ライカはレンズに名前を付けます。
エルマー、ヘクトール、ズマール、ズマロン、ズミクロン、ズミルックス、などなど。
今現在も生産されているレンズは基本的に、開放F値の値によって名前が決められています。
そのなかでもひときわ明るい、ノクティルックス(Noctilux)。
1966年に、初代「Noctilux 50mm 1.2」が発売され、伝説となりました。
手磨きの非球面レンズが採用されていたため総生産本数もごく少数…非常に貴重なレンズです。
そんなノクティルックス。
1976年に発売された第二世代では非球面レンズを使用しなかったにもかかわらず、開放F値は1.0まで明るくなりました。
先代を超える大口径化に伴い、ひとまわり大きくなっています。
M型に装着すると、レンズの大きさが際立ち、ボディが軽量コンパクトであるが故に、重心がレンズに寄ってしまいます。
(M5のような大柄なボディがその後も発売されていれば違ったかもしれません…。)
そこで、ようやく本題。
今回は優れたグリップ感を有する Leica SL2 で、Noctilux 50mm F1.0 を使ってみます。
純正マウントアダプターを使い装着します。
Mマウントレンズを付けているとは思えない存在感ですが、他のSLマウントレンズと比較すると、むしろ少しコンパクト。
1kgを超えるような重いレンズとの運用を想定しているので、グリップの持ちやすさや手にフィットする感じは流石のものです。
グリップ部の形状と外装が変更されているため、SL2はSLよりもホールド感が上がっています。
重さに関しては、やはりレンズ寄りに重量は感じるものの、持ちにくさやバランスが崩れるようなことはありません。
この組み合わせでの総重量は1.6kgほど。これだけの重量でも、右手だけで重量を支えて撮影することも容易です。
持ちやすさ、重さのバランス、取り回しの良さ。
M型ライカよりも大きくグリップがあるSL2なので使用感は予想通り、非常に使いやすいです。
そして、撮影の面でも便利なことが。
大口径のノクティルックス、開放での撮影はピント面の浅さが魅力であり、撮影の難しさでもあります。
レンジファインダーでF1.0 のごく狭いピント面を確実に捉えて撮影するのは至難の技。
二重像が完全に重なっていると思っていても、ほんの僅かにズレただけですぐにピントがズレてしまいます。
しかし、SL2であれば高精細なEVFを覗きながらフォーカスピーキング機能や拡大機能を使用でき、シビアなピント合わせもお手の物です。
また、メカニカルシャッターで1/8000秒の高速シャッターを使用でき、(電子シャッターの場合は1/40000)
ノクティルックスのような特別明るいレンズを、日中でも絞り開放で使用しやすい点もポイントです。
かつての写り、評価をそのまま使用できるのも素晴らしいことですが、
こうして現代技術と組み合わさる事で、当時より更に進化することが出来るのは感動すら覚えます。
現代のレンズをただマニュアルで使用しているかのような快適さでした。
レンズの特性上、解放での撮影は柔らかい描写になりますが、その中心はしっかりと芯を捉えています。
様々な種類のレンズを楽しめる時代
中でもライカMマウントは60年以上もの間、変わらずにあり続けています。
長い歴史を超え、ボディとレンズが出会える夢のようなマウントです。
ぜひいろいろな描写をお試しください。