【マップカメラ鉄道倶楽部RailMap】夏休み逃避行その2(路は全く尽きるのか?)
青函連絡船を見学した翌日は、連絡船の後を引き継いだ青函トンネルを見に津軽半島の竜飛岬に向かいました。
まずは青森駅から津軽線に乗り「蟹田駅」へ向かいます。
津軽線はその名の通り津軽半島を走る本州北端の路線。途中駅の蟹田までは青函トンネルを走る海峡線と同じ線路を走るため、蟹田までは電化されていますが、ここより先は非電化区間。ディーゼル列車に乗り換えます。
最近では地方路線でしか見られなくなったキハ40系気動車。これに乗ると旅しているなという気分になります。
蟹田からさらに北へ40分。並行して走る津軽海峡線が地下に潜った辺りで終点の「三厩」に到着します。
山に囲まれた静かな駅は周りに何もない寂しい場所。線路も数十メートル先にある車両庫で行き止まりになっています。
時刻表を見ると列車は1日に5本だけ。かつてトンネル工事で賑わっていたと聞いていましたが、今ではそんな面影を感じる事はできません。
待合室には太宰治の「津軽」のフレーズが飾られており「ここは本州の極地である…諸君の路は全く尽きるのである」という言葉が胸に刺さります。
駅前には列車の到着に併せて町営バスが停まっていました。静かな街に似つかない派手な大型バスに乗り換え、さらに北へ。
運賃100円の町営バスは、集落を回りながらゆっくり走ります。車窓から見える小さな港町の風景を楽しみながら40分。ようやく今日の目的地「竜飛岬」に到着です。
普段から龍が飛ばされるほどの強い風が吹き続けることから、竜飛と呼ばれるようになったと言い伝えられています。周りにはこの強風を利用すべく風力発電の風車も見られましたが、今日はその風車がピクリとも動かない穏やかな天気。普段は天気に恵まれない鉄道倶楽部ですが、こんな事もあるのかと驚きです。
海底トンネルの青函トンネル内にも2つの駅があります。函館側の「吉岡海底駅」と青森側の「竜飛海底駅」。いずれの駅も緊急時に乗客を避難させるための施設で、見学ツアー等を利用しなければ、降りることの出来ない駅なのですが、竜飛海底駅の上には工事作業に使われていた斜抗線の駅があるため、コレを使えばトンネル内へ下りることができるのです。
斜抗線の地上駅は、青函トンネル記念館となっており、工事の歴史や技術の紹介がされています。
1988年のトンネル開業から24年。現在青函トンネルでは新幹線を函館まで延長するための追加工事が行われています。新幹線と在来線を一緒に走らせるための工夫も紹介されていました。
さていよいよ本題。ここから青函トンネル竜飛斜抗線に乗ってトンネルの中へ下りて行きます。いかにも工事車両と思わせるオレンジ色の小さな車両は、地中深く潜ることから「モグラ号」の愛称が付けられています。
斜抗の入り口には、大きな風門が設けられており、乗客が車両に乗って周りに誰もいなくなってから大きな警告音と共に扉が開きます。
列車は800mを約8分かけてゆっくりと下りて行きます。乗り心地は最悪。大きな振動と共に幾度となく揺れます。
そして海底140m地点の海底駅に到着です。駅前には何故かたくさんの自転車が。駅前の駐輪は海底も地上も一緒のようです。
トンネルは列車が走る本坑の他に、工事の際に使われていた作業坑や避難路など複数の側坑が掘られており、かなり広いです。
その側坑では、工事の様子を紹介する作業機械やパネルが展示されています。現在でも至る所から水が染み出しており、当時の苦労を偲ばせます。
本坑の手前は大きな扉で塞がれています。この扉の向こうが海峡線の竜飛海底駅。残念ながら非常時以外は開かないとの事なのでトンネル散策はこれれ終了です。私の逃避行の路もここで終点です。
再び斜抗線に乗り地上に戻り、斜抗線の工事車両を見て回りました。
左が作業員を運ぶ車両で右がコンクリートを運ぶ車両との事。
潮風の強い岬に放置されているだけあって、ひどく痛んでいました。あと何年展示できるのか不安になります。
もう少しゆっくり周囲も散策したかったのですが、1日5本しかない列車は逃すと大変。周囲ののんびりとした風景に反して急ぎ足で駅に戻りました。
帰りの車窓から新幹線工事の現場を発見。
北海道新幹線の開業予定は2015年との事。この工事の完成をもって青函トンネルも当初の目的を果たすことになります。3年後が楽しみです。
北海道新幹線の他にも2014年には北陸新幹線の金沢開業も予定されており、これから数年で鉄道網はさらに便利に生まれ変わります。
一方で新幹線の開通により主要幹線が、第三セクター化され苦戦をしいられているのも現実です。
発展の裏で衰退が生じるのは仕方のない事かもしれませんが、上手くバランスの取れた発展を望まずにはいられません。
かつて「日本にはまだまだ多くの土地があり、これらを新幹線と高速道路で繋げ、工業地方に分散すれば経済がさらに活性化する」と言っていた方がいらっしゃいました。しかし工業は工事に手間取っている間に新幹線も高速道路も届かない海外へ。本当に目論みどおりに活性化するのでしょうか?
新幹線に貼られていた「がんばろう日本!がんばろう東北!」のステッカーに、震災からの1日も早い復興を願いつつ、もう1つ新たなことを考えさせられてしまいました。
使用機材:Nikon D4
AF-S 28-300mm F3.5-5.6G ED VR
AF-S ED17-35mm F2.8D
Nikon 1 V1
1NIKKOR VR10-30mm F3.5-5.6