ライカじゃないレンズと、つながる
2021年の夏、私たちMapCameraは27周年を迎えました。
これもひとえに、日頃ご愛顧いただいている皆様があってこそのこと、いつも本当にありがとうございます。
今年はマップカメラで働くスタッフ一人一人が、27周年にちなみ「○○と、つながる」というテーマでバトンを“(27)つな”ぐことに。
「屈指のカメラ好き」は数居れど、撮るもの、撮る目的は十人十色、否、百人百色とも言えるほどに多様であるはず。
夏休みを思い出すような思い出の毎日から、少しずつお時間を拝借いたしまして「カメラが人とモノを繋ぐ様」をご覧いただこうと思います。
ファインダー越しと表現される世界は隔たれているわけではなく「繋がっている」という事を実感していただけたのなら私たちも嬉しい限り。
個性派揃いの全45回、今夏のお供にどうぞ。
第28回「ライカじゃないレンズと、つながる」
ライカが好きです。
でも、ライカ以外も大好きです。
世の中には様々なカメラ好き、ライカ好きが居るかと思いますが、
私の話で言えば「ライカ用ではないレンズを、ライカで使うのが好きな人」という、少し面倒くさい人間です。
元は旧コンタックス(Contax I)に憧れてレンジファインダーを使い始めた私。
その想いはライカを手にした今も変わらず、もっぱら愛機にはライカ以外のレンズをつけている事が多いのです。
昔からライカ製ではないライカ互換マウントのレンズを「ノンライツレンズ」と呼んでいますが、
私の場合はそもそもライカ用ではないマウントのレンズを距離計連動のマウントアダプターを介して楽しんでいます。
写真のレンズはドイツのフォクトレンダー社が自社のレンジファインダーカメラ「プロミネント」用に作った『NOKTON 50mm F1.5』。現代のコシナ・フォクトレンダーが製造するNOKTONの元になったレンズです。
マウントは専用のプロミネントマウント。フォーカスはボディ側についたノブを回して行うため、レンズ側にピントリングはついておらず、絞り機構だけがあります。
それをライカで使うには、フォーカス用のヘリコイドが付いたアダプターで、なおかつ距離計連動しなくてはなりません。
所有しているのはHawks Factory製のマウントアダプター。ヘリコイドを回してもレンズが回転しないので見た目も操作も◎、ピント精度もバッチリです。
設計者であるアルブレヒト・ウィルヘルム・トロニエが自身の設計したXenonを越えるため、そしてツァイスのSonnar 5cm F1.5を越えるために作った「NOKTON 50mm F1.5」。もうこの話だけでお酒が飲めそうです。
ボケ味や解像感という言葉だけでは言い表せられない、独特の魅力を感じる描写。お気に入りの1本です。
続いては私の中で王道であるContax Cマウントレンズ。
以前はSonnarの方が出番が多かったのですが、最近は『Tessar 5cm F3.5』のナチュラルな描写が好みになりました。
マウントアダプターはAmedeo製の内爪50mm用のニッケル仕上げ。最短0.7m、ピントリングの回転方向もライカレンズと同じなので、他のレンズと併用しても違和感なく使用できます。
ノンコートレンズなので華やかさは無いですが、オールドツァイスらしい描写でしっとりとした味わい。
ちなみにTessarは、F2.8も持っていたり。
経緯はわかりませんが、このレンズが作られた頃にはまだ実用化されていないはずのコーティングのようなものが施されており、抜けがよくコントラストも高めの写りです。
最後は同じくContax Cマウント用なのですが、アダプターよりカプラーという呼び方が一般的かもしれません。内爪・外爪の両方のレンズを使うことができます。
私の所有しているものはメーカー品ではなく、ContaxコピーのKievからマウント部分を取り外し、ライカL39用に改造されたカプラーになります。
距離計連動もバッチリ。主に外爪レンズ用で使用しているのですが、今回はせっかくなのでKiev用の標準レンズ『Helios-103 53mm F1.8』を装着。
Kiev用としてはSonnarコピーのJupiterが有名ですが、こちらはBiotarコピーのHelios(ダブルガウス型)になります。
ロシアレンズを侮るなかれ、数千円で買えるレンズなのですがビックリするほど写ります。
いかがでしたでしょうか。今の時代オールドレンズはミラーレス機の方が気軽に使えるのですが、私の場合はライカで使うことにこだわりを持って楽しんでいます。距離計連動の専用アダプターを揃えたりとなかなかハードルが高いですが、その方が面白いですし、個人的にレンジファインダー用のオールドレンズはライカに付けたほうがカッコイイと思うのです。趣味だからこそ本当に好きな事ができるというもの。皆様もこだわりのカメラライフを楽しんでください。