二眼レフは、いかがですか?! その21
露出やアングルには目をつぶってください… 周囲からの奇異の目を感じつつ撮ってます…
前回「サクラの次は、フジの写真を…」なんていってましたが、あっという間にフジのシーズンも終わり、気がつけばアジサイだって見頃を終えようとしています。 このコーナー、常に後手、後手になっていますが、まぁ旅番組ではないので大目にみてやってください。
そんなわけで、ネタに困った時の「いざ、鎌倉」… ローライフレックス2.8F(プラナー)を持って、快晴どピーカンというアジサイを撮るには不向きな条件の日に、鎌倉の名所を廻ってきました。
かなりの人出と圧倒的なデジカメ攻勢が予想されるなか、それでも果敢に(無謀に?)二眼レフを携えていくからにはと、今回は近接撮影用のローライナー1・2もバッグに詰めていきました。
このローライナー、ローライをより楽しみたい方は是非手に入れていただきたいアイテム。 通常の撮影では最短1m弱までのところを、ローライナー1は100cmから45cm。 2は50cmから31cm、3は32cmから24cmまで寄ることができます。 私の場合、人物をもうちょっとアップでなんて時に1を、花などの手持ちアップに2、3はちょいと本格的な接写時にという感じで使ってます。 なお、お持ちのローライの機種、付いてるレンズによってバヨネットの口径が異なりますので、ご注意を! 一番小さなバヨネットⅠのローライナーなら多くの国産二眼レフにも流用できます。
ローライナーを装着した図。 厚い方はビューレンズ用で、薄い方が撮影レンズ用です。ビューレンズ用はパララックスの補正のため、必ず赤いポッチが上にくるように付けてください。 上からフードも装着可能です。
まずは、「あじさい寺」として有名な北鎌倉の明月院に… いやぁ、本当にすごい人でした… 数千株の青いヒメアジサイの中を、列になってゾロゾロと行進しながらの撮影。 ゴメンナサイ、デジタルと違って撮影にちょっと手間取ります… でも、ヒットアンドアウェイで撮ったらすぐどくから許してね…
(コダック・E100GP 以下同じ)ローライナー2使用
ローライナー1使用
…待てよ、アップでばっかり撮ってたら、鎌倉の意味ないじゃん… ちょっと引きで… と思っても、人、人、人… なかなか途切れてくれません。 あ、ここの横道いいかも… と構えた途端に、私よりご年配のご婦人がた5名ほどが、「あら、ここいいじゃない、ほら集まって、撮るわよ!」 パシャ… 「どれ、あーもう、○○さんたら目つぶってる。 はい、もう1枚撮るわよ」 「ちょっと、××さん、顔に花かかっちゃってる! もっと前出て」 「大丈夫よ」 「いいから、前!」 (……) パシャ… 「いいじゃない。 素敵、素敵!」 (ふう…) 「もう、さっきから△△さんばっかり撮ってるじゃない。 ちょっと貸して!」 「いいわよ」 「いいから、入って入って!」 (………) パシャ… 「どれ、あらっ、いいじゃない!! ねぇ、見て見て!」 (……) ここでようやく私の存在に気が付いてくれた1人が、「あっ、どうぞ、通ってください」 (違うっっ!!)
よく写真には撮影者の気持ちが写るなんていいますが、…大丈夫、写ってません。
出口付近では、上方の竹林をバックに。 こんな時、ウェストレベルのカメラなら、構えるのも楽チン。
よく見ると、木洩れ陽が絞りの形の五角形になってます。 嫌う人もいるけど、私は気に入っています。
かなり長く居座りましたが、このへんで明月院を辞し、線路を渡って浄智寺の方へ。
途中の1枚。 バックに列車の通過を待ちましたが、来ないのであきらめました… 鉄っちゃんにはなれません…
そして、浄智寺前、甘露の井で1枚。
さっきまでが嘘のように、人が少なく静かです。
ローライナー2使用
寺の中には入らず、お隣の東慶寺へ。
ローライナー1使用 こちらも門前で1枚。 決して拝観料を渋ったわけではなく、お腹減っちゃったんです…
ここから建長寺を経て鶴岡八幡宮まで歩く人も多いのですが、えぇ軟弱者です。 鎌倉駅まで1駅、しっかり列車に乗りました。 降りたら、わき目も振らずに蕎麦の「なかむら庵」へ。 いつもの大冷やしなめこそばを…
オプション付き! そば湯も堪能して、満足、満足。
腹ごなしにお土産物屋をひやかした後、これまた定番の江ノ電へ。 遠足でグループ行動中の小学生のボウズども……もとい、お子様方の周りが全く目に入っていない天真爛漫な元気ぶりに、思わず喉元まで出かかった言葉を抑えるため七里ガ浜駅で下車。 海を見て気を落ち着けよう…
…いやぁ、いいですねぇ、湘南の海! 空は青く澄み渡り、風は穏やか。 せっかくだから、隣りの鎌倉高校前駅まで浜辺を歩いてみましょう。
砂も舞わないような優しい風、でも波はそこそこあって、サーファーの姿もちらほら。 浜辺には小さな子どもの砂遊びを見守るお母さんや、愛犬との散歩を楽しむ方も… そんな、本格的な夏前の穏やかな砂浜に一歩一歩足跡を残しながら進む、ローライを肩からぶら下げたおじさんひとり…… う~ん、絵になる… (えぇ、どこでも自分の世界に入れます…)
………でも、意外に距離あるなぁ… ……見えてるのに、近づかないのはなぜ? …普通の靴できたもんだから、中、砂だらけになっちゃったし… ……もう戻るのも遠いじゃん… ………だぁー、あづぃ!!……
…今度来るときは、涼しい曇りの日にします…
やっと着いて、ほっと一息… …あっ、写真撮ってないや…
青い空… 大丈夫、気持ちは写っていません…
とにかく、ゆっくり日陰で… ということで、鎌倉高校前駅舎へ。 ここは、ホームから海が見えることで有名。 ベンチに座って、ローライのファインダーを開き、スクリーンに映る風景を堪能… ……えぇ、傍から見たら変な人かもしれませんが、本当にいいんですよぉ… まさに自分だけのシアタースクリーンに映し出された映像の1コマを切り取る感覚でパシャ…
赤いビートル… 私の地域のルールでは「0に戻る」だったっけ…って、さて何の話でしょう……
江ノ電で極楽寺駅に戻り、成就院へ。 ここもアジサイの名所です。 階段状の坂道の両側にアジサイが咲き乱れ、その遠方に湘南の海が臨めるという絶景ポイント… ということで、すごい人… 去年は閉門間近の4時過ぎには人も減り、奇跡的に無人の坂道を撮れたのですが、今年はダメ… 年々、人が増えているようです。 そんなわけで写真なし… ご想像におまかせします。
そのまま歩いて、1駅鎌倉寄りの長谷駅に戻る途中にある御霊神社へ。 ここもアジサイスポットとして近年人の多い所です。 線路を渡るとすぐ神社の敷地なんですが、線路沿いにアジサイが… アジサイと江ノ電を撮れる名所として、昼間電車内から見た時もたくさんの人だかりでした。 でも、もうすっかり暮れ時… ひっそりしてます。 周りは普通の民家なので、こちらも静かにポイントを定め、カメラを構えて江ノ電を待ちます… とそこへ、若いカップルが… 「あ、ここいいじゃん、すごーい。 ねぇ、撮って撮って!」 (…いや、線路内入るのはよくないぞ…) 「これ、電車と一緒に撮れるね。 早く来ないかな…」 何となく視線を感じます… たぶん、邪魔なんだろうなぁ… でも、先に来たの私だし、線路際に飛び出しているわけでなし… 「ねぇ、あそこ、ゴニョゴニョ…」 …別に昼間おばさま方にどいてもらえなかったのを、君らに当てこすりしようとか、んなイチャイチャしやがってとか、…そうじゃなくてね、私は先に来てここで電車待ってるわけで… 何となく息苦しいなか、江ノ電が来ました。鎌倉方面に続き、すぐに江ノ島方面の列車が… 撮り終わって、ふと見るともうカップルいません… なんだ、あと15分くらい待てば次来るのに… 神社をお参りし、もう一回江ノ電を撮影した後、帰途に着きました。
(フジ・プロビア400X) 邪心などありません…
でも、踏まれてます…
追記:仕事柄、周りの人が持ってるカメラにもつい目が向いてしまうのですが、今回の鎌倉でフィルムカメラを下げている人、5人くらいでした… …それでも、あえて言わせてもらいます、古都鎌倉に二眼レフはよく似合います!!
続く… (文責・イット)