連載中の「カメラを愉しむvol.51」は、『Carl Zeissの眼を持つコンパクトデジタルカメラ』をご紹介いたします。カールツァイスレンズという言葉をカメラ好きが耳にすると「色ノリ」がよく、「シャープ」で、「コントラストが高い」メリハリのある画を想像される方が多いのではないでしょうか。
カールツァイス党とでもいいましょうか、こよなく愛するファンが多いのも事実。私自身もツァイスの写りが好きだからCONTAXを買う。カールツァイスをオートフォーカスで使えるからSONY α7を購入したという経験があります。
本日ご紹介する1台は今から10年前。カールツァイスレンズを搭載し、当時では非常に大型であった1インチCMOSイメージセンサーをコンパクトカメラに搭載したことで話題となった初代「 SONY RX100」をご紹介します。
今でも鮮明に覚えています。当時はこだわりのコンパクトデジタルカメラといえば「RICOH GR DIGITAL」という方が多かった時代で今ほど高級コンパクトデジタルカメラの選択肢はなかった。そんな当時の最新機種 GR IVのセンサーサイズは1/1.7型CCD 総画素数約1040万画素だったことを考えると、1インチは本当に贅沢な選択肢でした。そこにカールツァイスブランドのレンズを搭載している訳ですから、発売日にはワクワクが止まらずシャッターを切る手がとまらなかったことを思い出します。
あれから10年、発売当初は日本製でしたが時代が進むにつれて途中から中国に製造国がかわり、昨年 2021年に生産終了となりました。これだけロングセラーとして君臨し続けたコンパクトデジタルカメラがあったでしょうか。そんな今では1万円台後半から手に入るというのも嬉しい驚き。その実力をご覧ください!
標準の設定ではスタンダードでもかなりコントラストと彩度が高い印象ですので、「彩度-1」「コントラスト-1」に調整し撮影しました。木の質感、そして枝いっぽんいっぽんを鮮明に写しだしています。
望遠側で撮影しても、一眼や単焦点のようにとろける様なボケ味までは難しいですが風景スナップにとても実用的な綺麗なボケ味がお愉しみいただけます。
広角から標準単焦点レンズを中心に撮影している筆者ですが、久しぶりにズームレンズを使うとついつい望遠域を多用したくなります。
一般的なコンパクトデジタルカメラでありがちな望遠側の滲みなどが非常に少なく、立体感ある描写が好印象です。
「やっぱツァイスだな」そう感じさせてくれるのは、このような金属的な被写体のディテールを表現したい時です。
意図的に「マイナス補正」してディテールを表現。夕暮れで光量の少ない状況でも雰囲気を損なうことなくノイズ感も自然です。
この様な状況ではメーカーによって、拡大した時に塗り絵のようにのっぺりとした写りになる場合がありますが、こちらの機種は適度な粒状感でシャープに写しだしています。
手前の青いネオンに照らされたウサギ、奥にはアンバーの灯り。
細かい事を気にせず、気の向くままにシャッターを切る事がとても愉しいカメラ。夕暮れ時でもその扱いやすさは変わりません。
カールツァイスレンズとライカレンズは、アンダー気味に調整すると重厚感のある独特な空気感を演出してくれます。
広角で夕日に照らされるビルと建設現場を撮影。
港区の路地裏、大人の街に突如現れるソフトクリーム。このギャップが好きです。
カメラを持っていなかったら気が付くこともないでしょう。風景に溶け込んだ不思議な光景もシャッターチャンスを逃しません。
少し身体が冷えてきたので、ドイツの高級車メルセデス・ベンツと港屋がコラボした「肉そば」をいただきます。沢山のネギと辛めのスープがとても美味しかったです。
身体もポカポカになってきたので、そろそろ帰ろうとすると甲高いサウンドを奏でながらマクラーレンが通過!価格は4000万円オーバーですので走るタワマンといったところでしょうか。
ポケットから「さっ」と取り出して、撮りたいものを自分の感性で表現することができます。
カフェでRX100を眺めながら至福の時、10年の年月を感じさせないこの素晴らしいカメラを多くの方に使っていただきたいと改めて感じました。まだRX100を使ったことが無いという方、この春の相棒に1台いかがでしょうか。
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