宇宙船ストラトキャスター
Fender STRATOCASTER
ストラトキャスターは1954年に発売されたアメリカ、フェンダー社の
ソリッドボディ・エレクトリックギター。
多数の革新的機構を備え、今日のエレクトリック・ギターの
基礎となったモデルと言える。
ハイポシションでの演奏性を考慮し、ボディ両サイドが深くえぐられた
ダブルカッタウェイ・ボディシェイプ。
ネック材が指板も兼ねるという斬新なメイプル・ワンピースネックは
1959年末にスタンダードなローズウッド指板へ変更された。
ヘッドストックに角度は付いておらず、ヘッド面を一段低く成形することで
各弦のテンションを得ている。1、2弦にはリテイナーを備える。
クルーソン・デラックスのチューナーを一列に配した合理的なデザイン。
6本のネジを支点にブリッジ自体が可動するシンクロナイズド・トレモロ。
ピックガードは白、黒(濃紺)、白の3プライの通称「グリーン・ガード」。
ボディ裏面のスプリング・キャビティ。
6本の弦とトレモロスプリングのテンションが釣り合うことで、
ブリッジは浮いた状態で安定する。
ソリッド且つブライトなトーンのシングルコイルピックアップは
リアピックアップが若干傾いてマウントされている。
演奏時、体に当たる部分が大胆に削られたコンタード・ボディは
抱えた時のフィット感が抜群に良い。
凝った意匠の舟形ジャックプレート。
ボディ外周からジャックが飛び出さないので座って引くときに都合がいい。
これは日本人ならではの感想かも知れない。
フェンダーギター最大の特徴ともいえるボルトオン・ネック。
4本の木ネジを緩めればネックはいとも簡単に取り外せる。
分解されたボディとネック。
ボディ側ネックポケットに塗装は乗っていない。
管理番号や記号が書かれている。
ネックエンド。平面に接着されたローズウッド指板は
スラブ・ボードと呼ばれる初期の特徴。
ネック裏面。ボディと同一の管理番号。
露出面を境に飴色に焼けたラッカーの状態がよくわかる。
11本のネジを緩め、ピックガードを外す。全ての電子部品が
ピックガードを介してボディにマウントされている。
ルーターで深く加工されたコントロールキャビティ。
コットン巻のリード線はジャック、アースへと繋がっている。
ピックガード裏面にはノイズ防止のためのアルミプレートが挟まれている。
ピックアップキャビティはかなりタイトに加工されている。
元来「裏ワザ」であった、ふたつのピックアップを同時に鳴らすハーフトーン。
後年は5点式のピックアップセレクターの採用で容易になった。
ブラウントーレックスのハードケース。
「トーレックス」とは合成樹脂製合皮の商品名。
ストラップ、シールドコード、
トレモロスプリング等の純正アクセサリー。
ケース内装は鮮やかなオレンジ。
ケースの内外装は年代によって様々なバリエーションが存在する。
淡い紫がきれいなバーガンディ・ミスト・メタリック。
初期のカスタムカラーは当時のアメ車の塗料が使用されているという。
一通りの調整も済んだので、少し弾いてみましょう・・・
~♪~
フェンダー社の創始者
レオ・フェンダー氏は自身でギターを弾くことは生涯なかったという。
既成概念にとらわれず、機能性と合理主義に徹して作られたものが
その副産物として、普遍的で美しいデザインを手に入れた。
60年前にレオ・フェンダーが「発明」したストラトキャスターは
今でも形を変えることなく世界中のミュージシャンに愛用されている。
いつの日か、その名の通り成層圏を突き抜け宇宙へと旅立つ時もきっと来る。
私はそう信じている。
使用したカメラとレンズ
Nikon D610
Nikon AF-S NIKKOR 50mm F1.8G
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写真と文 Map camera Staff