【PENTAX】645Dで撮る自然光ポートレート
「中判デジタル機でポートレートを撮りたい……!!!」
当時、中判フィルム機のPENTAX 645Nを使用していた著者は、ふと思い立ち、保有するデジタルカメラ機材を全て売却し、
645Nと同一マウントの中判デジタルカメラ、PENTAX 645Dを購入致しました。
Kodak社製4000万画素のCCDを搭載したこちらのカメラは、常用ISO200~1000。連写速度は1.1コマ/秒。
オールマイティに活躍できるカメラとは中々言い難いカメラですが、フルサイズセンサーの1.7倍のセンサーサイズが
成せる解像感・立体感、それにより生まれる空気感は、他のカメラでは生み出せない特別な一枚を描いてくれます。
今回の写真は、今から約6年前、著者が645Dを購入して間もない頃に友人をモデルに撮影した写真となります。
外出時にはマスクをするのが当たり前になった昨今、このようなポートレートを撮影するのも一苦労。
マスクを外して外出することが出来る世の中に戻る事を切に願っております。
撮影では全ての写真でカスタムイメージ「ほのか」を使用しました。
彩度を抑えつつ、モデルの着物・髪色をより印象的な色合いに仕上げてくれました。
レンズはFA645 75mm F2.8を使用しました。中判フィルム機のPENTAX 645Nを購入した際にあわせて購入したレンズです。
1997年に発売されたレンズですが、今も現役で販売されているロングセラー商品です。
215gの軽量レンズは、バッテリー等を含めて1480gと重量感のある645Dを、携行できるカメラにしてくれます。
他のFA645レンズ群と比較してコントラストが弱く柔らかい描写が持ち味のこのレンズは、今回のカスタムイメージとも相性が良いです。
645Dのグリップは、縦構図の撮影でもしっかりとしたホールド感を与えてくれます。
35mm換算で59mm。中判フィルムでの画角(換算47mm)と比較すると少し窮屈ですが、ポートレートにはこのくらいの画角が丁度良く感じます。
被写体と距離をとりました。
大型センサーが生み出す立体感と自然なボケは、独特の空気感を与えてくれます。
二枚目の写真、背後に迫る波飛沫に少し怯える表情が印象的でした。
視野率98%のファインダーにナチュラルブライトマットのフォーカシングスクリーン、
深めのアイカップも相まってマニュアルフォーカスで使用した際も、ピントの山をつかみやすい印象です。
マニュアルレンズのA645も積極的に使いたいと思わせてくれます。
撮影の合間に何気なく撮った砂浜。
湿った砂や泡立つ波を質感までしっかりと描写してくれています。
ここまで描写してくれると、スナップにも積極的に持ち出したいと思ってしまいます。
左手にレフ版を持ち、片手で撮影。FA645 75mm F2.8のコンパクトさが、片手での撮影を可能にしてくれました。
逆光下の環境ではフレアやゴーストが発生しますが、意図的に扱う事ができれば、プラス要素として捉えられます。
2021年現在、FUJIFILMやPENTAXなどの中判デジタルカメラは、フルサイズカメラとの価格差もなくなってきました。
中でもPENTAX 645Dは中古価格で20万円代(2021年6月5日現在)で手が届き、レンズもフィルム時代からの
ペンタックス645マウントのレンズが比較的安価で手に入る為、他のカメラに比べて手頃に始められます。
APS-Cカメラからフルサイズカメラへの乗り換えを検討している皆様、
思い切ってもう一つ大きいセンサーサイズの中判デジタルカメラの世界へ足を踏み入れるのはいかがでしょうか。