【タイムズフォト】「World’s finest grain」 コダック エクター100
「World’s finest grain」世界最高の粒状性
こんにちは。
カメラを持ってくると、「どんより」に見舞われることの多いわたしですが、最近はお昼休み青空遭遇率も高くなりました。いい季節を迎えていますね。
さて、いろいろなタイプのカメラに興味を持ってきたわたしですが、ここ最近のお気に入りはバルナックタイプのオールドキャノンレンジファインダー(IVsbとかIIs改)。
こういうもののなかでは比較的手ごろである、という点もあるのですが、シャッタースピードダイアルや巻き上げノブ、段つきの巻き戻し切替レバーなどの無骨でありながら繊細な配置、八角形のフォルムなど、バルナックライカ以上に金属感の高い造形に魅了される、というのがその理由です。
しかしそれゆえの悩みもあります。
実はわたしはメガネ使用者。
IVsbとかIIs改はバルナックライカの二眼式ファインダーとは違う「一眼式ファインダー」を装備。つまりフォーカシングとフレーミングをひとつのファインダーですることが出来ます。
しかし「ロングアイポイント」とか「ハイアイポイント」なんて思想のないこれらのカメラ、小さな小さなファインダーアイピースに思い切り目、というかメガネのレンズを押し当てないと50mmの視野枠を見渡すことが出来ません。
まあ、あきらめて外付けファインダーを使えばフレーミングはしやすいのですが、フォーカシングのためには、やはりファインダーを覗き込む必要があります。
(倍率を3段階に変えられる「変倍式ファインダー」なのでフォーカシングそのものはしやすいのですが。)
アイピース部分はゴムなどはなく金属そのもの、結果、手持ちのメガネはすべてこんな事に。まあ、これも一種の「勲章」ですね!
またしても前置きが長くなってしまいましたが今回も行きます!「豊穣なるフィルムのせかい」
さて今回はどうしよう、いろいろ考えました。
フィルム売り場に行ってみると、ありますね・・まだ使ったことのない興味深いフィルムが。
フジのプロフェッショナルシリーズ(カラーネガ)の海外バージョンなんか凄く惹かれるものがあったのですが、しかし今回はそういった珍品ではなく、わたしが今まで使った中で「これはよかったなあ」と感じたフィルムをご紹介します!
「撮って楽しい、スキャンしてもっと楽しい!「World’s finest grain」コダック エクター100」。
このフィルムを知ったのも、例によって「たまたま」でした。
「ええっあの高級機がこんな値段で買えるの?じゃあいっちょう買ってみるか!」とCONTAXのRX + Y/Cディスタゴン35mmを入手し、フィルム写真生活再スタートをした当時、「せっかく買ったんだからフィルムもいいの使ってみたいな」と選んだ「よさそうなフィルム」がコダックのULTRA COLOR 100というフィルム。
CONTAX RX Distagon 35mmf2.8
Kodak ULTRA COLOR 100
Y/Cディスタゴンの写りのよさもあってか、その描写はすばらしいもので、「ああフィルムって楽しい」と、フィルム写真というものに対して持っていた期待感を充分に満足させてくれるものでした。
ULTRA COLOR 100はそれから程なくモデルチェンジし、「エクター100」という名前に。
以来時々使用してきましたが、いつでも満足のゆく結果をもたらしてくれたように思います。
さて、改めてエクター100の描写性能をためしてみようと思います。
パッケージは黒とオレンジの2トーンカラーに「World’s finest grain」の文字。つまり「世界最高の粒状性」すごい自信です。
今回の機材は前述のキヤノンIVsb。機能的には「バルナックライカを超えた!」と言われる名機です。レンズはこれまた「ズミクロンに迫る高性能」と言われるキヤノン50mmf1.8I型とキヤノンの初代35mm広角レンズ セレナー35mmf3.5。
この35mmf3.5は、キヤノンの最初の35mmレンズ。3群4枚構成テッサータイプでコンパクト。IVsbと一体になって掌にぴたっとおさまる感じです。
ただ、中玉の周辺部にクモリがあり、そのせいか手持ちのレンズの中ではコントラスト、シャープネスとも高いほうではありません。(特に遠景がちょこっと甘いように思います。)
しかし近景はなかなかシャープなので、高性能なエクターとの組み合わせでどんな結果が出るか楽しみです。
Canon IVsb SERENAR 35mmf3.5 Kodak Ektar100
EPSON GT-X770でスキャン
Canon IVsb SERENAR 35mmf3.5 Kodak Ektar100
EPSON GT-X770でスキャン
Canon IVsb SERENAR 35mmf3.5 Kodak Ektar100
EPSON GT-X770でスキャン
西新宿のビル街と東京都議会議事堂前の広場。なかなかシャープです。エクターのコントラストの高さと優れた粒状性による部分が大きいです。
ラチチュードも広い! ハイライトからシャドーまでザラつくような部分もなくしっかり描ききっています。
決して万全とは言えないオールドレンズでこの描写。さすがです。
50mmf1.8Iでもチェック。せっかくの大口径(と言ってもf1.8)、今回は開放付近の描写も。
Canon IVsb Canon 50mmf1.8I Kodak Ektar100
EPSON GT-X770でスキャン
Canon IVsb Canon 50mmf1.8I Kodak Ektar100
EPSON GT-X770でスキャン
Canon IVsb Canon 50mmf1.8I Kodak Ektar100
EPSON GT-X770でスキャン
ピントの来ている部分はシャープ、アウトフォーカスの部分はふわっとなめらかなボケ。スキャンするのが楽しくなるような結果です!
これもエクターの優れた粒状性の賜物です。
さらに!わたしがエクターをつかっていて「いいなあ」と思うのがモノクロに変換した時。
やわらかさとシャープさが調和した画像は私にとって「写真のよろこび」そのものです。
Canon IVsb SERENAR 35mmf3.5 Kodak Ektar100
EPSON GT-X770でスキャン
Canon IVsb Canon 50mmf1.8I Kodak Ektar100
EPSON GT-X770でスキャン
いかがでしょうか?
ISO100という感度では、400や800に比べれば、対応しきれない場面も多くなると思います。(薄暮、地下街などのスナップに使うのはちょっと厳しいです。)
しかしこの美しい仕上がりはほかのフィルムでは得がたいもの。
わたしにとってフィルム写真のよろこびを具現化してくれる貴重な存在です。
Canon IVsb Canon35mmf2.8(L) Kodak Ektar100
EPSON GT-X770でスキャン
Canon IVsb Canon50mmf1.8I(L) Kodak Ektar100
EPSON GT-X770でスキャン
Canon IVsb Canon35mmf2.8(L) Kodak Ektar100
EPSON GT-X770でスキャン
Canon IVsb Canon35mmf2.8(L) Kodak Ektar100
EPSON GT-X770でスキャン
Canon IVsb Canon50mmf1.8I(L) Kodak Ektar100
EPSON GT-X770でスキャン
そしてこのフィルムをスキャンしながら改めて思いました。
「フィルム写真は死なず、未だ消え去りもしない。」と。
一枚一枚と向かい合い、じっくりと作り上げてゆけるフィルム写真。
もはやわたしにとって、あわただしい日常のオアシスとして欠かせない存在です。
皆様もよかったらぜひ一度お試し下さい。