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縦横比を少し考えてみる。

縦横比を少し考えてみる。

写真の印象が大きく変わる要素の一つがアスペクト比(縦横比)。

フィルム時代から続く3:2、4:3、1:1、5:4、7:6など様々な比率がありますが、今回少し考えてみるのはそれ以外のお話。

不思議なことに、同じ写真でもアスペクト比が変わっただけで別物に見えてしまうのです。

例えば、この写真。

通常の3:2なら、「よくある写真」です。
 

ところが、写真を映画用ワイドスクリーンに使われているアスペクト比とほぼ同じ21:9にしてみると、映像的な印象へと変わります。
この21:9という数値は『SIGMA fp / fp L』で採用されている比率に習いました。ちなみにファームアップでdp Quattro、sd Quattroシリーズでも使用可能です。
 

さらに天地に黒を引いて、全体を16:9に。
「テレビで映画を観ている感じ」の映像的な印象に変わりました。
 

ついでに字幕も入れてみたり。
なんか映画の予告映像を切り出したような感じになりました。

そして、もう写真を見ている気持ちではないはずです。
 

そのほかのアスペクト比もご紹介。

【16:9】
映像的な比率といえば、こちらの方が馴染みがあると思います。
ほとんどのデジタルカメラで選ぶことができるので、気軽に雰囲気を変えられるアスペクト比です。
 

【65:24】
先に述べた21:9と似ていますが、こちらは生粋の写真用フォーマット。

1998年に登場した富士フイルム『TX-1』は本物のパノラマ写真が撮れると話題になりました。
多くのカメラが35mmフィルムの天地をトリミングして「パノラマ風」に見せているのに対し、なんと『TX-1』はフィルム開口部が横65mm・縦24mm、つまり横2枚分のフィルムを使ってパノラマ撮影ができるカメラでした。
そのアスペクト比をGFXシリーズでは引き継いでいるのですが、今回は『M10-P』で撮影した写真をPhotoShopで切り取りました。
 

【19.5:9】
やたらと縦に長いこの比率、何か分かりますか?
実は『iPhone X』から採用されている画面比率。最新の13もこのアスペクト比です。
 

【16:10】
これも普段は聞きなれない比率です。私は初めて使いました。
こちらは「WXGA」とも呼ばれるPC用モニターのアスペクト比なんだとか。
 

【1:1.618】
美術、デザインを学んできた方ならピンとくる比率。
そう、黄金比と呼ばれているフィボナッチ数列の縦横比です。

絵画用キャンバスのM、身近なもので例えるなら名刺の縦横比が近い数値です。

このフィボナッチ数列はモナリザを例に写真構図の本などでも出てきますが、「美しい構図のための比率」ではないという事は言っておきたいです。
葉脈の比率、身体の比率、DNAの螺旋の比率、自然界のありとあらゆる所にこのフィボナッチ数列の比率が存在しています。学生の頃にそれを初めて聞いて鳥肌が立ちました。
 

普段撮っている写真も、縦横比を変えるだけで大きく印象が変わります。
今回のように本来カメラの機能にはないアスペクト比も、編集ソフトで数値入力すればどのような比率も可能です。
RAW現像の際に遊んでみると新たな発見があるかもしれません。

 
 

[ Category:Carl Zeiss & Voigtlander etc. | 掲載日時:22年04月17日 12時00分 ]

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