マクロレンズの等倍撮影とは?
花や昆虫、料理やアクセアリーの撮影など、様々なシーンで活用されているマクロレンズ。
野外でのびのびと撮影ができない今、テーブルフォトを楽しもうとマクロレンズを検討されている方もいらっしゃるかと思います。
マクロレンズといえば一般的に「等倍撮影 」が出来るレンズを指しますが
そもそも等倍撮影(1:1)とはどのようなものなのでしょうか。
今回は等倍撮影についてフォーカスを当ててみたいと思います。
(※一部例外はありますが、一般的にはマクロレンズは無限遠にもピントが合いますので、通常の撮影に使用することも可能です)
等倍撮影ができるマクロレンズとは、おおざっぱに説明すると
最短撮影距離にてセンサーサイズと同じサイズの被写体を写真いっぱいに写せる性能
を有するレンズです。
例えばフルサイズセンサーの場合、センサーサイズは一般的に約36.0mm × 24.0mmですので
横幅36mmの被写体が画面いっぱいに映るイメージです。
分かり易いように、フルサイズセンサーを搭載したカメラにマクロレンズを装着し、定規を等倍撮影してみると
ちゃんと36mm弱まで画面いっぱいに撮影することが出来ました。
では、フルサイズセンサーより一回り小さいAPS-Cセンサーはどうなるかというと…
一般的なAPS-Cセンサーの場合は23.5mm × 15.7mmですので、同じように定規を撮影してみます。
横幅23.5mmまで画面いっぱいに撮影することが出来ました。
ここでお気づきの方もいるかと思いますが
センサーの小さいカメラに等倍レンズを装着すると、より大きく撮影する事が出来ます。
フルサイズのレンズをAPS-C機につけると、焦点距離が1.5倍されるのと同じ感覚です。
更にセンサーサイズが小さくなると、より一層拡大率が上がります。
先ほどのAPS-Cセンサーより一回り小さい、マイクロフォーサーズ規格のセンサーサイズは17.3mm × 13.0mmですので
横幅17mmまで画面いっぱいに撮影することが出来ました。
フルサイズだと36mmですので、マイクフォローサイズだと大体2倍拡大された写真になります。
Nikon 1シリーズのような1インチセンサー(横幅13.2mm)やPENTAX Qシリーズや一般的なコンパクトカメラの
1/2.3インチセンサー(横幅6.2mm)に等倍マクロレンズを装着すると、さらに拡大した画像を得ることが出来ます。
ちなみにオリンパスのカメラには一部デジタルテレコンが搭載されており、この機能を使うことで2倍に拡大できるので…
定規を撮影すると横幅8mmまで画面いっぱいに撮影することが可能となります。(E-M Mark III で撮影)
フルサイズの等倍の約4倍!肉眼では確認できない細かなキズも鮮明に確認できます。ここまでくると顕微鏡の世界です。
定規だけではいまいちイメージがつかめないと思いますので、ちょうど内径が36mmだった腕時計を撮影して並べてみました。
一覧にして比べてみると、センサーサイズが違うだけで写真の仕上がりが全く異なってくることが分かります。
マイクロフォーサズ + デジタルテレコンを使用すれば、肉眼では見ることが出来ない秒針の上にある小さなチリまでしっかりと描写されていました。
フルサイズセンサー機でも36mmまでの被写体であれば等倍で写すことが出来ますので、料理や花など被写体が比較的大きなものであればセンサーサイズを気にすることなく撮影できますし
本当に小さな部品や昆虫などの撮影では、マイクロフォーサーズのカメラを選ぶことでフルサイズより良好な結果が得られるかもしれません。
ちなみに一般的に売られているマクロは等倍(1:1)ですが、小型で軽量なハーフマクロ(1:2 = 0.5倍)というレンズも存在したり、マクロ機能付きの便利なズームレンズ(1:3~1:4 = 0.3~0.25倍が主流)も製品化されています。
(説明が遅くなりましたが、対表示は 実像:センサー ですので 1:1 =センサーに対して1/1倍 1:10 =センサーに対して1/10倍 という意味です)
そのほかにも、等倍を超えた2倍(2:1)マクロレンズや、LAOWAというメーカーからはピント合わせはマニュアルになりますが、フルサイズ対応で5倍(5:1)撮影に対応したマクロレンズ“25mm F2.8 2.5-5X ULTRA MACRO”があったりと、マクロレンズ一つにしても様々な種類が存在します。
マクロ撮影を行える機材は様々な種類があるので迷ってしまうことがありますが、撮影したい被写体を想像することで必要な機材が絞られてくるかと思います。
マクロ撮影は非常に奥が深く、肉眼では決して味わえない世界が広がっていますので、ぜひ一度マクロ撮影に挑戦してみてください。