【マップカメラコレクション】写真機の回廊 ~ PENTAX Z-1 ~
1991年10月。ペンタックスZ-1が発売されたのは、芝浦にジュリアナ東京がオープンする傍らでバブルの泡がこっそりはじけた頃のこと。 そのZ-1、最大の売りは通常のプログラム露出から僅かな指先の動きだけで、瞬時に絞り優先・シャッター優先にシフトできるハイパープログラムモード。 ペンタックス初の1/8000高速シャッターを採用し、多分割測光や自分流に詳細な設定が出来るカスタムファンクションなど、フラッグシップ機と呼ぶに相応しいものだった。 Zシリーズ発売と共に一新されたFAレンズと、電動式パワーズームレンズを見てもかなりの意欲作であったことが判る。ペンタプリズムを低く位置させ、ストロボを内蔵する方法は先代のペンタックスSFXから継承。 ほぼ同年代のライバル機は、ニコンF-801Sやミノルタα-7xiなど。 各メーカーがシャッターの最高速や1秒間の連射枚数を競い、測距点や測光の分割数は多いほうが正確と勘違いしてしまいそうな感もあった。 無論それはいつの時代にもあることで、皆が「より良い物」を求めていた証なのだが。 そんな中でペンタックスが出した答えは、一つ秀でた高機能やカメラ任せのフルオートではなく、ニーズに答える多機能とハイパープログラムに代表される人と機械との融合。 結果、Z-1はペンタックスに初のカメラグランプリ受賞という栄誉をもたらす。 やがて、泡がはじけたことを知った私たちは、多機能よりもシンプルなものやボディの質感などに傾いてゆく。当時のクラシックカメラブームもまだ記憶に新しい。 |
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ペンタックスが、アナログ的ダイヤル操作や傾斜した軍艦部などの試行錯誤を経る中、急速にデジタルカメラが台頭しフイルムカメラは衰退していった。 Z-1発売から15年が経ち、デジタル一眼レフK10Dに採用されたハイパープログラムは、再びカメラグランプリに寄与することとなる。 その里程標となったのは、紛れも無くこのZ-1だろう。 |
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今回撮影に用いたレンズはFA☆(スター)24mmF2。 当時としては珍しい、広角でありながらボケ味にも配慮した設計が売りだった。スターレンズ共通の、ピントリングを手前に引くだけでAFからMFに切り替わる仕様。ボディ側の切り替えは不要で、AF時もピントリングは回転しないのでホールディングもしやすい。 入れ替わりの激しい私の機材の中では、最古参の14年選手だ。 |