
【TAMRON】F2.8ズームレンズに新しい選択肢を。絶妙なバランス感がクセになる、35-100mmという焦点距離。
全国各地で梅雨入りの時期を迎えた今日この頃。
皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて本日は、2026/3/26に発売された「TAMRON 35-100mm F2.8 Di III VXD / Model A078Z」をご紹介いたします。
TAMRONは以前より「TAMRON 35-150mm F2-2.8 Di III VXD / Model A058Z」というレンズを販売しており、こちらはポートレート撮影に特化した焦点距離と、大きなボケを期待できる開放F2-2.8という絞り値が人気を呼んだレンズです。
しなしながら、重さが1kgオーバーという重量級のサイズ感から、より持ち運びしやすいスペックが切望されていました。
そんな中登場した本レンズ。
その実力を確かめるべく、今回は類似レンズとの比較や実際の作例を通して、その魅力に迫っていきたいと思います。
どうぞお付き合いください。
①F2.8通しの新たな選択肢となるか。外観やスペックをチェック。
1.レンズ紹介

まずはレンズ本体を見ていきましょう。
F2.8通しの標準ズームレンズながら、他メーカーの純正レンズやサードパーティーレンズを含め、非常に珍しい広角側35mmスタートの本レンズ。
ちょっと狭いかも?とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。
特に昨今のキットレンズや標準ズームは、動画やセルフィー向けにより広角側へ拡張される事が増えてきていますので、そのトレンドとは少し外れた存在です。
確かに動画ではクロップされてしまう場合も多く、またセルフィーでは自分以外の背景を大きく取り込むために、焦点距離側でカバーするというのは理にかなっています。
ただ、そのために望遠側の焦点距離が削られてしまったり、フィルター径が大きくなってしまうというデメリットも散見されました。

ある程度自分の撮影する焦点距離が把握できている方にとって、「広角側がそこまで必要ない」という方もいらっしゃるかもしれません。
自分の使わない範囲の焦点距離なら、いっそ削って軽量化してくれた方がいい。
そんな声に応えたのが、まさしく本レンズでしょう。
また同メーカーから発売されている「TAMRON 28-75mm F2.8 Di III VXD G2 / Model A063Z」ではズームリングがマウント部から遠い位置にあり、ズームリングを回す際にフォーカスリングに触れてしまう恐れがありました。
本レンズではマウント部に近い位置にズームリングが配置されているため、ファインダーを覗きながらの操作でも安心して使用できます。

本体横に配置されているのは、フォーカスセットボタンとカスタムスイッチです。
専用ソフト「TAMRON Lens Utility」を使用することで、用途に合わせて3つの異なる機能を割り当て・切り替えができる非常に便利な機能となっています。
また、本レンズの発売と同時に発表されたBluetoothアダプター「TAMRON LINK (Model TL-01)」を装着することで、専用のスマホアプリからワイヤレスで設定変更が可能となります。
有線接続をすることなく、瞬時に設定を変えたい場合に効果的です。

こちらはNikon Z8との組み合わせです。
Zシリーズの中でも比較的大型なZ8に装着すると、レンズ側に重心が偏ることもなく、長時間の撮影でも難なくこなせるようなバランス感に。
今回の作例撮影でもこの組み合わせを使用しましたが、F2.8通しのレンズを装着しているとは思えない軽快さでした。
レンズ径もΦ80.6mmに抑えられており、これは「Nikon NIKKOR Z 24-120mm F4 S」のΦ84mmよりも細身です。
撮影時のハンドリングの良さが印象的でした。

続いてZ5IIとも組み合わせてみました。
ボディの底面とレンズ底面がちょうど平らになる、シンデレラフィットです。
出来るだけ軽量な組み合わせを求める方はこちらもおすすめかもしれません。
2.スペックシート

続いてはF2.8通しの類似レンズを交えて、スペックシートにまとめてみました。
焦点距離の微妙に違う三者ですが、果たしてどのような差が生まれるのでしょうか。
| レンズ名 |
TAMRON 35-100mm F2.8 Di III VXD / Model A078Z |
TAMRON 28-75mm F2.8 Di III VXD G2 / Model A063Z |
Nikon NIKKOR Z 24-70mm F2.8 S II |
|---|---|---|---|
| 新品価格(税込) (2026/6/5現在) |
¥133,507- | ¥115,200- | ¥321,090- |
| 重量 | 約575g | 約550g | 約675g |
| 最大径x長さ | Φ80.6mmx121.5mm | Φ75.8mm×119.8mm | Φ84mm×142mm |
| 焦点距離 | 35-100mm | 28-75mm | 24-70mm |
| フィルター径 | Φ67mm | Φ67mm | Φ77mm |
| 最短撮影距離 | 0.22m (WIDE) / 0.65m (TELE) | 0.18m (WIDE) /0.38m (TELE) | 0.24m (WIDE) /0.33m (TELE) |
| 絞り羽根枚数 | 9枚(円形絞り) | 9枚(円形絞り) | 11枚(円形絞り) |
| ズーム方式 | 繰り出し式 | 繰り出し式 | インナーズーム式 |
| AF駆動方式 | VXD (リニアモーターフォーカス) |
VXD (リニアモーターフォーカス) |
VCM (ボイスコイルモーター) |
| レンズ構成 | 13群15枚 【XLD (eXtra Low Dispersion)レンズ1枚、LD (Low Dispersion: 異常低分散)レンズ2枚、GM (ガラスモールド非球面)レンズ3枚】 |
15群17枚 【LD (Low Dispersion: 異常低分散)レンズ2枚、非球面レンズ2枚】 |
10群14枚 【EDレンズ2枚、非球面レンズ3枚、メソアモルファスコートあり、アルネオコートあり、最前面のレンズ面にフッ素コートあり】 |
| 特殊コーティング | BBAR-G2コーティング (Broad-Band Anti-Reflection Generation 2) |
BBAR-G2コーティング (Broad-Band Anti-Reflection Generation 2) |
メソアモルファスコート / アルネオコート |

「TAMRON 28-75mm F2.8 Di III VXD G2 / Model A063Z」との比較では、同メーカーという事もありかなり近いスペックになっています。
しかしながらレンズ構成の部分では、「TAMRON 35-100mm F2.8 Di III VXD / Model A078Z」の方が総レンズ枚数が少なくなっています。
これはXLDレンズやGM非球面レンズといった特殊レンズの採用が、望遠側を拡張しながらも総レンズ数を減らし、全体のサイズを維持できた要因と言えるでしょう。

また「Nikon NIKKOR Z 24-70mm F2.8 S II」との比較では、価格やサイズ感に大きな差が生まれました。
メーカー純正のF2.8通しレンズは、求められているものが堅牢性やより速度の速いAFであるなど、方向性の違いによるものであると言えるでしょう。
撮影者の求める要素によって選べる選択肢が増えることは、マウントを選ぶ上でとてもありがたいことです。

余談ですが、3本のレンズのテレ側を比較してみたところ、ほぼ同じ長さになるという結果に。
望遠側を使用する上で、重心移動は少ない方が好まれるため、この仕様はありがたいです。
②街中から花の撮影まで。被写体を選ばない汎用性の高さと、魅力的な写りをご紹介。
ここからは実際の作例を交えて本レンズの描写を見ていきます。
まずは街中のスナップから。


5月も終わりを迎え、梅の木にはまるまると大きな実が成っていました。
夏の陽気を感じさせるような日差しの下で、頭上を見上げながら撮影します。

小鳥の鳴き声がしたので上を見上げると、電信柱にスズメが止まっていました。
DXクロップを使用すれば、さらに寄ることも出来ます。


街中でスナップ撮影にも用いてみます。
それぞれモノクロとビビットカラーの映える被写体で、レンズの描写はどのように違うでしょうか。
モノクロの方では豊かな階調と自然なボケ味が見てとれます。
自転車の金属部分とタイヤのゴムの部分、それぞれの質感もうまく再現されていて、違和感もありません。
またカラーの方は、Nikonの得意とするコントラストの効いた色再現をしっかりと描写しています。
モノクロの方でも見えた階調の豊かさが、色調にも深みを与えているように見えます。
開放絞りでは強い太陽光の下だと若干のフリンジが見受けられますが、1段絞ることで目減りしました。

カフェに寄った際に入り口に置いてあった2体のシーサー像。
小物にもここまで寄ることが出来ます。
ここからはバラ園に行った際の作例です。

バラと言いつつ、早咲きの紫陽花が咲いていたので前ボケを意識したカットで撮影。
ズームレンズとは思えないほどボケがきれいに出てくれます。
開放絞りではピント面にふんわりとベールがかかった様な描写に。
被写体の持つ柔らかさを引き出すことが出来るため、やはりポートレート撮影などに適していると言えます。


「花より団子」がそのまま写真になった様な画角で撮影出来ました。
テレ側で撮影したことにより、圧縮効果で花と団子を大きく写すことが出来ています。
100mm側でこうした小物を撮影する際に、普段の標準ズームでの撮影と比べて“背景整理のしやすさ”を感じました。
70~85mmではもう一歩被写体に近付く必要があったり、アングルを維持するために中腰になるようなところを、100mmは楽な姿勢で撮影することが可能です。
スナップにおける「撮影のテンポ」を大事にしたい筆者にとって、100mmでの撮影はとても心地よいものに感じました。

広角側35mmでも縦構図などを駆使すれば、このような広さを感じる被写体にも対応することが出来ます。
準広角とも呼ばれる“35mm”ですが、個人的には歪みの少なさから汎用性の高い画角という印象があります。
「寄って良し、引いて良し」、さらにはF2.8のボケ量も相まって、表現の幅はかなり広いものになっています。



色とりどりのバラを100mm側で撮影していきます。
赤いバラのみ開放F2.8、その他はF5.6での撮影です。
背景のボケ量やピント面の解像感など、絞りによる写りの違いが出てくるかと思います。


毎年この時期になると、このバラ園に訪れて作例を撮影しているのですが、未だに自分の中での“バラ撮影”の正解というものが見つかっていません。
大口径の単焦点を使って背景から切り離すような描写が良いのか、はたまた望遠側で圧縮効果を強めた描写が適しているのか。
解像度の高いレンズが良いのか、ソフトな写りが良いのか。
今回このレンズを使用したところ、毎回の様に悩んでいた上記のようなものを“良い意味”で忘れて撮影に集中することが出来ました。
特にF2.8~F5.6辺りの描写力や、素直に溶けていくようなボケ味。これらがとても心地よく、写真を見ていて被写体にスッと入っていくことが出来る。
まだ正解は見つかっていませんが、このレンズを用いた花の撮影は個人的には上位に食い込む結果でした。


TAMRONのレンズは一眼レフ時代から、どこか暖かみを感じるような写りをしてくれるイメージを持っていました。
撮影時はかなり日差しの強い時間帯でしたが、コントラストをしっかりと感じさせつつも、どこか柔らかな光に照らされているような空気を感じる写りとなっています。


“花手水(はなちょうず)”を寄りで撮ってみます。
青い方は「ヒスイカズラ」と言って、熱帯雨林などに自生するマメ科の植物です。
花びらに付いた水滴までつややかに描写されています。
やはりこのレンズ、諧調が豊かに出てくれます。
花それぞれの色味が豊かなグラデーションを帯びていて、本物以上の豊かな色彩を享受することが出来ました。

ソフトな表現になりがちな開放絞りですが、必ずしも解像しないという事ではありません。
こちらは広角側35mm、開放絞りで撮影した物です。
暗部に潜んだ茎や葉に、細かく産毛が生えています。
ひとつひとつの毛までしっかりと描かれており、ディティールは良好です。


最後にDXクロップを使用して150mmの画角で撮影した作例をご覧ください。
クロップを使用しても解像度やディティールが破綻することなく、鑑賞に堪えうる画質になっています。
③まとめ

今回は様々な観点から「TAMRON 35-100mm F2.8 Di III VXD / Model A078Z」のご紹介をさせていただきました。
純正メーカーのF2.8ズームとは立ち位置が異なる本レンズ。
ハマる人にはハマる、というのが筆者の受けた印象でした。
AF速度や解像力、ボケ味など基本性能は十分なものを持ち合わせています。
その上で35-100mmという絶妙な焦点距離が、普段の撮影では得られない心地よさを生み出していました。
もしご自身の撮影スタイルを振り返って「実はそこまで超広角を使っていない」と気づいたなら、ぜひ本レンズをご一考いただけたらと思います。
○ 常用できるズームレンズを探しているが、重量やコストパフォーマンスを重視したい方
○ 広角側を使わない分、望遠側を伸ばしたい方
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