンズには辛いシチュエーションです。少しでも新しいレンズが有利です。
28mmのレンズをM-Eで使うこと自体も初めてで、ファインダー目一杯の画角に少し使いづらさがあり、水平がとれていないこともしばしば。
フードやレンズ本体によるファインダーのケラレもあるため、外付けファインダーがあるともっと気楽にフレーミングができそうです。
こちらは残念ながら渦潮を見ることができなかった大鳴門橋からの景色。
橋の下が遊歩道のようになっており、入場料を支払い橋の途中まで歩く事ができます。
高所であること、壁がなく金網になっているため風がとても強いのでご注意ください。
ここまでいくつかの写真をご覧いただきました。最新のレンズと比べると劣る点があるのは否めません。
それでも最新レンズとは異なり、硬すぎずほんのり甘い描写と、なんとも言えない色再現性。
もちろんセンサーや天気によっても大きく左右されるものですが、少しオーバー気味の時のなんとも言えない空の色が癖になりそうです。
芝生の写真はQ(Typ116)の描写に少し似ている気もしました。
レンズ本体はそこまで大きくありませんが、フードが大きいため荷物の量と相談です。
(フードキャップが段々焼き菓子に見えてくるのは私だけでしょうか。)
左がズミクロンM28mm F2 ASPH.(旧)、右がエルマリートM28mm F2.8 4th。
実はズミクロンの方がほんの少しだけ短いです。
お値段的にはもっと分かりやすい差があるので、そこはお財布と相談です。
古すぎず、新しすぎない、失敗したくないけど、完璧すぎるレンズもちょっと物足りなくて寂しい。
そんな私のニーズにハマった良いレンズでした。
価格がライカレンズの中ではかなり手の出しやすいこともありがたいです。
本日は長々とライカに偏りながら28mmについてお送りいたしました。
「ニハチ」シリーズは明日以降もまだまだ続きますので、ご期待ください。この他の『マップカメラスタッフが語る「ニハチ」の魅力』はこちらからどうぞ
28人の28mm編とF2.8編でお送りしております!少しでも興味を持っていただけたら幸いです。
ライカの現行28mmはこちら
今回撮影に使用した機材はこちら
歴代のエルマリートはこちら
その他のライカ28mmの中古はこちら