先日ニコンより、デジタル一眼レフカメラ「D6」の開発が発表されました。
発売時期、販売価格などの詳細は未定とされていますが、来年のオリンピックに向けて登場することは間違いないでしょう。
そんな楽しみなニュースですが、別の意味で驚きもありました。
昨年登場したフルサイズミラーレスのZシリーズ。
性能にこだわった「S-Lineレンズ」の相次ぐ投入により、ニコンの主軸はミラーレスに移行してしまったと感じていたからです。
思い出されるのは今から15年前。そうフィルム一眼レフカメラの「F6」の登場を聞いた時と似た感覚なのです。FもDも共に「6」というのも何かの縁なのでしょうか?
2004年10月22日に発売されたNikon F6。今では唯一の現行フィルム一眼レフAFカメラで、間も無く15年目を迎えるロングセラーモデルです。
当時のデジタルカメラはというと、コストパフォーマンスの高いD70が発売されたデジタルカメラの成長期。翌年1月には1240万画素のD2Xも登場し高画素化も一気に進んだ時代です。フィルムカメラの衰退の想像は容易で、F6の登場には誰もが驚きました。
と言いつつ、そのF6を手にしてしまうのですが…。
前置きが長くなりましたが、もうすぐ15歳の誕生日を迎えるF6を久しぶりに使ってみました。
いざ出掛けようと、防湿庫の扉を開けると悲しい出来事が…。
「レンズが無い!」
ここ数年、デジタルカメラしか使っていなかったので、そのシステムに合わせレンズも入れ替えてしまったのです。
所有レンズの大半が電磁絞り機構搭載の”Eタイプ(F6非対応)”になっていた中で、唯一残っていたのが高倍率ズームの「AF-S NIKKOR 28-300mm F3.5-5.6G ED VR」でした。
一見、アンバランスな組み合わせに見えますが、レンズを選ばないF6の握りやすいグリップと、ズーム幅の広い速写性から相性はバッチリ!使い勝手は最高でした。
撮影は近くのお寺で満開の彼岸花を撮影しました。
現像に出して数日後、今度はブログに掲載するため、フィルムから画像をデータ化する作業が待ってます。
最近はフィルムをデジタルカメラで撮影してデータ化する便利な「フィルムデジタイズアダプター ES-2」が発売されていますが、ここでデジタルカメラを使ってしまったら、「最初からデジタルカメラで良かった…」となってしまうので、ここはあえてフィルムスキャナーで取り込みます。
F6登場時の純正スキャナーの「Nikon SUPER COOLSCAN 5000 ED」(2003年11月発売)
添付のドライバーソフトは現OS(64bit)に非対応、既にサポートも終了しているため、スキャンソフト「VueScan 9」で使用しました。
Photoshop等に直接取り込めない不便さはありますが、ネガフィルムのプリセットも豊富に用意されており、使いやすいソフトです。
期限切れのフィルムでもちゃんと写っていてホッとしました。
焦点距離:180mm / 絞り:F5.6 / シャッタースピード:1/50秒 / 使用機材:Nikon F6 + AF-S 28-300mm F3.5-5.6G ED VR
F6は標準装備のマルチコントロールバックで、フィルムのコマ間に焦点距離やF値などの撮影設定の記録を残すことができます。
フィルム画像を振り返る際、これが本当に便利で、この機能があるからこそ未だ使い続けられていると言っても過言ではありません。
焦点距離:72mm / 絞り:F8 / シャッタースピード:1/13秒 / 使用機材:Nikon F6 + AF-S 28-300mm F3.5-5.6G ED VR
黄色や白い花も見られました。フィルムならではの独特なトーンがノスタルジーさを演出します。
焦点距離:300mm / 絞り:F6.3 / シャッタースピード:1/10秒 / 使用機材:Nikon F6 + AF-S 28-300mm F3.5-5.6G ED VR
彼岸花が密集する場所には入れないため、歩道から望遠で狙います。強力な手ぶれ補正と300mmの超望遠が大活躍です。
焦点距離:300mm / 絞り:F5.6 / シャッタースピード:1/60秒 / 使用機材:Nikon F6 + AF-S 28-300mm F3.5-5.6G ED VR
アゲハチョウが飛んでいたのでこれを狙うも、シャッター速度が追いつかず被写体ブレに。
デジタルカメラに慣れすぎてしまうと、高感度でシャッタースピードが稼げないのが唯一の弱点でしょうか。
焦点距離:170mm / 絞り:F5.6 / シャッタースピード:1/640秒 / 使用機材:Nikon F6 + AF-S 28-300mm F3.5-5.6G ED VR
コスモスも咲いていたので1枚。なかなか綺麗なボケ味です。
撮り直しが可能なデジタルカメラと比べ、1枚1枚が勝負のフィルムカメラで撮影すると36枚撮り1本でも十分な満足感が得られます。
写真の腕は別として、写りも上々。フィルム撮影の楽しさが十分に味わえました。
F6のカタログに書かれていた「その価値は時代を超えて、受け継がれて行く」のキャッチフレーズ。
15年経ったこれからも続くことでしょう。