【タイムズフォト】スカイブラックをゲットせよ!ダークレスで赤外フィルムSFX200
ダークレス現像とのつきあいも早三ヶ月。
どんなフィルムでも現像してしまえそうな気分になっているEC営業部パウセカムイです。
ふつうはこれだけ続けたらそろそろ本格的にタンク現像へと進むべきところなのかもしれません。
しかし
1.写真はとにかくいっぱい撮りたい
2.撮ったフィルムはすぐに現像したい
3.しかし時間はない
こんなわたしには、細かい単位(1本づつ)で、短時間で結果の出るダークレス現像があまりにもフィット。
フィルム写真愛好者の正しい進化の道筋からは外れてしまっているのかもしれませんが
もうダークレスで行けるところまで行こうと思ってます!
というわけで今回もまた新たなフィルムにチャレンジです!
いろいろなモノクロフィルムを使ってきましたが今回のは一味違います!
フィルム売り場の片隅で見つけた漆黒のパッケージ。
今回取り上げるのはこの「イルフォードSFX200」というフィルム。
このフィルムを楽しむために必要なものはカメラ、レンズ、そしてオレンジ、レッドのフィルターです。
ここまで読んだらお分かりの方もいらっしゃいますよね。実はこのフィルムは「赤外フィルム」。
人間の目ではとらえることのできない赤外線域に近い光をも描く事ができるフィルムです。
目でとらえることのできないって、じゃあいったいどんな絵が撮れるの?
皆様はこんなモノクロ写真をご覧になったことはありませんでしょうか?
「良く晴れた日中と思われる風景写真。しかし本来グレーに描写されるはずなのになぜか真っ黒な空。
反対に陽のあたっている部分は真っ白に輝いている。」
この真っ黒な空こそが赤外写真の特徴の一つ。
雑誌で見て、どうしても自分の手で撮ってみたくなりました。
どんな場所で、どんな時に撮ったらいいのか?
どんなレンズを使ったらよいのか?
自分で現像できるのか?(ダークレスは使えるのか?)
わからない事だらけですが、「何とかなるなる!」の精神でやってみるしかありません。
「ゲット!スカイブラックキャンペーン(作戦)」開始です。
今回のカメラはVT-deluxe
おそらく出てくる、画角を変えずに段階露出をするという場面で、このカメラのトリガー巻上げが役に立つような気がします。
調べてみたところ赤外写真撮影にもっとも適したシーズンは真夏。今は冬の入口・・・。
「やはり晴天が良いだろうな」ということぐらいはわかります。
晴れ間を狙って撮影に。
とりあえずオレンジのフィルター(O1)を用意。
つけたり外したりしながら1本撮影。
あとはお得意の「ダークレス」現像。上手くいきますように・・・
おお!意外にも普通に現像できています。さすがは「ダークレス」
で、あこがれの「スカイブラック」は?勇んでスキャン。
フィルターを使っていないカットは・・・普通のモノクロ写真ですね。
しかしオレンジフィルターを使った写真は・・・来ましたスカイブラックです!
グレーから黒への美しいグラデーション。これが欲しかった!
左 Canon VT deluxe / Canon 35mmf1.8 イルフォードSFX200 フィルターなし
ダークレス現像(5分) EPSON GT-X770でスキャン
右 Canon VT deluxe / Canon 35mmf1.8 イルフォードSFX200 O1フィルター使用
EPSON GT-X770でスキャン
いろいろ試してみたところ、美しい「スカイブラック」を得るには順光が一番。
逆光だとコントラストの高い普通のモノクロ写真です。
そして露出はハイライトにあわせてそこからプラスマイナス1段で段階露出をかけます。
今回の条件だとマイナス1段くらいが好みです。
Canon VT deluxe / Canon 35mmf1.8 イルフォードSFX200 O1フィルター使用
ダークレス現像(5分) EPSON GT-X770でスキャン
Canon VT deluxe / Canon 35mmf1.8 イルフォードSFX200 O1フィルター使用
ダークレス現像(5分) EPSON GT-X770でスキャン
ここでこのSFX200というフィルムについて(わかる範囲で)もうちょっと詳しく。
このフィルムは普通のフィルムより広い範囲の光に反応するフィルムです。
光には波長というものがあります。
人間の目に見える範囲としては波長の短い「青紫」「青」から「緑」、「黄色」そして波長の長い「赤」。
普通のフィルムは大体この範囲の光を写すようにできています。
それに対してSFX200は、青紫、青、緑、黄、赤までは普通のフィルムと同じですが
そこから更に「赤」を超えた、人間の目では見にくい
「赤外線に近い域」の光まで反応するようにできています。
とはいえ普通のフィルムと同様の範囲もカバーしているので普通に撮ったのでは普通のモノクロフィルムとかわりません。
では赤外フィルムらしい写真を撮るにはどうしたら良いのか?
普通のフィルムと同様の範囲の光をカットしてしまえば良いようです。
具体的にはオレンジや赤のフィルターを使います。
そうすれば青紫、青や緑の波長をカットすることが出来ます。
黄色や赤、そして「赤外線域」の光だけをフィルムに届けることで赤外フィルムらしい写真になるのです。
「青く見える」範囲の光をカットし、写るのは黄色から赤、そしてその上の赤外線域。
よって写るものが何も存在しない青空は真黒に描写されるのです。
左 Canon VT deluxe / Canon 35mmf1.8 イルフォードSFX200 フィルターなし
ダークレス現像(5分) EPSON GT-X770でスキャン
右 Canon VT deluxe / Canon 35mmf1.8 イルフォードSFX200 O1フィルター使用
ダークレス現像(5分) EPSON GT-X770でスキャン
じつは「スカイブラック」のほかにも赤外写真特有の現象があります。
それは「スノー現象」という現象。
赤外フィルム上に最も強く描かれるのは赤外線を発している物体。
晴天の日中に撮った場合、青空が黒く描写されるのはそこに太陽からの赤外線を反射するものが何もないから。
反対に雲は赤外線を強く反射しているので真っ白に描写されます。
そして雲以外にも意外なものが真っ白に描写されます。それは植物の緑の葉。
植物の葉の中の光合成を行う細胞が非常によく赤外線を反射。
あたかも「樹氷」のように真白に描写されるのだそうです。
Canon VT deluxe / Canon 35mmf1.8 イルフォードSFX200 O1フィルター使用
ダークレス現像(5分) EPSON GT-X770でスキャン
もちろんこの「スノー現象」も撮ってみたい!
そう思って緑の葉をたくさんつけた木にもレンズを向けてみたのですが・・・どうも今一つな感じです。
こんな感じで赤外フィルムSFX200の1本目
「ゲット!スカイブラックキャンペーン(作戦)」
は一応「スカイブラック」をゲットして終了したのですが、
どうしても「スノー現象」が頭からはなれません。
ここでやめたら○○○がすたる!
2本目のSFX200を今度は7s&Nikkor H.C 5cmF2に装填。
そして今回はレッドフィルター(R2)を用意。
「ゲット!スノーホワイトキャンペーン(作戦)」開始です。
今回のレッドフィルターは前回使用のオレンジフィルターと比べ、通常フィルム感光域のうち、より広い範囲の光をカットする事が出来ます。
つまりオレンジフィルターでカットできるのが青紫、青、緑の波長の光だとすると、
レッドフィルターでは青紫、青、緑、黄色の光までカット!という感じ。
余計な光をカットすることによって赤外フィルムならではの感光域を強調する作戦です。
何としても「スノー現象」を撮りたかったわたしはお昼休みに新宿駅を通り越して反対側の新宿御苑まで遠征。
帰宅後のわずかな時間を狙って「ダークレス」現像。上手くいってますように・・。
乾燥がおわるのを待ちかね早速スキャンです!どうかな?
Canon 7s /Nikkor H.C5cmf2 イルフォードSFX200 R2フィルター使用
ダークレス現像(5分) EPSON GT-X770でスキャン
Canon 7s /Nikkor H.C5cmf2 イルフォードSFX200 R2フィルター使用
ダークレス現像(5分) EPSON GT-X770でスキャン
来ました!
御苑内の通路に覆いかぶさる木々。たしかに葉の部分が白く描写されています!
さらにほかのコマも樹氷のように白く輝く木々が。
「スノーホワイト」ゲットです!
不思議なのは「これは絶対白くなるだろー」と狙って撮った順光の引き気味の(青空と木々を配した)写真より、
木陰に入って撮った寄り気味の写真のほうに強く「スノー現象」が現れた事。
Canon 7s /Nikkor H.C5cmf2 イルフォードSFX200 R2フィルター使用
ダークレス現像(5分) EPSON GT-X770でスキャン
何故だろう・・。
木陰での写真は当然絞りを開け気味、引き気味の写真では絞り込み気味。
それが原因かもしれません。
Canon 7s /Nikkor H.C5cmf2 イルフォードSFX200 R2フィルター使用
ダークレス現像(5分) EPSON GT-X770でスキャン
Canon 7s /Nikkor H.C5cmf2 イルフォードSFX200 R2フィルター使用
ダークレス現像(5分) EPSON GT-X770でスキャン
Canon 7s /Nikkor H.C5cmf2 イルフォードSFX200 R2フィルター使用
ダークレス現像(5分)
EPSON GT-X770でスキャン
そして、やはりフィルターによるカット量の違いでかなり描写は変わるようです。
青空の描写にしても、
オレンジフィルターでのものが美しいグラデーションを見せていたのに対し、
レッドフィルターのそれは、より深い黒。
「リアルスカイブラック」という感じです。
フィルターを使わなければならない、
そのフィルターで減光される分露出を補正しなければならない、
赤外線描写を狙う場合はピント合わせ後「R」指標にずらさなければならない、
などお約束の多い赤外写真ですが、得られる効果は劇的なもの。
考えて撮れば面白い作品にも出来そうです。
赤外写真とレンジファインダー機の相性もなかなか。
どんなに暗いフィルターを使ってもファインダー像に影響はなく、自然に撮影できました。
また「ダークレス」の万能ぶりにも感心。(当たり前?)ますます手放せない存在になってきました。
個性豊かなフィルムたち。
使い慣れた愛機でもフィルムを入れ替えるだけで新たな世界が広がります。
フィルム写真は死なず、未だ消え去りもしない です!
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