【Leica】Mを愉しむ ~M10シリーズを愉しむ~#9 Elmar L50mm F3.5 nickel
2月20日、MapCamera本館1階のLeica Boutique MapCamera Shinjuku は9周年を迎えることができました。これもひとえに皆様の厚いご愛顧があったればこそ、心より御礼申し上げます。
9周年を迎えるにあたって、今回ライカブティックでは「愉しむ」をコンセプトに様々なイベントをご用意いたしました。毎年ご好評いただいているスタッフによる連載ブログですが、今回は『Mを愉しむ』というテーマのもと、「M11でレンズを愉しむ」と「M10シリーズを愉しむ」という2本立てで進行させていただきます。
「M10シリーズを愉しむ」では、2017年1月発売のM10から2020年7月のM10-Rまで続くシリーズの名機たちを紹介します。厳しい眼を持つライカファン・カメラファンからも、常に驚きと称賛を持って迎えられてきたM10シリーズのカメラたち。マップカメラスタッフがその中からそれぞれ1台をチョイスし、まだまだ衰えることなく輝き続けるシリーズの魅力を熱くお届けします。
今こそ深遠なるライカの世界に…
「このレンズならもっと素敵な写真が撮れるのではないか」
最新の光学設計で作られたレンズであろうと80年前のオールドレンズであろうと、それを手にしようと思った時に全てのカメラレンズで思うことではないでしょうか。
その中でも私が取り上げるのはエルマーL50mm。戦前から戦後にかけて作られたライカを代表するレジェンドレンズです。
選んだ個体は戦前のニッケルエルマー。著名な写真家の多くが使用し、名作を生み出してきた伝説のレンズと言っても過言ではないでしょう。
ライカ沼にハマりだすともっと珍しいレンズや明るいレンズに目が行きがちですが、使用してみると見たままを写し出すストレートな描写に改めて心が打たれてしまいます。
「ライカレンズって何がすごいの?」と聞かれた時、私は「見えないものまで写る気がする」と答えています。
今や見たままを写し出すのはスマホでも十分綺麗に撮れます。でも自分が撮りたい写真はそうじゃない。写し出した被写体の感情や匂い、温度や空気感などをライカで撮った写真には感じるのです。
80年前に作られたレンズを通して見る世界は、目で見える世界とは少し違うと思うのです。
感覚的な話になってしまうのですが「そう思える写り」は何か感情の琴線に触れ、心に揺らぎが起きた証拠ではないかなと。
やっぱりエルマー。やっぱりライカ。
撮りたい写真は人それぞれだと思いますが、私のカメラに対する答えはライカでした。
便利や万能だけではない、このカメラとレンズで写真を撮りたいという気持ちが無いと自分が本当に好きな写真は一生撮れない気がするのです。
今回使用した個体のノブ裏番号は「6」。レンズを見る限り新エルマーに間違いはなさそうですが、シリアルはありません。
レンズは一度クリーニングに出されたのか、クリアで開放ピントの立ち方も良好でした。
カメラに付けた姿は文句なしにカッコイイ。これってすごく大事だと思うのです。カッコ悪いカメラは持ち歩きたい気持ちになりませんから、そうなると写真も生まれません。
初めての方はライカの描写を知るきっかけに、ベテランの方は初心に戻れるレンズだと思います。エルマーに始まりエルマーに終わる、ライカ使いなら1本は手元に置いておきたいレンズです。
ライカブティック9周年記念ブログ『Mを愉しむ』はこちらから。