【FUJIFILM】X-T3 meets 【CONTAX】Planar T* 50mm F1.4
2月も下旬を迎え、新宿にも梅の花が咲き始めました。
春の足音がすぐそこまで近づきつつある穏やかな気候が、カメラへの探究心や好奇心をくすぐります。
そこで今回は私の所有している数少ないオールドレンズを持ち出して、昨年末に丸の内界隈を散策した様子を僭越ながら紹介させていただきたいと思います。
↓今回使用した機材↓
【FUJIFILM】X-T3
【CONTAX】Planar T* 50mm F1.4
【K&F Concept】マウントアダプター ヤシカコンタックスレンズ/フジフイルムXボディ用 KF-CYX
丸の内仲通りでのワンショットです。
フィルムシミュレーションをクラシッククロームにし、この設定を基にフィルムライクな絵になるよう色調や階調を整えてみました。
また、グレインエフェクトを「強」に設定し粒状感を目立たせることで、よりフィルムを現像した時の雰囲気に近づけました。
こうした細かな絵作りをカメラ内で完結させられるのは、自社でフィルムを長年に渡り生産し続けている確かな誇りと、それに導かれた色再現へのこだわりによって生まれるFUJIFILMのカメラの恩恵によるものでしょう。
CONTAX Planar 50mm F1.4といえばオールドレンズの中でも銘玉として名を知られていますが、その魅力はなんといってもオールドレンズらしいピント面から滑らかに溶けるボケ味と、Carl Zeiss製のレンズらしい色乗りとコントラストをたたき出す描写力に加え、その場の空気感を余すことなく描き出してくれる表現力でしょう。
このカットでも緑の樹木や金属の壁面レリーフに柔らかな日差しが注がれ、冬場の暖かなひと時を見事に描き出しています。
ピント部分はキレキレといった印象ではなく、長時間見ていても疲れない程度の柔らかな描写をしつつ、プレートの立体感や金属の質感はしっかりと伝わってきます。
X-T3のセンサーはAPS-Cのため35mm換算で75mm相当の中望遠レンズになります。
中望遠レンズは主に85mmなどのポートレートレンズとして活用されていますが、こうした普段寄ることのできない標識などの被写体をグッと引き付け印象的に残すためのスナップでも多用することができます。
夕暮れ時のカフェ&バーのテラス席ですが、どこか寒々しい印象です。
太陽が沈み美しい月が顔を出す頃には屋外ストーブに灯がともされ、丸の内で仕事を終えた人々の談(暖)笑によって温かな空気に包まれるのでしょうか。そんな想像さえも掻き立ててくれる魅力がこのレンズには詰まっています。
いつの間にか写真を撮りながらウィンドウ・ショッピングを楽しんでいました。
これってウィンドウ??
いやいや、ファインダー越しに見ているからファインダー・ショッピングとでも命名しておくことにしましょう。
どうやら今期はニット系の服がトレンドなのか。差し色で暖色系の色合いも良さそう。などと思考を巡らせながらX-T3の高精細なファインダー越しに映し出される光景と向き合っていました。
夜の帳が下りはじめ、室内からの照明がビルの外壁を優しく包み込みました。
もうこんな時間なんだと思いながら、時間を惜しむように必死にシャッターを切っていました。
すっかりと日が暮れた丸の内。
街はシャンパンゴールドのイルミネーションに包まれ、その煌びやかな景色を写真に収めようとする人々で大変な賑わいをみせていました。
ふと、屋内に入ってみると外の煌びやかな喧騒とは異なり、ビジネスマンのささやかなひと時が目に留まりました。
どことなく寂しげな背中からその場の雰囲気までも映し出してしまうこのレンズの表現力に改めて驚かされた一枚となりました。
そして、非日常から日常の世界に引き戻されたかのような光景を目の当たりにした私は「無常」という言葉が脳裏から離れず、スナップ写真の本質とはこの「無常」を切り取るための一つの手段であるという事に改めて気づかされていました。
春の陽気が訪れる3月に入ると、カメラを片手に街の散策をする機会が増えていくことと思います。
皆様もこの機会に今まで手が出しづらく距離を置いていたオールドレンズの世界に足を踏み入れ、新しい表現の世界と出会ってみてはいかがでしょうか。
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