日本のカメラメーカーを中心に連載している「カメラを愉しむ」シリーズですが、新たにライカ機材に特化した「カメラを愉しむ for ライカ」をスタート!
コンパクトカメラのライカは多数所有して参りましたが、レンジファインダー機は全くの初心者。恥ずかしながら電源を入れてファインダー像は見えているのに撮影した画像が何枚撮っても『真っ黒』故障しているのか・・・一眼レフやミラーレス機に慣れ親しんだ私は「レンズキャップ」を取り外していないだけでした。恥ずかしい。
そんな少し恥ずかしいエピソードを交え『LEICA M10と愉しむNight Snap!ズミクロン M50mm F2 沈胴』をご紹介いたします。
見た目こそ目立った傷も無く、鏡胴デザインも洗練されているので年代は感じさせませんが、あの名機「LEICA M3」と共に発売されたレンズ。
という事は1954年、人間の年齢に例えれば「67歳」という事になります。まさに美魔女・・・年齢不詳です。
今回使用した個体はレンズの周辺部分に劣化が生じていましたが、光源などを撮影しても特に違和感は感じませんでした。
67年前にこの様な描写をするレンズが存在したことにも驚きますが、もしこのレンズが「新製品」としてこの描写で発売されたとしても誰もが納得する写りでしょう。
優しさの中にもしっかりと芯のある写り。近頃の「バッキバキ」シャープなレンズが多いため、このような描写がとても嬉しく感じます。
慣れないレンジファインダーの2重像に戸惑いを感じながら、ピントを詰めてゆくのもまた面白いですね!
赤い色の表現は、各メーカーによりとても大きな差がでると感じています。ド派手な赤になるメーカー、朱色っぽく表現するメーカー、そしてライカのように見たままの赤を表現できるメーカー。それぞれの個性が愛機を1つのメーカーに絞り込めない優柔不断な私です。
絞りは開放ですが、ライカを使っていると実感するのはこのような被写体を撮影した時に「のっぺり」しないことです。普通であれば解像感が優秀なレンズだと全体にシャープで、渦巻きの中心部分から周辺にかけて同じ距離感に感じてしまうものです。やはりライカのレンズは中心部分がしっかりと立体的に浮き上がって見えるのは流石です。
撮ればとる程、もう心が惹きつけられるこの感覚。これはもう「恋」ですね。
立体感を感じる被写体を撮りたくなります。レザーシューズのテカテカと輝く美しさ。
少し湾曲しているショーウィンドウ。「ー」の部分から湾曲しているのですが、写りはどうでしょう。
夜風になびくラベンダー。少し低めの色温度がクールな印象です。
マネキンではなくターコイズブルーの布生地にピントをもってゆきました。前ボケの少し滲んだ雰囲気にオールドレンズのテイストを感じます。
傘の写真。ではなく、狙いはライカで撮影する自撮りです。傘の受け骨に自分の顔を合わせてライカシルエットを引き立たせました。
線の細い被写体。料理の上の「糸唐辛子」など撮影してみたいですが、接写は苦手な子なのでそこはご愛敬。
ショーウィンドウとスポーツカー。撮影するカメラがドイツ製なら、やはり被写体も!「ポルシェ ケイマン GT4」モデル781になってから4気筒が主なラインナップになってしまいショックを受けていましたが、こちらのモデルのみ6気筒を積んでいます。乾いたマフラーサウンドとライカ M10のシャッター音のハーモニー。
私のパソコンに記録されている写真の8割はナイトスナップ。ネオンサインが輝く時間帯が私の時間です。
酉の市で賑わいをみせる有名な神社も、お祭りがないときはこのように神聖な空気感を漂わせています。
やはり写真は楽しい。そして適度な運動になる。「写真はスポーツだ!」といっても過言ではないでしょう。
67歳の人生の大先輩レンズと共に、家へと帰りましょう。最高の時間をありがとう。
ひとりごと【このレンズ、使い慣れた国産ミラーレス機で使っても面白そうだ・・・】
おわり。