各地で桜開花のニュースが聞こえてくる季節になりましたが、私の住む千葉県では県の花でもある菜の花が見頃を迎えています。
今回は菜の花の名所でもある「石神の菜の花畑(千葉県市原市)」へ出掛けてきました。
過去にも何度か訪れている小湊鐵道の沿線ですが、久しぶりのマニュアルフォーカスでの鉄道撮影に期待と不安が入り混じった新鮮な気持ちで向かいました。
旅の出発はJR内房線との接続駅の五井駅。1日乗車券とお弁当を買って列車に乗り込みます。
せっかくの1日乗車券なので、途中下車をしながら花畑を目指すことにしました。
まず最初に降りたのは「光風台駅」。駅到着前に渡った養老川の鉄橋からの見晴らしが良かったので、川の土手を目指します。
川にたどり着き周囲を見渡すと、鉄橋脇の斜面に沢山の菜の花が咲いているのが見えました。いざ足を伸ばしファインダーを覗いてみると想像より線路の位置が高く、また菜の花が影となり列車(線路)との距離がつかめません。試行錯誤しているところに列車が接近。慌ててシャッターを切るも案の定、撮影したカットは中途半端にピントを外していました。AFカメラだったら車両が見えてからでも余裕でピントが合うはずですが、未だ不慣れなレンジファインダー機。最初の不安が的中する寂しい結果となりました。
列車は約1時間に1本。同じ場所で止まると、目的地に着かなくなるのでここでの撮影は諦め先に進みます。
続いて降りたのは隣駅の「馬立駅」。駅から近い場所に沢山の菜の花が咲いていたので降りることにしました。
先ほどの失敗を引き摺らないためにも、早く成功カットが欲しかったのもありますが…
今回は線路とフラットな位置。予め枕木にピントに合わせ、列車がその場所に来たタイミングでシャッターる置きピンでの撮影です。
絞り開放にする勇気はありませんでしたが、まずは春らしいカットが撮れて一安心です。
先に進む列車まで少し時間が空いたので、五井駅で購入したお弁当をいただくことにしました。
一見、スーパーの惣菜売場で買ったかの様なお弁当ですが五井駅の構内、JRと小湊鐵道を結ぶ跨線橋で販売されている駅弁です。季節によってメニューが異なり、小湊鐵道に乗る楽しみの1つになっています。
今回のセレクトは春先が旬のあさりを使ったあさりめしと、お彼岸のおはぎです。あまりの安さに思わず2個買ってしまいました。
お腹一杯になったのと、列車の揺れの心地良さもあって、一気に「養老渓谷駅」へ。そこから徒歩で約15分。目的地の「石神の菜の花畑」に到着です。
今回、運良く新製品である「Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical VM」を借りることができたので、ここで新レンズを試してみます。
花畑の菜の花はまだ咲き始めで、広場の一角でしか咲いていませんでした。途中沿線で見た花は満開だっただけに、訪れるタイミングの難しさを改めて感じます。高台から花畑一面を望む撮影は諦め、花に近づき手前に広がるイメージで撮影することにしました。
角度を変えてもう1枚。やや周辺光量落ちが気になりますが、絞り開放からシャープな描写です。手前の菜の花も綺麗にボケ、大口径単焦点レンズならではの画が堪能できます。なにより走行中の車両の台車まで細かく捉えており、本レンズの解像力の高さが分かります。
駅に戻る途中、ちょうど目線の高さに咲く桜を見つけました。本レンズはレンジファインダー機の限界を超えた近接50cmでの接写が可能。ライブビュー機能を駆使して最短での撮影に挑戦しました。風で揺れる枝に苦戦しましたが、近接による大きなボケが得られました。
15時を過ぎるとだいぶ陽が傾き、花を照す色も黄色みを帯びてきます。養老渓谷駅のホームからは線路脇の菜の花がさらに眩しさを増して見えます。
レンジファインダー機とは言え、最高秒5コマの連写機能を有するM10-P。菜の花を背景にホームに入線する列車を良いタイミングで切り取ることができました。ピント合わせが上達すればあらゆるシーンで頼りになる素晴らしい相棒です。
そして流石はアポクロマートレンズ。光量がオーバー気味になっても色の滲みは感じられません。
折り返して「飯給駅」へ。
この駅は駅前に桜の木。さらにその下に田んぼが広がっており、田植えの頃には水面が水鏡になることで多くのカメラマンが訪れる有名なスポットです。今年は田んぼの水張りより早く桜が咲いてしまったため、水鏡のカットは断念。定番と違う位置から撮影することにしました。
線路脇の高台に登ると35mmでは少し画角が広くなりすぎたため、レンズをズミクロン50mmに交換。撮り比べて見ると、新しいレンズ(Voigtlander)の方がより透明感高く捉えているように感じます。一方でズミクロンはより落ち着いたトーンに。どちらのレンズにも良さがありレンズ選びの奥深さを感じます。
ホームに戻ると桜の下にライティング機材を発見。もう少し暗い時間帯ではライトアップも楽しめるとのこと。次は三脚持参で訪れたいものです。
五井駅に戻ってきました。
出発時、車庫からチラッと見えた色違いの車両が気になり見晴らしの良い跨線橋に登ってみると、左から3番目の線路にキハ40形が停まっているのが確認できました。
昨年、只見線や磐越西線で活躍していた車両が引退し新天地を求めて移籍してきたとの事。キハ40形といえば、昭和52年頃から製造され、北海道から九州まで幅広い地域で活躍している国鉄型ディーゼル車両です。
先日(3月13日)のダイヤ改正で特急踊り子号で活躍した185系が引退し、東京から国鉄型車両が姿を消したとして、ニュースでも取り上げられていましたが、一方で東京から約1時間の場所に、新車として国鉄型車両が復活しようとしています。
何色に塗装されるかまだ分かりませんが、のどかな沿線にきっと映えることでしょう。次に訪れるのが楽しみになりました。
久しぶりの鉄道写真。最初こそ躓きましたが、撮り終えて見ると久しぶりに満喫した気分。鉄道好きの間では「鉄分補給」ともいいます。これでコロナ疲れが解消すると嬉しいのですが…