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本日もまた写真日和。七日目。

本日もまた写真日和。七日目。

毎年のように呟かれる「激動」をさらに一回り大きくしたような今年も、ちゃんとこんな季節がやってきて、
痒い目を擦って眺める景色はそんなに変わらず。霞がかった、いつもどおりの春。

久しぶりに更新してみようかとバックナンバーを確認してみたら、あっというまに1年が過ぎ去っていました。
もう、肩書は新人スタッフとも言えなければ、勿論、熟練には程遠く。

お久しぶりでございます。
手の中にカメラさえあれば、本日もまた写真日和。
暫し、お付き合いくださいませ。

Leica M2 + Hektor 135mm F4.5

 

今回使ったのはLeica M2 と、Hektor 135mm F4.5。
鏡胴が黒いものとシルバーのものがありますが、私のレンズはシルバーのオールクローム。
長いレンズの手元側にレザーが貼られていて可愛いレンズです。

レンジファインダーでは少々難しい望遠レンズ、ましてや、M2には135mmのフレームはありません。
「これくらい写るかな…?」と手探りでの撮影でしたが、そこそこ上手くいきましたのでご覧ください。

Leica M2 + Hektor 135mm F4.5

 

春、暖かさが増してきた、と言えば、なんだかそれだけで前向きな表現である気がします。
しかし、なんと言えばいいか、空気が感じられなくなってしまった寂しさを感じる瞬間があります。

たとえるならば、体温と同じくらいのぬるま湯に浸かっていると、まるでお湯が無いかのように感じる…みたいな、そんなかんじ。
冬は冷たい空気が、夏は暑い空気が、目に見えないまでも空間を埋めていたのが分かったのですが、中間のこの季節は何もなくなってしまう。
たとえば、空の上にほうり出されたような不安な気持ちも、近いかもしれません。

Leica M2 + Hektor 135mm F4.5

 

とはいえ、風は等しく花粉を運び、木々は芽吹き、体は少し動きやすい季節。
外に出て思い切り空気を吸い込めば、マスク越しといえども緑の匂いは強く香る。

カメラを片手にみっともないくしゃみをすれば、お散歩の準備は完了。
咲きはじめた花と、春の空気を冷やかしに行きます。

・・・

Leica M2 + Hektor 135mm F4.5

 

ついこの間まで欠かすことのできなかったコートはやや暑く感じ、川の縁に咲いた花々が不思議そうにこちらへ送る視線。
べつに、好きでこんな厚着をしているわけじゃあないよ、とレンズを向けて更に感じる、季節に乗り遅れた感じ。
そういえば、日ごろ外を出歩くのは通勤の朝と夜の比較的寒い時間ばかりであることを思い出して、少し寂しくもなるほどの暖かい日差し。

古いレンズであるにもかかわらず、色の乗りも良く、鼻につく臭みがあるわけでもない。
いつも50mmか35mmで「寄れない寄れない」と言っている1m付近の距離ですが、流石に135mmで見る1.5mではかなり近く感じます。
想像していたより使い勝手が良く恐れ入りました、惚れ込む人の気持ちが分かったような気がします。

Leica M2 + Hektor 135mm F4.5

 

足元の緑すらなんのその。
ファインダーを覗き込んで真下を見れば、丁度最短から少し遠いくらい。
ヘリコイドを限界まで回し切って自分が動かなければいけないような難しいピント合わせも必要ありませんでした。

描写される輪郭のディティールもなかなかのもので、浮き上がってくるようにすら見える葉の1枚が瑞々しい。
どこか別世界の地表を見ているような、日常を非日常に変える力を持っているようです。

Leica M2 + Hektor 135mm F4.5

Leica M2 + Hektor 135mm F4.5

 

天気の崩れがちなこの時期にしては、雲一つない快晴に恵まれた1日。
ここまで晴れてくれなくてもいいのに…体感で測る露出の判断が私の場合は少し鈍ります。
そんな日の偶然の産物は有難いもので、臆病に絞りすぎた桜も、間違えて開放で撮った花々も、良い雰囲気を醸し出します。

私の持っているヘクトールはレンズの中心部に引っかき傷があるせいか、光源と見まごうばかりの眩しいフレアがたまに出てきては一筆加えていかないと気が済まないようで、おかげ様でこの出来。
皮肉じゃなく、この落書きがとても気に入っています。

Leica M2 + Hektor 135mm F4.5

 

寒そうに風に揺れる花々。
まだ押入れにしまってしまうには早い、コートの前ボタンを閉めて落ち着く日暮れ。
少し空気の輪郭がはっきりとして、まだ自分は春にほうり出されたわけではないと感じるマジックアワー。

Leica M2 + Hektor 135mm F4.5

 

冬からの巣立ちはもう、目の前まで来ています。
喜ばしいやら、悲しいやら、切ないやらで忙しい3月ですが、どうかお体には気を付けて、花の下を駆け抜けてください。

それでは、また。

[ Category:Leica | 掲載日時:21年03月25日 18時52分 ]

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