【RICOH】THETA Z1で見る全天球カメラの映像表現
映像業界も日々進歩しています。
HDから4Kへ、さらに6K、8Kと進んでおり、少し前には12K画質のプラネタリウムが公開されて話題になっていました。
最近になって新作が公開された某SFアクション映画で有名なバレットタイム撮影(一つの被写体を複数のカメラで一度で撮影し静止した状態でカメラを動かしているように見せる撮影技法)も有名でしょう。
一部のiPhoneなどにも搭載されているLiDARスキャナという距離を測定する3Dスキャナはカメラと連動し撮影することで3Dモデルの作成が可能で、近年公開された映画では巨大な舞台装置を3Dデータに落とし込んで実写と3Dを融合させて映像にしたりもしていました。
また身近なところではCanonから今月、「RF5.2mm F2.8 L DUAL FISHEYE」という180度VR映像を作成するためのレンズが発売開始となります。こうした技術は今後VR(仮想現実)のみならず、AR(拡張現実)、MR(複合現実)などでも活躍を見せてくれることになるのでしょう。
そして、そうした最新のカメラ技術のひとつに360度を撮影する全天球カメラというものがあります。
RICOHより発売されているTHETAは全天球カメラの中で最もメジャーな機種であります。
今回、私が使用したのはTHETAシリーズの中でも最上位機種のTHETA Z1。こちらで動画を撮影してきました。
まず最初は正面を人が横切るだけの動画です。これは公園にあるジャングルジムの中心に小型の三脚を立てて、そこにTHETA Z1をおいて撮影しております。
続けては歩いている被写体を追っていく動画です。
狭いジャングルジムの中で滑らかにカメラが動いているように見えています。
次にお見せするのは下から見上げるようなカメラワークで被写体が周囲を歩いていく動画です。後半の大きく変化する影の動きがなかなか面白いと感じます。
最後にお見せするのは被写体に合わせて変則的に動いていく映像です。
さて、ここまでの映像を見てこれらが同じ映像を加工して造り出されたものであることに気づけましたでしょうか。
種明かしをすれば表示している四つの映像は、上記の画像のように180度撮れるふたつの半球型レンズで撮影した映像を合成し360度すべての光景をまとめ上げた動画をさらに加工して編集し出力したものです。
たった一回撮影した映像からでもこうした複数のカットが生み出せるというのは非常に面白いもので、撮影後にカメラワークの調整が利くので、実用性も大きいのです。もっとも現時点での課題としては解像度の問題があります。Z1は約2000万画素の1インチセンサーを2基積んでいますし、コンパクトデジタルカメラとしては高画質な部類にあたりますが、記録しているのは360度すべての光景です。
けれども人間の目は360度すべてを見るように作られてはおらず、実際に人の目で見るのはその中の一部となるために、どうしてもほかのカメラに比べて目で見える映像は解像度が低くならざるを得ません。
とはいえ、それも現段階での話。現時点においても全天球カメラは不動産やセキュリティなど多方面の分野でも導入されていますし、いずれ技術力が上がり、解像度がさらに高くなれば、映像業界のなかでも主流になり得るポテンシャルを秘めています。
まさに未来を先取りするカメラ。オンリーワンな写真と映像を撮るならば私はTHETAをおすすめします。