【marumi】Filter’s Note ~Vol.2 ND for Still~
Filter’s Noteは、いつもより変化のある写真が撮りたい方や、現像には抵抗があるが写真にアクセントがつけたい方に向けて、マルミ光機(以下、marumi)の光学フィルターや角形フィルターを用いてその能力を紐解きながら、フィルターの重ね付けをメインに、様々な作例をできる限り紹介していきます。
第2回は、NDフィルターについてご紹介します。
今回もまずはNDフィルターというものを振り返っていきます。
!Main Note!~NDとは~
NDフィルターとは、レンズへ与える光の量を減らすフィルターです。
NDとは「Neutral Density」の略で、「Neutral」は「中立な」、「Density」は「濃度」といった意味です。
色の影響を与えずに光の量を減らします。
NDフィルターを使用することで、日中でも開放で人物撮影を行ったり、通常では白飛びしてしまう長時間露光の撮影では適正な明るさに調整することができます。
撮影状況に応じたNDを使用することで、現像では難しい表現を創ることが可能です。
!Plus Note!~NDの透過率~
NDフィルターには、透過率が存在します。
ND4、ND8、ND16というように、光を減らす量が定められています。数字が大きくなればなるほど、通す光の量を減らしていきます。
どのくらい減らすかどうかは、フィルターに書かれた数字で減光量が決定されます。
たとえば、ND4のフィルターを装着した場合は、装着していない時よりも1/4の量になります。従ってNDフィルターで光の量を減らした分、シャッター速度は4倍に遅く、絞りは2段分開くことができます。
実際の作例でもご覧いただきます。
Nikon D800 – AF-S NIKKOR 16-35mm F4 G ED VR
1/160 – F4 – ISO100 – 32mm
こちらが素の状態です。
ロケーションがとても良い場所なので、このまま手持ち撮影で富士山を拝めてもよいのは正直な感想ではあります。
しかしながら、若干ながら風が吹いている影響で、湖面の富士山の反射に波が立っている状態です。
Nikon Z6 – NIKKOR Z 14-30mm F4 S – marumi EXUS ND1000 – M100 – Hard GND8
20″ – F4 – ISO100 – 25.5mm
こちらがNDを使用した状態です。
NDフィルターを使用し、湖面の波を抑えることができ、いわゆるダイヤモンド富士を演出することができました。
また、グラデーションNDを使用することで、光を抑えたい一部分だけを抑えることもできます。グラデーションNDは後の!M100 Note!で紹介します。
SONY α7RIV – METABONES EF-E – Carl Zeiss Otus 55mm F1.4 ZE
1/30 – F8 – ISO1600
こちらもND無しの状態です。
こちらも躍動感を重視した絵ならこのままでもよいですが、水しぶきのない絵を求めるとなるとシャッタースピードを落とさなければならず、撮影環境によっては、最小ISO感度、最小絞りでも希望通りの絵にならない時があります。
SONY α7RIII – FE 70-200mm F2.8 GM OSS – EXUS ND4 – EXUS ND8
30″ – F11 – ISO100 – 70mm
こちらもNDを使用することで、カメラボディだけでは難しかった長時間露光も簡単に行うことができます。
また、減光効果強めのNDを装着すれば、ISOを上げたり、絞りを開けたりなど、撮影もより柔軟に行うことができます。
※減光効果が強すぎるとピントの位置をファインダー内で確認できない場合があります。
SONY α7RIII – FE 70-200mm F2.8 GM OSS | 30″ – F11 – ISO100 – 72mm|
EXUS CIRCULAR P.L MarkII – DHG Foggy SOFT – マグネットホルダー M100 – 100×100 ND16 – 100×100 Reverse GND8
30″ – F11 – ISO200 – 72mm
過去の記事にも掲載されているこちらの写真ですが、ソフトフィルターを併用することでより幻想的に創り出すことできます。また、こちらの写真は比較的ソフト効果が強めのフィルターを使用しておりますが、ソフト効果が強めのフィルターにするか、弱めのフィルターにするかで出てくる絵の印象はまた変わりますが、NDと特殊効果フィルターとの併用で、撮影の段階で現像したような写真づくりをすることができます。
また、こちらの写真をRAWで収めておけば、暗すぎた部分を起こしてあげたり、また明るくなりすぎた部分に関しては、マスクをかけて抑えてあげるなど、現像をされる方でもソフト効果をかけるなどの現像のひと手間を省くことができます。
Nikon Z6 – NIKKOR Z 14-30mm F4 – marumi EXUS ND1000
20″ – F8 – ISO100 – 30mm
静岡では有名な白糸の滝です。撮影日は快晴で撮影環境は快適でしたが、水量は少なめでした。
しかしながら、NDで長時間露光することによって、滝の水の動きを常に撮り続けているため、実際の目で見えている滝の水量よりもより多く撮ることができます。
!M100 Note!
marumiの角形フィルターはNDフィルターを最も得意としております。
このように、通常のNDだけでなく、グラデーションND(以下、GND)というように、様々な撮影環境に対応したNDフィルターを装着することができます。
通常のNDフィルターも装着可能で、マグネット機構になっているmarumiのM100は通常のNDの上からさらに、GNDを簡単にワンタッチで装着ができます。
このように、フィルターの種類が刻印されておりますので、急な取り出しにも迷うことなく探すことができます。
marumiのGNDは風景撮影の様々な状況で能力を発揮します。GNDを使用した作例もご覧ください。
Nikon Z6 – NIKKOR Z 14-30mm F4 S
marumi EXUS ND1000 – M100 – ND16 – Hard GND16
20″ – F5 – ISO100 – 30mm
先ほどの富士山の写真ですが、ご来光が本格的に顔を出し始めましたので、EXUS ND1000にさらにND16を重ね、ご来光と富士山を両方おさめることができました。
しかしながら、ご来光が写真右側に現れているので左側までには光が届かず暗くなってしまっています。
Nikon Z6 – NIKKOR Z 14-30mm F4 S
marumi EXUS ND1000 – M100 – ND16 – Soft GND8
20″ – F7.1 – ISO100 – 30mm
減光する境界線がよりハッキリしているHard GNDよりも緩やかなSoft GNDに切り替え、さらにM100の角度を斜めにすることで左側の減光を抑えることができました。marumiのM100は自由に回転させることができるため、GNDの活用はアイデア次第でいくらでもできます。
重ね付けはケラレの懸念はあるものの、画角をうまく調整することによって、撮影者がイメージする写真を作り出すことができます。
透過率が異なれば複数枚所持していても、損をしないのがNDフィルターの良いところです。
また、Vol.1でも取り上げたC-P.Lとの併用でよりクリエイティブな写真を撮影することができます。
是非とも、NDフィルターでフィルターワークの第一歩を踏んでみてはいかがでしょうか。
次回のVol.3では動画撮影向けの可変NDをご紹介します。
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