いつも『新品・中古デジタルカメラ人気ランキング』をご愛読いただきまして、誠にありがとうございます。 毎回、月ごとの販売数でランキングを行っておりますが、今回はそのまとめとして2021年度(令和3年度)、つまり2021年4月より2022年3月末までの1年間のランキングをお知らせしようと思います。
昨年度に引き続き社会的混乱は収まるところを知らず、出口の見えないなか事態の収束を優先させるか経済の立て直しを優先させるか、社会全体が手探りで進んできた感のある1年となりました。
カメラ業界においても、全世界的な半導体の不足等により製品の供給不足が深刻化。
各メーカーがしのぎを削りまさに心血を注いで開発・生産した新機種ですら、予約受付もしくは発売後間を置かずに供給不足に陥り、希望する方全てには行き渡らない状況になってしまっています。
今回の年間ランキングもそんな苦しい状況を反映している部分が多々見受けられます。
このランキングを紐解くことで、混乱の続いた1年間を振り返ってみましょう。
2021年度 新品デジカメ販売数ランキング | |||
1位 | SONY | α7IV | ミラーレス一眼カメラ |
2位 | Canon | EOS R6 | ミラーレス一眼カメラ |
3位 | Canon | EOS RP | ミラーレス一眼カメラ |
4位 | Nikon | Z fc | ミラーレス一眼カメラ |
5位 | Canon | EOS R5 | ミラーレス一眼カメラ |
6位 | OM SYSTEM | OM-1 | ミラーレス一眼カメラ |
7位 | RICOH | GR IIIx | コンパクトデジタルカメラ |
8位 | FUJIFILM | X-E4 | ミラーレス一眼カメラ |
9位 | Nikon | Z6II | ミラーレス一眼カメラ |
10位 | FUJIFILM | X-T4 | ミラーレス一眼カメラ |
11位 | Nikon | Z9 | ミラーレス一眼カメラ |
12位 | SONY | α7C | ミラーレス一眼カメラ |
13位 | SONY | VLOGCAM ZV-E10 | デジタルムービーカメラ |
14位 | FUJIFILM | X-S10 | ミラーレス一眼カメラ |
15位 | SONY | FX3 | デジタルムービーカメラ |
16位 | SONY | α7III | ミラーレス一眼カメラ |
17位 | SONY | α7SIII | ミラーレス一眼カメラ |
18位 | RICOH | GR III | コンパクトデジタルカメラ |
19位 | Nikon | Z5 | ミラーレス一眼カメラ |
20位 | Leica | Q2 | コンパクトデジタルカメラ |
2021年度の新品部門を制したのは、12月17日発売の「SONY α7IV」です!
そう、この時は大変な盛り上がりぶりでした。ご予約開始の時も含め、マップカメラ全体がお祭り騒ぎのような状態になったのをよく覚えています。
先代α7IIIの発売が2018年3月でしたから、実に3年9ヶ月ぶりのモデルチェンジ。ユーザーにとって本当に待ちに待ったニューモデル登場となったわけです。
新型機の登場を首を長くして待たれていた方やSONYの戦略的な予告宣伝等の効果もあって、ご予約数は膨大なものになりました。初回入荷数が多かったため発売月は圧倒的大差で見事初登場1位を獲得しましたが、入荷数を上回るご注文に取り寄せ状態になってしまい、その後は入荷したものをご注文した方に順次引き渡す形となっています。
それでも2021年度終盤を沸かせた注目の1台が新品ランキングのトップを飾ることになりました。
続く2位は2020年8月に発売された「Canon EOS R6」、α7IVに迫る数となっています。
月間ランキングをよくご覧の方なら記憶に残っているかもしれません。前の月2020年7月にEOS R5、8月にEOS R6と立て続けに注目のカメラを発売したCanonですが、どちらも初回入荷数が非常に少なく、大変な数のご予約をいただいていながら初登場1位を逃してしまいました。
EOS R6は翌2020年9月には1位を獲得出来ましたが、次の10月には4位まで後退するなど、供給が安定するまでかなり時間を要してしまいました。
それでも人気は高く、2020年度の年間ランキングでは3位に入り、1位だったEOS R5とともに2020年度を代表するカメラとして高い評価を得ました。
2021年度に入ってもその人気は衰えるどころか上昇傾向に。キャッシュバックキャンペーンの対象に入るようになると兄貴分EOS R5を抜いて常にランキングの上位に名を連ねるようになりました。5、6、7、11月と年間4度1位を獲得、これはSONY α7IVの3度を上回る数です。
上位2機種からは大きく差を開けられていますが、3位に「Canon EOS RP」が入りました。こちらはなんと2019年3月の発売、3年前発売の機種がトップ3にランクインです。
EOS Rの弟分として登場したのですが、実は発売当初はそれほどの反響を生み出せなかった機種です。
発売月こそ予約数も多く、同じ月発売のRICOH GRIIIに水を開けられたものの2位にランクイン。好調な滑り出しと思われたのですが、翌月は10位、以後ランク外と失速してしまいました。
小型軽量のフルサイズミラーレス機を謳い文句にしていたのですが、当初まだそれに見合うような小型レンズが極端に少なく、その良さを充分に活かし切れていない感がありました。
その後もランク外に低迷することが多く、EOS Rの弟分というメーカーの思惑は外れてしまったようでした。前回2020年度の年間ランキングでも14位と特に目立つことなく…
正直このまま消えてしまうかとも思われましたが、そんな状況に変化があらわれたのは2021年4月、そう、まさに2021年度の始まりからでした。
その要因と思われるのがEOS R5・EOS R6の台頭。メーカーからの供給が安定し、人気が不動のものになったことで、Canonのミラーレス機が人々にすっかり浸透しました。
すでに発売から時間の経過していたEOS RPは、新品価格も下がり、かつキャッシュバックキャンペーンの対象になることで、実質10万円を切るというかなりお手頃感のあるモデルとなりました。
結果として、EOS Rシリーズの入門機またはサブ機としての地位を確立、好調Canon勢を支える1台となりました。
そのCanon勢からはもう1機種、「EOS R5」が5位に入りました。
前回、2020年度年間ランキング1位を獲得したカメラ。
こちらはキャッシュバックキャンペーンの対象外でありながら高い人気を誇り、先の2機種とともに月間ランキングの常連となっていました。
2021年11月に満を持して発売になった上位機種EOS R3は、残念ながら発売当初から供給不足に。プロやハイアマチュアを含め多くのカメラマンがEOS R5を選択する結果になったことも要因に挙げられます。
話が前後しましたが、4位に入ったのは「Nikon Z fc」。2021年7月発売、そのデザインが大変話題になった1台です。
機械式フィルム一眼レフカメラとして人気の高かった、Nikon FM2のデザインを彷彿とさせるフォルム。
若いカメラユーザーの間で、レトロな雰囲気を持つフィルムカメラが人気を集めていることに起因するデザイン開発であったと思われます。
Nikonの製作したCMなどを見ても、若いユーザーをターゲットにしていることが感じられます。
実際店頭でも、本格的な一眼カメラをお洒落に始めてみたいという方やフィルムカメラで撮影の楽しさを知った方がより気軽に使ってみたいとご購入されるケースが多く見受けられました。
しかしそれと同時に目立ったのが、FM2などのフィルムカメラをリアルタイムで使っていた世代の方の購入。そのデザインがグッと胸に刺さったようです。
既に自分の用途に合わせた本格的なカメラシステムをお持ちの方も、昔懐かしいデザインに惹かれ、ちょっと手元に置いておきたいなとご購入されるケースの多かったこと。
他メーカーユーザーの方のご購入も多く、そのためか、ボディ単体より往年のマニュアルレンズを思わせるNIKKOR Z 28mm F2.8(Special Edition)とのキットや、1本である程度の撮影がカバーできる標準ズームNIKKOR Z DX 16-50mm F3.5-6.3 VR シルバーとのキットの方が圧倒的に販売台数を伸ばしました。
他のカメラとは少し趣の異なるものですが、コンスタントに売れ続け年間ランキング上位にランクイン。ランキングに彩りを添えてくれました。
そして6位には… なんと、先月3月18日発売になったばかりの「OM SYSTEM OM-1」がランクイン! これには本当に驚いたの一言しかありません。
繰り返しますが、2021年度、つまり2022年3月31日までの販売台数を競っているわけです。ということはそう、たった2週間ほどの期間で年間6位に入る台数を売り上げたことになります。
昨今の各メーカーの供給状況を考えれば、この1台に懸けるメーカーの意気込みが伝わってくるというもの。2022年度の動向も楽しみなカメラです。
続く7位には、2021年10月1日発売の「RICOH GR IIIx」が。
高画質コンパクトカメラの代名詞ともいえるRICOH GRシリーズ。伝統の28mm相当の画角から標準40mmという新たな撮影領域を身に纏った、シリーズ革新の1台です。
他メーカーが通常新製品の発売を月の中旬から下旬に持ってくることが多いのに対し、GR IIIxは月初め1日の発売でした。結果10月の販売台数はすさまじい数に及んだのですが、そこで売り尽くしてしまったのか翌月は失速。上下動の激しい販売傾向を示したカメラでした。
8位に「FUJIFILM X-E4」。FUJIFILMは10位に「X-T4」、14位に「X-S10」が来ました。
ただこの1年は他メーカー同様、供給不足に苦しんだ年でした。特にX-S10は、人気で言えばもっと上位に入っていてもおかしくない機種。ちょっと元気が感じられませんでした。
今回のランキングには登場していませんが、GFX 100S(2021年2月発売)やGFX 50S II(2021年9月発売)など、中判フォーマットの方が活発な動きを見せていたようにも思います。
「Z6II」が9位に入ったNikonですが、先のZ fcの奮闘を除くとCanon R5・R6との主力対決では完全に後塵を拝してしまった感があります。
R5・R6が今後の月間ランキングでもランキング上位に定着するだろうことが予想されるだけに、Nikonの巻き返しがいつ始まるか期待したいところです。
さて、2021年度年間ランキング10位までを見た時、期間内に発売開始されたカメラは4機種になります。
これが多いか少ないかというと… やはり圧倒的に少ないと言わざるを得ません。
前回2020年度は10位中8機種が新製品でしたから、その半分ということになります。
原因は勿論、各メーカーの苦しんだ供給不足。その代表例ともいえるのが11位の「Nikon Z9」(2021年12月24日発売)です。
予約数でみれば、供給不足さえ起らなければ今回上位の2機種にかなり肉迫していたことと思われます。
今回20位以内にも顔を出しませんでしたがCanon R3も同様です。
3メーカーの熾烈な新製品の競い合いを楽しみにしていたファンも多かったはず。勿論、私もその一人でした。
一刻も早い事態の好転を期待したいところ。各メーカーに心からのエールを送りたい気持ちでいっぱいです。
2021年度 中古デジカメ販売数ランキング | |||
1位 | SONY | α7III | ミラーレス一眼カメラ |
2位 | SONY | α7C | ミラーレス一眼カメラ |
3位 | FUJIFILM | X-S10 | ミラーレス一眼カメラ |
3位 | Canon | EOS 5D Mark III | デジタル一眼レフカメラ |
5位 | Nikon | D750 | デジタル一眼レフカメラ |
6位 | SONY | α6400 | ミラーレス一眼カメラ |
7位 | SONY | α7RIV | ミラーレス一眼カメラ |
8位 | SONY | α7II | ミラーレス一眼カメラ |
9位 | RICOH | GR III | コンパクトデジタルカメラ |
10位 | Canon | EOS RP | ミラーレス一眼カメラ |
11位 | FUJIFILM | X100V | コンパクトデジタルカメラ |
12位 | Canon | EOS R | ミラーレス一眼カメラ |
13位 | SONY | α7RIII | ミラーレス一眼カメラ |
14位 | FUJIFILM | X-T3 | ミラーレス一眼カメラ |
15位 | Nikon | Z6 | ミラーレス一眼カメラ |
16位 | Canon | EOS R6 | ミラーレス一眼カメラ |
17位 | Canon | EOS 5D Mark IV | デジタル一眼レフカメラ |
17位 | OLYMPUS | OM-D E-M1 Mark II | ミラーレス一眼カメラ |
19位 | FUJIFILM | X-T4 | ミラーレス一眼カメラ |
20位 | Nikon | D850 | デジタル一眼レフカメラ |
2021年度中古ランキング、栄えある1位は「SONY α7III」でした。
しかしまぁ、これは当たり前と言えば当たり前の結果。毎月ランキングを見てくださっている方なら周知の事実とも言えるでしょう。
年12回のうち、実に11回の首位をα7IIIが獲得しています。唯一首位を逃した2021年8月も、α7RIVに続く2位でした。
というわけで、2位以下に大差をつけての堂々年間1位です。
2018年3月の発売から丸4年経ちます。誰もが認めるロングセラー機、当マップカメラでも発売開始時から大変な数のα7IIIが皆様の手に渡っていきました。
以前は、メーカーキャッシュバックキャンペーンが実施されると新品購入に流れる傾向がありましたが、最近は中古を選択される方が圧倒的に増えました。
中古商品数も潤沢で、ご希望にあったランクの品を豊富な在庫の中から選んでいただけるようになり、本格的なフルサイズ機での撮影を始めようという方にも魅力的な1台になっています。
加えてα7IVの登場で価格がよりお手頃になることも考えられますから、まだまだ中古ランキングを引っ張っていく存在で居続けることでしょう。
2位にも「SONY α7C」が入りました。
α7IIIよりさらに小型軽量になったフルサイズ機として人気を集めている機体です。
2020年10月の発売で、2020年度の新品ランキングでは4位に入りましした。本来なら、今回の新品ランキングでも上位にいてもおかしくない存在。ですがここにも供給不足の影響が。
2021年末にSONYがα7Cやα6600、α6400などの注文受付停止を相次いで発表、弊社でも新品販売を停止しています。
結果、中古商品の購入しか選択肢がない状態で、それがランキング上位に入った要因の一つと考えられます。
同様の考察は、3位「FUJIFILM X-S10」にも当てはまりそうです。
こちらも2020年11月の発売以来、大変な人気・注目を集めたカメラ。月間の新品ランキングでも、常にα7Cと順位を競う存在でした。
新品ランキングの常連となりえる機体だったのですが、2021年6月に13位と急激なランクダウン。その後も供給の不安定な状態が続いてしまいました。
α7CとX-S10の中古ランキングでの上位獲得は、正直複雑な心境になってしまいます。
同数3位に「Canon EOS 5D Mark III」、次いで5位に「Nikon D750」と一眼レフ機が並びました。
20位までで見ると、計4機種の一眼レフ機がランクイン。前回2020年度は6機種でしたから、やはり数は減ってきています。
とはいえ、まだ上位に食い込めるだけの根強い人気は維持しています。一眼レフでしか撮れないシーンがあると、当マップカメラスタッフの中にも一眼レフ機は手放せないという頑固なファンが存在しています。
今後も一眼レフ機の灯が消えないことを祈るばかりです。
6位からは、6位「α6400」、7位「α7RIV」、8位「α7II」とSONY勢が名を連ねます。
結果として10位以内に5機種のSONY機が。新品部門ではα7IV以外は下位に沈んでしまいましたが、中古部門では大きく存在感を示しました。
特にα7シリーズは種類も様々あり中古在庫も豊富なものが多いので、用途やご予算に合わせての選択が可能。今後もお客様からの支持を受けそうです。
9位に「RICOH GRIII」、新品部門でも18位に入っていました。
根強い人気を誇る高画質コンパクト。同じカテゴリーに属す「FUJIFILM X100V」(中古ランキング11位)より上位を獲得しました。
GRIIIxの登場も注目度を上げる要因の一つになったようです。
そして10位に「Canon EOS RP」。新品ランキングのところでも詳しく紹介しましたが、発売当初よりも存在感の増したカメラ。
特に中古ともなれば驚きの低価格でフルサイズ体験が可能になるとあって人気に。今は中古商品が大変品薄となっています。
Canon Rシリーズの台頭を陰で支えた機体と言えます。
さて、2021年度の年間ランキング、いかがでしたでしょうか?
カメラ業界を襲った供給不足の事態はかつてないほど深刻なもので、その影響は今回のランキングにもはっきりと表れています。
ですが、その1台1台は皆様が選びご購入された大切なもの。ランキングを盛り上げてくれる貴重な1台となりましたこと、深く感謝いたします。
そして、マップカメラから旅立ったカメラたちが、皆様の大事なパートナーとして日々活躍していることを切に願います。
まだまだ先行きの見えない状況であることに変わりはありませんが、桜を始めとする花々が咲き出し気候も温暖になってくれば、撮影に出掛けたくてウズウズしてしまうのはいたし方ないところ。
感染予防の対策をしっかりとって、さて今日はどのカメラとレンズで繰り出そうか? そう、やっぱり私たちは皆カメラ好きです。