週刊カメラーズ・ハイ!【アーカイブス】『オリンパス・ペン 1959-2009』(後編)
┃週刊カメラーズ・ハイ!【アーカイブス】『オリンパス・ペン 1959-2009』(後編)
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~こちらの記事は2010年7月16日に掲載されたものです~
◆ハーフ判ブーム到来 ーシリーズは伝説へー
入社して間もない米谷(まいたに)氏が、誰でも使えて手が出しやすいコンパクト
カメラを目指して設計した「オリンパスペン」は、1959年の発売後、瞬く間に大ヒット。
露出計なし、ピントは目測という徹底的に簡素化されたペンは、破格の安さもあり
爆発的な売れゆきをみせます。
ペンは以降、バリエーション豊富に改良型が次々と発表されることになります。
シンプルな機能の初代ペンから、誰でも撮れる初心者向けの「EEシリーズ」、
プロ仕様の「Dシリーズ」やワイドレンズ搭載の「W」、伝説のハーフサイズ一眼「F」
など、常に人々を魅了し続けました。
ペンが広く普及する原動力となった「EEシリーズ」は1961年に「ペンEE」が初登場。
シャッターを押すだけで簡単にキレイな写真が撮れるカメラとして、初めてカメラを
使う子供、特に女性に大人気になります。
翌1962年には上級機として、F1.9の大口径レンズに高速1/500秒シャッター搭載の「ペンD」が発売。
1965年には、世界初となる電子シャッターに自動巻上げ・巻き戻しという新機能を搭載した「EM」が
発売されます。
1963年、続々と各メーカーからもハーフサイズカメラが発売され黄金期を迎えた頃には、
世界初で初めてとなるハーフサイズ一眼レフカメラ、「ペンF」が華々しく登場します。
シャッター幕に初めてチタンを用いたロータリー式フォーカルプレーンシャッターや
横方向に動くクイックリターン式ミラー、さらにポロプリズムファインダーを装備するなど、
独創的な機能を搭載した革新的なカメラでした。
突出したペンタ部がなく、平坦なボディに印象的な花文字の『F』が刻まれたスマートなデザイン。
20本に及ぶ交換レンズや、フラッシュやフード、露出計にマウトアダプターなどの
アクセサリーも充実していました。
その優雅さからか、愛好者たちから「女王」と呼ばれ、特にブラックボディは、
『F』の文字が紅く刻印された稀少モデルとされています。
続く1966年には外観をそのままに大幅な改良をはかった「FT」が発売。
半年後には「FT」からTTL露出計を省略した「FV」が発売されました。
いつの時代も多くの人々に愛されたペンは、シリーズ累計17種を生産。
それから46年の歳月を経て、2009年18種目となるペンをデジタルカメラ『E-P1』として発売。
かつてと同様、小型かつ手軽に持ち運べるデザインは見る物を虜にしています。
シリーズトータルで1700万台超という途方もない出荷台数。
今なお紐解いても個性あふれるカメラシリーズとして、「ペン」が今後どのように進化していくのか
世界中から注目が集まっています。
今やカメラを所有するのが当たり前なり、私達の思い出や記録が写真として
多く残せるようになったのも、一人の設計者のカメラに対する情熱と独創的な発想、
それを支えた技術者達の熱き思いがあったからこそなのかもしれません。
※「ペン」の名前の由来は、筆記具の『ペン』のように
小さく軽く気軽に誰でも使える(撮れる)ところから名付けられたそうです。