【Leica】M3と歩む 1
突然ですが、Leica M3を購入しました。
いつかはライカ、今がその「いつか」になったというお話です。
私はダメな物が好きです。
「ダメ」と一口に言っても色々ありますが、直しても直しても壊れていく愛車や、どれだけ愛を持って接しても全く懐く気配がない近所の野良猫、毎朝ひっかかる赤信号など自分にとって都合の良くないものが好きなのかもしれません。
自分に都合が良いものは怖いですからね。いつ都合が悪くなるかと思うとおちおち愛せもしません。
少し話が逸れました。
私が手に入れた個体はダブルストローク(DS)や2回巻き上げと言われるタイプで、M3の中でも比較的早期の1台です。
だからという訳ではありませんが、様々な不具合があります。
私の3倍以上の時を経て人間で言えば還暦をとっくに迎え、色々な人の手を渡ってきた個体です。
不具合があって然るべきであり、不具合の1つもないようでは逆に怖いとまで思います。
そういったひとつひとつの不具合を確認し、それでもこの子なら良いかとお迎えしました。
他社にレンジファインダーを諦めレフ機を作らせるきっかけとなった美しいファインダー、スプリング式の柔らかな巻き上げ心地、コトリと落ちるようなシャッター音、全てが調和され1つの美の形として存在しているとさえ思います。
Kodak Proimage100,Leica M3,Voigtlander Heliar Classic 50mm F1.5
フィルムカメラのボディは言ってしまえばただのブラックボックス。写りに影響があるのはフィルムとレンズだけです。
それでもM型で撮りたい、そう思わせる操作感や哲学がぎゅっと詰まったM3で撮れることを嬉しく思います。
多少のコサイン誤差はご愛嬌。絞ってあげれば気になりません。
Kodak Proimage100,Leica M3,Voigtlander Heliar Classic 50mm F1.5
2回巻上の個体は巻上ロックレバーが破損していることが多く、もうほとんど修理することはできないそうです。
1回巻上に中身を入れ換えてやれば治せない事もないそうですが、1枚1枚撮る私のスタイルではさしたる問題でもないか、とそのままにしています。
フィルムらしい柔らかな質感と、雨とヘリアーのしっとりとした描写がお気に入りの1枚です。
Kodak Proimage100,Leica M3,Voigtlander Heliar Classic 50mm F1.5
M型フィルムの1/1000秒は約1/800秒程度。もちろん高速側や低速側に振る調整も可能ですが、内部に負担をかけないように調整するとこんな具合になるようです。
その為日中に開放で撮るなど夢のまた夢。なるべくISO感度の低いフィルムを入れて、曇りの日にようやく一段絞りで撮れるかどうかというところです。
この一枚は確かF4程度。開けようと思えばもう一段開けられたのですが、水流の躍動感を出したくて露出計とにらめっこをしたことを今でも覚えています。
Kodak Proimage100,Leica M3,Voigtlander Heliar Classic 50mm F1.5
レンジファインダーという特性上、海や地平線等の自然風景を苦手とするM型。もう大量のフィルムをこの子に費やしているのに、未だに現像からあがったらピントが全くあっていない写真がちらほらと出てきます。
スキャンをしながらあの時は何を考えて撮っていたんだっけ、と一人反省会がはじまることも。
日中首から提げれば光線引きを起こし、雑に巻き上げれば滑り、巻き上げレバーのロック不良で幻の3ストローク目まで巻ける私のM3。
使えば使うほど欠点を愛おしく感じ、この子となら楽しい写真生活を送れそうだなという確信を深めています。
まだまだ使いこなせてあげられませんが、ゆっくりのんびりM3と歩んでいこうと思います。