【Nikon】可変式!?PCレンズの魅力に迫る
ニコンのラインナップの中にある「PCレンズ」というシリーズをご存じでしょうか?
PCはPerspective Controlの略で、シフトやティルト機能を使った「アオリ撮影」を行うためのレンズです。
恥ずかしながら、筆者は存在自体は知っていたものの使い方や使われる理由は存じ上げておりませんでした。
というわけで、今回は社内で「PCレンズマスター」の名を持つスタッフに
その撮影風景を見せてもらい、使用効果や撮影時に考えていることを教えてもらいました。
使用した機材は『Nikon PC-E Micro NIKKOR 85mm F2.8D』です。
ボディは『Nikon D850』をチョイス。
そもそも、アオリ撮影とは?というところからですがこちらの写真をご覧ください。
ボールペンの物撮りをしている所です。
適正露出にするため絞りをF4とやや開放気味にしましたが、被写界深度が浅くピントが一部分にしか合っていません。
一か所をクローズアップする撮影ならこれでも良いのですが、物撮りの場合は被写体全体にピントが合っていて欲しいものです。
ピントが全面に合うF13まで絞り込んでみました。
それでも拡大すると先端の部分はやや甘くなっているようですが、これ以上絞ると今度は回折現象が起こり画質が劣化します。
さらに、背景にもピントがしっかり合っているため被写体もややのっぺりとした印象を受けますね。
「絞りは開放のまま」「被写体全面にピントを合わせたい」という相対する条件。うむむ…一体どうすれば…
そんな時に活躍するのがPCレンズの「ティルト機構」です。
そうなのです!PCレンズはこのように鏡胴を曲げることが出来るのです!
するとどうなるか。光軸が傾きレンズから伸びているピント面が斜めになることで…
F4のままで全面にピントを合わせることが出来ました!
明るさが確保できているのもさることながら、背景がややボケることで被写体の立体感を損なわずに撮影出来ています。
このように、クロップなどせずに画面いっぱいに被写体を入れてピントの合った写真を撮るというのは
広告写真など、商品の形状を歪めずに撮りたい場面で重宝されているのです。
ピントが合う部分をコントロールできるということは、
逆にティルトすることで「ピント面が狭い写真」を撮影することが出来ます。
上の写真は被写体の樹木にピントを合わせた状態でさらにピント面を狭め、
通常ではありえないボケ感を出し、印象的な一枚に仕上げています。
もちろん、『 PC-E Micro NIKKOR 85mm F2.8D』はマクロレンズとしても一級品の実力を備えています。
反応の良いピントリングはMF時の微調整を容易にし、美しい近接撮影をサポート。
花弁の微細な模様さえも丁寧に描写しています。
こういったアオリ撮影は、一昔前ではプロ向け機材を前提とされていたのですが
PCレンズを始めとする各社のティルトシフトレンズの登場により、
一般にも普及し、いろんな方が愉しめるようになったとのことです。
近日中に、今回使用した『 PC-E Micro NIKKOR 85mm F2.8D』の作例を掲載したKasyapaを公開予定です。
そちらもぜひご覧ください。