【LEICA愛】 至高のレンズを、愛するライカで。
Kern Arau Macro-Switar 50mm
このレンズの名前にピンときた方は「LEICAに何の関係があるんだ?」と、首をかしげている事だろう。
それもそのはず。スイスのピニオン社が、かつて製造していた少数生産の高級一眼レフ、
ALPA(アルパ)に供給された標準レンズである。
色収差を補正したアポクロマート設計。そして名前の通り、1/3倍までの接写も可能なマクロレンズ。
製造したのは同じくスイスに拠点を置く光学メーカー、ケルン・アーラウ。
主にムービーカメラ用レンズを手がけており、ボレックスという8mm/16mmカメラにレンズを供給していた。
そんなメーカーが35mmスチルカメラ用として唯一、アルパに提供したレンズである。
とろける様なボケと圧倒的な解像感が同居する、なんとも筆舌に尽くし難い描写。
だが…その美しい描写を味わいたい古の愛好家たちを悩ませたのは、アルパというカメラの持つ特殊性だった。
巻き上げレバーが通常とは逆向きについていたり、構造上ファインダーが暗いモデルが存在したり。
慣れてしまえば、それもまた機械を弄る喜びにもなるのだが、速写に向かないカメラであるのは間違いが無かった。
現代のミラーレスカメラを利用したオールドレンズブームにも見られるように、
いつの時代も、より手軽に…親しみ深いカメラで好みの描写を楽しみたいという思いは同じ。
そして、たどり着いた結論が、ライカであった。
元々アルパの一部モデルに距離計連動方式が併用されていた事を利用して、
ライカの距離計に連動する仕組みを持ち、二重像でピントを合わせることが可能なマウントアダプターが、
その昔、とあるカメラショップの手により製作されたのである。
一部愛好家の間ではもてはやされたアイテムであったが、
時を経た現在、当時モノのマウントアダプターを探すのは大変困難を伴った。
純粋にライカを楽しんでいる者にとっては邪道とも言える行為ではあるが、
自分の中で最高と思えるレンズを、好きなボディで使えるのはこれ以上無い幸せ。
筆者もマクロスイターの描写に惹かれ、アルパというカメラを実際に使ってみて…
たどり着いた結論はやはり先人達と同じであった。
今ではライカ製レンズを差し置き、一番持ち出す機会が多いレンズである。
・・・・・
いかがでしたでしょうか。
「ド変態」という意見もあるとは思いますが、
「ライカにはこんな楽しみ方もあるんだ…」と、興味を持って頂けたら幸いです。
現在、マップカメラでは、 METABONES製 アルパ→ライカ Mマウントアダプターを扱っております。
距離計連動はアルパマウントの50mmレンズ(一部例外有)で可能です。
※ピント精度は各レンズの個体差により左右されますが、METABONES製のアダプターには調整用のシムも付属します。
詳細・ご注文は⇒コチラからどうぞ。
――ちなみに――
マクロスイターを作ったケルン社は、後に買収され、ライカの傘下に収まることになるのでした。
面白いですね。
(文責/写真:R.Hirokawa)