雨ときどき曇り、迷子の日
街でも木の葉は色づき、黄昏も徐々に
黄金色から朱みを帯びてまいりました。
皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、秋色を語った手前ではございますが
撮り貯めたモノクロフイルムが
ちょうど収穫時だったようなので
この度は豊穣祭のかわりとして
全篇白黒でお送りしたいと存じます。
またお付き合いいただけると幸いです。
どちらかというと日頃から
彩度飽和しきったようなフイルムが好みで
よく使っているのですが、
白と黒だけで仕上がった世界を
目の当たりにすると息をのむばかりです。
本日の予報は雨ときどきくもり。
ですがご生憎、雨もくもりも嫌いではありません。
ただ手がふさがるため傘は嫌いです。
雨を間を縫うように屋根下を伝って。
あるいはバスに揺られてのろのろと。
影を撮る。まさにこの一言。
色のない世界には、
まだ識らない事がこんなにもあると
私はただただ感嘆するばかりです。
撮れたものが写実的だったとして。
暗部の濃淡を噛みしめます。
撮れたものが抽象的だったとして。
明部の温度を感じとれます。
その空気と、その温度に。
その匂いと、その影に。
もしも今に泣きだしそうな空模様でしたら、
あなたもモノクロを愛機に詰めて
ご一緒に迷子になってみてはいかがでしょう。
さて、この度はここまで。またいつか。
今回使用したフイルム、レンズはこちら。
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