【Leica】今、M8という選択。
2006年12月15日に発売された「Leica M8」
初のデジタルM型ライカとしてデビューした当初、世のライカファンから疑問視されたのが、
ライカ判(現在の35㎜判)の始祖であるライカ製品でありながらフルサイズセンサーでは無い点。
しかし、それには理由がありました。
M型ライカはマウントから撮像面までの距離、フランジバックが他のカメラに比べて短いために、
レンズを通りセンサーへ入る“光の角度”が設計上の課題になったのです。
フィルム時代はなんら問題が無かった設計が、デジタル時代では撮影画像周辺の画質に直結します。
そこでKodakが開発したのが『KAF-10500』という名の新型センサー。
きつい角度でセンサーに光が入射しても、画像周辺部が良好な画質を保てるようにマイクロレンズをオフセット。
更にはローパスフィルターを搭載せず、ソフトウェアによりモアレを処理。
1030万画素というスペックだけ抜き出すと、今となっては古臭く感じるかもしれませんが、
Mマウントレンズ群に最適化された専用設計のセンサーは、驚くほどヌケが良く、鮮鋭な写真を出力してくれます。
後の「Leica M9」で達成されることになるフルサイズ化ですが、
M8ならではの“APS-H”というセンサーサイズを逆手に取った楽しみ方も、魅力の一つ。
APS-H相当のセンサーサイズは、装着したレンズを1.33倍の焦点距離へと変化させます。(例:35㎜→約46.55㎜相当)
即ち、球面Summilux35㎜といった所謂クセ玉の描写特性を保ったまま広角レンズではなく標準レンズとして使える、ということ。
愛してやまない描写のレンズが、もしも違う焦点距離で使えたら…
考えたことは、ありませんか?
そして、最高「1/8000秒」のシャッタースピードは唯一無二のもの。
M8以降、シャッターが静音化された為に、後継のM8.2~現行のM(typ240)では「1/4000秒」が最高速。
NDフィルターを使用せずとも、絞りを積極的に開けて撮影出来る為、レンズのボケ味を楽しみたい方に人気のポイントでもあります。
元気の良いシャッター音については否定的な意見も耳にしますが、M8ならではの利点を考えると些細な事ではないでしょうか。
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最後に・・・
以降のデジタルM型ライカでは改善された、M8/M8.2固有の問題。
「マゼンダ被り」についてお話しておかなければなりません。
M8/M8.2に使用されているCCDセンサーは、赤外線をカットするフィルターが極めて薄い設計。
その為、メーカーも当初は予期していなかった「マゼンダ被り」が発生します。
赤外線を吸収しやすい被写体…特に黒色の繊維を撮影すると、その部分だけマゼンダに色転びしてしまいます。
この問題に対応するため、余分な赤外線をカットする「UV/IRフィルター」をレンズの前に装着する必要があります。
少々面倒な性質を持っていますが、近年ではその特性を逆手にとり、M8/M8.2で赤外写真の撮影を楽しむ方も増えています。
一般的なデジタルカメラでは赤外写真用の特殊フィルターを装着すると撮影には三脚が必須ですが、
ある程度の環境であれば手持ちで撮影が可能なようです。
いわばクラッシック・デジタルカメラのカテゴリーに入りつつある「Leica M8」
今だからこそ、楽しんでみてはいかがでしょうか。