2021年の夏、私たちMapCameraは27周年を迎えました。
これもひとえに、日頃ご愛顧いただいている皆様があってこそのこと、いつも本当にありがとうございます。
今年はマップカメラで働くスタッフ一人一人が、27周年にちなみ「○○と、つながる」というテーマでバトンを“(27)つな”ぐことに。
「屈指のカメラ好き」は数居れど、撮るもの、撮る目的は十人十色、否、百人百色とも言えるほどに多様であるはず。
夏休みを思い出すような思い出の毎日から、少しずつお時間を拝借いたしまして「カメラが人とモノを繋ぐ様」をご覧いただこうと思います。
ファインダー越しと表現される世界は隔たれているわけではなく「繋がっている」という事を実感していただけたのなら私たちも嬉しい限り。
個性派揃いの全45回、今夏のお供にどうぞ。
第35回「映画と、つながる」
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映画を見に行くと必ず半分残るもの
そう、「半券」です。
半券と言いつつ、最近は切らないで一枚のまま残ることも多くなりました。
昔は入口に【もぎり】と呼ばれる係の方が立っていて、券を渡すと半分ちぎって(もぎ取るが語源となり【もぎり】と呼ばれていたそうです。)片方を受け取って劇場内に入りました。
現在は完全入れ替え制で、席も指定になる劇場がほとんどです。席の番号が印刷されていて、それを入口の係の方がチェックして入場。券をもぎるという光景も徐々に過去のものとなりつつあります。
そんな「半券」をKodakのフィルム缶に入れて集めています。
「Kodak vision2 500T/5218」
このフィルム缶は、私が映画撮影の現場にいたころ先輩から頂いたものです。
年々フィルムを扱う現場が少なくなる中、本物のフィルム缶を頂いた時には胸が躍ったものです。
最初は棚に飾っているだけだったフィルム缶ですが、ある日を境に映画の半券を入れるようになりました。
映画の半券には様々な思い出が残ります。
何回も足しげく通った新宿ミラノ座。大きなスクリーンの最前席で浴びるように映画を見た日々。
現代では映画を見る視聴フォーマットもテレビからPCへ、果てはスマートフォンでも映画を見られるようになりました。
いつでもどこでも視聴できることは喜ばしい事ですが、映画との接し方が変わってしまう気がしていまだに慣れません。
「映画は真っ暗闇の中、大スクリーンで浴びるように見たい」
ミラノ座の半券を見るたびに、視界いっぱいに広がる銀幕のスクリーンで見た映画達の記憶が蘇ってきます。
同じ映画の半券が何枚も出てくることもあります。
同じ映画を、同じ劇場で、朝一番の回とその日の最終回で1日2回観ることもありました。
公開から時間が経てば、配信やソフトでも販売され、何度も繰り返し見ることはできます。
ですが、大きいスクリーンで見ることが出来るのは映画館で上映されている間だけです。
そんな限られた期間でしか観られないからこそ、私は映画館に何度でも通います。
映画館で映画を見るためには必ず必要な「半券」
映画と自分をつなげてくれる存在。しかも観た後も半分は残り続けて、自分と映画をずっとつなげてくれる存在。
まさしく「好きと、つながる」
「映画と、つながる」
つながる日々をいつでも記録する。
X100Vはいつでも寄り添ってくれる相棒です。
「フィルムシミュレーション」は今はもう作られていないフィルムの記憶を呼び覚ましてくれる。フィルムと自分をつなげてくれるカメラでもあります。
不思議なことに、クラシックネガで昔の半券を撮影すると、なんだかその当時の記憶とつながれる気がしてきます。
気のせいでしょうか?
次回はどんな「好き」とつながるのか、最終回まであと10回、引き続きご期待ください。