二眼レフは、いかがですか?! 番外編⑥
前回のハッセルッブラッドCFレンズとの比較に引き続き、今回はCレンズとの撮り較べです。
ハッセルブラッド500シリーズに搭載されたレンズとしては初期の方に当たるもので、シルバー鏡筒のコンパクトなデザインが「よりハッセルっぽい」と人気の高いレンズです。
後に同じデザインで黒鏡筒のレンズが出た際、カールツァイスのTスターコーティングが施されますが、こちらはその前のモデルです。 そのへんの違いが写りにどんな影響を与えるか…
2.8F プラナー80mmF2.8
Cプラナー80mmF2.8
ちなみに今回の試写は、前回のCFレンズの試写と同日です。 つまり当日は、ローライ1台とハッセルのボディ1台、レンズとフィルムマガジンを2つずつ持って撮影しました。 ハッセルの方は、1枚撮っちゃレンズとマガジンを交換して1枚という具合… いやぁ、大変でした。 よく撮り間違えたり、落っことしたりしなかったなぁと…
…なら、まとめて3つの比較にすればよかったじゃないかって… それで書こうとしたんですが、文章がこんがらがっちゃって…、途中であきらめました。 ハッセルのCレンズとCFレンズの描写の比較を観たい方は、前回の記事と今回のとを行ったり来たりして、せめて私の苦労を思い知ってください。 …なんちゃって、いずれ機会があれば記事にいたします。
(2.8F) F2.8
(C80mm) F2.8
絞り開放での撮影。 壁の白を比較すると分かりますが、Cレンズの方が全体に茶色がかった色味に見えます。 暖色系といいますか… 前回CFレンズよりも2.8Fの方がくすんだ感じと書きましたから、CレンズとCFレンズの差はさらに大きくなります。 気になる方は、はい戻って戻って…
背景のボケも奥の方はCレンズが若干大きいか、その分もやっとした感じが強くなっています。
(2.8F) F4
(C80mm) F4
中央のシクラメンまでの距離は1m。 花に広がりがあるせいもありますが、1段絞ったF4の時の被写体の浮き上がりは、フィルム上で見るとひときわ際立って見えます。
Cレンズの茶色味がかった感じは同様。 そうなるとシクラメンのピンクは2.8Fの方が良い印象を与えます。
(2.8F) F5.6
(C80mm) F5.6
(2.8F) F8
(C80mm) F8
色味以外、描写の違いはほとんど感じられませんでした。 特に私の持っているCレンズがレンズ焼けをしているというわけではないのですが、CFレンズの鮮明な白に較べると差はかなりなものです。
(2.8F) F5.6
(C80mm) F5.6
水飲み台のコンクリートにも色の違いが表れています。
(2.8F) F2.8
(C80mm) F2.8
Cレンズの中央部分、青の色の濃さはCFレンズのそれに匹敵するくらいです。 その分くっきりした印象を受けます。
(2.8F) F2.8
(C80mm) F2.8
中央のブランコの赤も、Cレンズの方が2.8Fより鮮やかです。 背景のボケは2.8Fの方が大きいか。
(2.8F) F8
(C80mm) F8
絞っても背景のボケは2.8Fの方が大きく感じられます。 空の青さは若干Cレンズの方が濃いようです。
(2.8F) F5.6
(C80mm) F5.6
CFレンズとの差ほどは感じられませんが、提灯の文字や手前のすだれなどの描写を見ると、Cレンズの方がシャープで、2.8Fの方が柔らかい印象を受けます。
今回はまずCレンズの茶色がかった発色が気になってしまいました。 私の所有レンズ単体の問題なのか、とにかく白いもの撮るときに注意が必要なレベルでした。 でも後半のスナップではそんなに影響を感じませんでしたから、被写体を選べば大丈夫でしょうか。 白黒でも撮り較べしてみたいものです。 …資金があれば……
普段二眼レフの方が出番の多い身としては、3つのレンズを較べた時、やはり2.8Fの描写の柔らかさに好印象を持ちました。 特にF4かF5.6くらいの写りはいうことありません。 というわけで、今年の桜はこれでいきましょうか…
続く… (文責・イット)