“コンパクトデジタルカメラ”と言うと、突起の少ないフラットなデザインでポケットにおさまるような重量200〜300g程度のカメラをイメージされる方が多いものと思います。
センサーサイズも1/2.3や1型、大きくてもAPS-Cセンサーまでの機種がほとんどです。
そんなコンパクトデジタルカメラですが、フルサイズセンサーを搭載している機種が存在するのをご存知でしょうか。
フルサイズのコンパクトデジタルカメラは現行機種ではSONYのRX1シリーズ、LeicaのQシリーズが販売されております。(2021年11月現在)
今回は両シリーズの中でも比較的価格帯の近いSONY Cyber-shot DSC-RX1RM2(以下RX1RM2)とLeica Q Typ116(以下Leica Q) を連れて街撮りスナップを楽しんできました。
(上) SONY Cyber-shot DSC-RX1RM2
(下) Leica Q Type116
RX1RM2のレンズはCarl Zeiss Sonnar 35mm F2、Leica QのレンズはSUMMILUX 28mm F1.7。どちらも描写力に妥協のない名レンズです。
画角の違いをご覧いただくために同じ場所から撮影致しました。28mmと35mm、皆様はどちらがお好きですか?
上記の写真はそれぞれの機種の開放F値(RX1RM2: F2/Leica Q: F1.7)で撮影致しました。ISOはいずれも2000です。
(上) SONY Cyber-shot DSC-RX1RM2
(下) Leica Q Type116
最短撮影距離はRX1RM2が14cmm (マクロ切り換えリング「0,2m-0,35m」時)、Leica Qが17cm (マクロモード使用時)。
いずれもスナップ撮影には十分なスペックですが、RX1RM2の方がしっかりと寄れます。
(上) SONY Cyber-shot DSC-RX1RM2
(下) Leica Q Type116
(上) SONY Cyber-shot DSC-RX1RM2
(下) Leica Q Type116
こうして比較してみると、発色やボケの違いが分かりやすいですね。
(上) SONY Cyber-shot DSC-RX1RM2
(下) Leica Q Type116
RX1RM2はDレンジオプティマイザーをオートにして撮影致しました。
上記写真の右下部の黒つぶれが抑えられ、草木の色がしっかりと写し出されています。
(上) SONY Cyber-shot DSC-RX1RM2
(下) Leica Q Type116
両機は電子ビューファインダーを搭載しており、今回は電子ビューファインダーを用いて撮影を行いました。
ドット数はRX1RM2が235.92万ドット、Leica Qが368万ドットとなっており、ドット数の差から上記のような遠景の草木にフォーカスをあてる際はLeica Qの方が心地良く感じますが、RX1RM2のファインダーも見やすく積極的に使用したくなります。
両機の総重量はRX1RM2が508g、Leica Qが640g。
一般的なコンパクトデジタルカメラの2倍もしくはそれ以上の重量があり、レンズも沈胴せずズボンのポケットにはなかなか入りません。このサイズ感をコンデジと称して良いものかと思う事もありますが、なにせ両機はフルサイズセンサーを搭載したカメラなのです。これ以上のコンパクトさを求めてはいけません。
「そんなにフルサイズが良いのであれば、一眼(レンズ交換式カメラ)でも良いのでは?」
おっしゃる通りです。
でもフルサイズコンデジにも大きな魅力があるのです。
1. 価格が安い
RX1RM2 ¥223,800
α7C + FE35mm F2.8 ZA ¥187,800 + 52,800 = ¥240,600
Leica Q ¥350,900
Leica M(Type 262) + ズミルックス M28mm F1.4 ASPH. ¥499,800 + ¥678,000 = ¥1,177,800
単純に比較できるようなものではない事、重々承知しております・・・。
RX1RM2についてはあまり大きな金額差ではありませんが、開放F2とF2.8の違いを考慮するとお得感があります。
Leica Qに至ってはLeica Q2の登場により中古相場も落ちており、一段とお買い得に感じられるかと思います。
(極論ですが、M型ライカを買ったらズミルックスがオマケでついてくるようなイメージでしょうか・・・)
※上記価格は全て当店の中古美品価格を参照しております。(2021年11月17日時点)
2. レンズ一体型設計による画質優位性
レンズ一体型設計により、レンズ・センサー・画像処理エンジンそれぞれを最適化して設計する事ができ、レンズの描写性能を最大限に活かす事が可能となります。
3. レンズ沼にはまらない
レンズ交換式カメラを保有する事で一番心配なのはレンズ沼。
「あのレンズも欲しい、このレンズも・・・」
物理的にレンズ交換を出来ない環境を作り出す事により、レンズ沼に陥る事を未然に防ぎます。
すでに沼にはまってしまった方への治療薬にもなるのではないでしょうか。
(当店スタッフとしては是非とも”レンズ沼”に陥っていただきたいのですが・・・)
新しいカメラやサブ機をご検討中の皆様、レンズ交換式の一眼レフカメラ・ミラーレスカメラも良いですが、
趣向を変えてフルサイズコンデジの世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。