日録新卒カメラvol.6 ~argus C3~
「日録新卒カメラ」は、昨年の春に入社した新卒による短期連載ブログです。
マップカメラで働き始めてから早いものでもうすぐ1年。
入社前から大切に同じ機材を持ち続けている人。
初めて自分のカメラを購入した人。
システムがガラッと変わった人。
いろんなカメラをたくさん集めた人。
十人十色、様々なカメラへの向き合い方があった1年間です。
この連載では各々が持っている機材や、その機材で撮った写真をご紹介します。
本日担当させていただく私は、入社してからカメラを始めたピカピカの1年生。
入社したての頃はそれこそ、F値って何?ISO感度?と聞き返してしまうようなドのつくカメラ素人でした。
カメラ専門店にて仕事をさせて頂くわけですから、カメラを勉強せねばと、ミラーレスカメラからはじめ、コンパクトデジタルカメラ、
そしてフィルムカメラにたどり着きます。
そんな私が機械式のカメラが欲しいと探しに行った先で一目惚れしたカメラがこの「argus C3」でした。
ライカを模したカメラや独特の形の海外製のカメラがずらっと並ぶ中、一際目を引く四角いボディ。
なんだろうこのカメラは。そう思いつつも触りたくてうずうずしてしまうメカニカルな見た目。
初めてさわった時も、手元にやってきた時も、今現在も、手に持つだけで自分の気持ちをあげてくれる魅力的なカメラです。
このカメラ、実は独自のスクリューマウントでレンズ交換が可能です。
一番多くついているレンズはcoated cintar50mm F3.5。
そのほかは35mmのF4.5や100mmのF4.5がありますが、上の写真では35mm、それに対応した外付けのファインダーをつけています。
ファインダーはなんとこの一つで35mmと100mmの画角を見れる優れもの。
かぶせ式の窓をつけると画角が狭まり、100mm用ファインダーになります。そう、非常にシンプルなつくりです。
50mmを使う際は備え付けのファインダーでそのまま画角を見ることができます。
今回は35mmと50mmで撮影した写真を使用していますが、どちらもとてもよく映る。
細部の描写までパキッとしてくれるのが非常に特徴的です。
色の出方は35mmと50mmでそれぞれ雰囲気が違います。
35mmはフィルムの組み合わせによっては浅く、淡く。
50mmはしっかり、こってり。
標準50mmの方がどこかアメリカらしい写りに感じます。
はじめてこのカメラを持って出かけた日に撮った一枚。
彩度が高く、しっかりと色が乗っています。
ちゃんと写っているか不安になりながら、露出を変えて2度、シャッターを切りました。
この頃はまだ露出が分からず、人に尋ねたりデジタルカメラを露出計がわりに活用していました。
このころに比べれば少し、露出も分かってきましたが、ISO800のフィルムを入れるとすぐに分からず上を向いて考えてしまいます。
C3はレンジファインダー式のカメラなので、上下一致式の距離計が付いています。
ピント合わせのファインダーを覗いて、画角を見るために隣のファインダーを除きます。
逆光だと反射して距離計が少しだけ見づらくなりますがそれもまた、このカメラのかわいいチャームポイントです。
やはり古いレンズだと逆光時のフレアが気になってしまうものです。
どんな光が見れるのかと、あえて逆光で撮影してみました。
周りが柔らかくなりつつも、ピント面はしっかり描写してくれました。
描写、という言葉を使うと時々私自身出来ているのか不安になります。
もちろんカメラで像を映している訳ですから、写してはいるのでしょうけれど。
ちゃんと描けているのか、写すだけで終わっていないか。
それとも写真は写すだけでも、カメラとレンズに頼り切ってもいいのでしょうか。
私にはまだまだ分かりません。
1930年代後半から1960年代まで長く愛されたこのアメリカのカメラ。
大きなスペックは変わらず、見た目だけ少し形を変えてきたようです。
このC3は1/10~1/300までの速度でシャッターを切ることができます。
10分の1までのスローシャッターであれば切れるので少し暗いところでも撮影ができるのですが、
私のC3は1/20より遅く切ろうとすると機嫌が悪くなってしまいます。
現代のカメラを持っているとびっくりしてしまうくらい、シンプルなつくりのこのカメラ。
私はそんなところも好きで、本当は細部や中身まで見てもらいたいのですが、それはまた別の機会に。
早いものでこの「日録新卒カメラ」も明日で最後です。
明日はどんなカメラに出会えるでしょうか。ご期待ください。