【Leica】M8.2 CCD紀行 3
leicaで初めてのデジタルMボディである「M8」に搭載されたCCDセンサー。
センサーサイズはAPS-Hと、フルサイズより少し小さめ。
赤外線の影響を受けて色が被ってしまいやすいという特徴もありますが、私はすっかりこのセンサーが描く色に魅了されてしまいました。
今となっては修理もなかなか難しく、コンディションの良いものを手に入れようとすると至難の技ですが、チャンスがあればぜひ試してみてください。
今回はついに念願のUV/IRフィルターを手に入れたので、近所へテスト撮影を兼ねたお散歩へ行きました。
この怪しいマゼンタの反射、機能面も勿論ですがこれこそ機能美?と呼ぶべきかっこよさでしょうか。
私の愛用しているレンズ【エルマー 35mm F3.5】はフィルター径が19mm。
それだけでも入手困難だというのに、M8センサーでのみ必要となるUV/IRフィルターは長らく手に入れられませんでした。
約半年の期間を経てようやく入手。
第1回、第2回よりもナチュラルな色味で撮影できるはずです。いざ。
leica M8.2 + Elmar 3.5cm F3.5
気分によるものなのかもしれませんが、近所の空でさえ既に違って見えます。
ただ、全く個性が失われたのかというとそういうわけではなくCCDセンサー特有のコクのある塗りは健在です。
leica M8.2 + Elmar 3.5cm F3.5
近くの川原に到着。
人の多い時間を避けてきたので、こんなに明るくても時刻はもう夕方。
川遊びに一生懸命だった少年たちがちょうど引き上げ、辺りに満ちているのは川の流れる音と蝉の声だけ。
いつかの夏休みを思い出すような、少しもの悲しいような暑さに濁った空気。
アニメーションのようにつやつやと透明感のある夏ではない所がリアリティに溢れており、大変素晴らしい再現度です。
・・・
早いもので暦上ではもう立秋を過ぎ、実際ほんの少し秋の匂いがすることも。
撮影のためにぼうっと空を眺める時間がどうしても多くなりますが、そういえばトンボが多いような・・・
leica M8.2 + Elmar 3.5cm F3.5
虫が付いていたのでしょうか、ほとんどの葉っぱに味見をされているような穴が空いて日の光が差し込んでいます。
傾きはじめのこの時期の太陽は真昼間とは違ったエネルギーを感じ、地平に鋭角な分眩しさが倍増。
そんな環境の中でも荒れずに描いてくれたことが意外でなりません。
実際に撮影した時は目をまともに開けられるような状態ではないほどの西日。
きちんと露出を勘ぐって絞っていたとはいえ、このカメラに期待していた以上の成果です。
しかも、よく見ると太陽の周り以外は白飛びせずに描写できている様子、やるなあM8.2。
leica M8.2 + Elmar 3.5cm F3.5
眩んだ目をそのまま足元に向ければこちらにも青々とした緑。
直射日光の当たる箇所と「日陰になっている箇所、こんなにも露出差を感じる被写体ですが、そこはお得意の浅めコントラストで見事にカバーされています。この、明部も暗部も潰さない覚悟、を感じる写真に惚れているんです。
leica M8.2 + Elmar 3.5cm F3.5
大好きなこの季節の象徴、積乱雲。
本当はもっと輪郭がはっきりしていているものが好きですが、少し崩れ始めたものも何か訴えかけるようなものを感じます。
毎年たくさんの積乱雲に出会ってはいる筈なのになぜか写真が少ないのが悩み。
今年こそはできるだけ写真に残そうと奮闘中です。
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leica M8.2 + Elmar 3.5cm F3.5
最近では梅雨のような雨も続き、関東では気温が益々下がる日が増えています。
当たり前のように億劫で、汗を拭いながら歩く日々。
そんな日がもう数日もすれば、いや、地域によっては実はもうすでに、思い出になりつつあるかも知れません。
関東平野で鳴くセミが、夏の暮れを感じさせるメンバーに交代していくのが感じられます。
エアコンをつける頻度も下がりました。
まだ日の沈まない夕暮れに買い物から帰ると、乾いた優しい風がサンダルの素足を撫で、
宵には早い月を見た日には、もう十五夜の準備をしなくてはと心構えをするほど。
「月日が経つのは早い」その実感はあったものの、当然季節を楽しむ時間も短く感じてしまうのです。
悲しい体感速度を目の当たりにし、カメラ、そして写真の重要度がまた跳ね上がります。
いい口実ができました。
過ぎゆく愛すべきこのカメラで、残すべき1日を。
過ぎゆく愛すべきこの1日を、残すべきカメラで。
今日からの数日を、もう「残暑」と言ってしまうには勿体無い。
天候にはくれぐれも注意いただき、お楽しみくださいませ。