連載中の「カメラを愉しむvol.58」は、『クラシッククロームであのお台場の名所を撮る』をご紹介します。
2022年3月の終わり、ただ見ることもなく流していたテレビから衝撃のニュースが聞こえてきました。それは東京の観光地でもあるお台場のとある名所が間もなく閉館してしまうということでした。今となってはお台場にほとんど足を運ぶ機会が無かった私ですが、1990年代後半から2000年代前半までの学生時代にはいろいろ楽しませてもらった思い出の場所。いわば『青春の1ページ』といっても過言ではないでしょう。
当時免許を取得したばかりの頃、メガウェブというトヨタの話題の自動車がズラリと並びコース試乗もできる夢の様な場所であったことを思い出します。あの頃並んでいた車はセルシオやクラウンマジェスタを筆頭に、スープラやセリカ、アルテッツァやヴィッツまで。クルマが好きな私の聖地的存在であったことを思い出します。
こちらの観覧車は今も現役でしたが、今年の夏に営業を終了してしまうそうです。
こちらは有名なライブ会場「Zepp Tokyo」の跡地。今年の頭に営業を終了して取り壊しが進められていました。こちらにも若かりし頃、両手に8本のペンライトを持って熱き仲間たちと夜を明かしたことを思い出します。
22年はとても長いようで、歳を重ねるにつれてあっという間に感じます。
クルマが停まっていないだけで、ここまで寂しい風景になってしまうのだなと感じます。少し前の写真になりますが、少し風景を比較してみましょう。
クラシックな街並みを再現した場所。そこにはその時代にマッチしたレストアされた綺麗なクルマたちが並んでいました。
クルマを愛する私だからそう感じるのか、やはり少し寂しい。
ここでしか見ることのできない、とても綺麗なクルマを眺めながら現代にはないその魅力に惹かれていたことを思い出します。
こちらも既に走り去ってしまったようです。きっとどこかで元気に走っているのでしょうね。
私は初めて VenusFort ヴィーナスフォートに来たのは、1999年の夏だったことを記憶しています。
当時は、とても斬新で凄い商業施設ができたんだなと子供ながら感動したことを覚えています。
今でもその美しさは変わっていない様に感じました。洗練された商業施設が全国各地にありますが、ここまで尖ったコンセプトの商業施設は中々見かけないです。
そして、上からしばらく噴水を眺めていました。「お父さんとお母さんが初めてデートに来た場所なんだよ!」と子供に話しているひともいれば、20代前半の大学生たちは初めて来たそうで「こんな凄い場所あったんだ!無くなっちゃうの勿体ないね」など色々な所から会話が聞こえてきます。
ふと振り返ってみれば、ここの施設が開業したころ筆者は「PHS」と「ポケベル」で友だちとはぐれた時に連絡を取っていました。PHSにはメール機能もカメラ機能も備わっていませんでしたので、当時愛用していた「Nikon F90X」というカメラで撮影していました。もちろん動画撮影も一眼レフカメラでは撮影できなかったので静止画のみです。あれから22年、この噴水のまわりではスマホやミラーレスカメラで写真や動画を撮影。連れとはぐれた時にはLINEで連絡。この噴水はずっとその光景を眺めて来たのだなと不思議な気持ちになりました。
最後の撮り収めは、私のお気に入りのレンズ七工匠とクラシッククロームの組み合わせで!その時の気分に合わせてフイルムシミュレーションを変更できるしあわせを実感しながら現代の便利さに感謝した不思議な時間でした。これから22年後の一眼カメラはいったいどのようになっているのか?AIが構図を決めてシャッターを切ってくれるのか?将来が楽しみです。