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梅雨の説明書 vol.14 雨の中の Leica M8.2 CCD紀行

梅雨の説明書 vol.14 雨の中の Leica M8.2 CCD紀行

徐々に梅雨明けが発表されています。梅雨のシーズンも終わりに近づいてまいりました。
とかくマイナスイメージの強い梅雨ですが、今年はここ数年よりも気分的に開放感もあり、外出の機会も多いのでは。
それならば、今年は梅雨を思う存分楽しんでみませんか。
マップカメラでは今回「梅雨の説明書」と題して、梅雨を徹底的に楽しむための情報を随時発信していきます。

是非マップカメラの「梅雨の説明書」をご参考に、楽しく素敵な梅雨をお過ごしください!!

・・・

今回は「Leica M8.2 CCD紀行」と題して現在連載しているブログの番外編も兼ねて、ご紹介します。

Leicaで初めてのデジタルMボディである「M8」に搭載されたCCDセンサー。
センサーサイズはAPS-Hと、フルサイズより少し小さめ。

赤外線の影響を受けて色が被ってしまいやすいという特徴もありますが、私はすっかりこのセンサーが描く色に魅了されてしまいました。
今となっては修理もなかなか難しく、コンディションの良いものを手に入れるのは至難の技ですが、チャンスがあればぜひ試してみてください。

色云々と言いつつ、今回はモノクロです。
CCDセンサーらしさを感じられる良い写真が揃いました。

使用したレンズは Leica Noctilux M50mm F1.2 ASPH.現在大人気の復刻版ノクティルックスです。ボディはいつものM8.2、正しい色を出せるかという意味では打率が低めですがその分一打が大きく、モノクロならそもそも問題なし。小雨の降る中、カメラ・レンズに最大限の注意を払いつつ都内の公園を濡れ歩きます。

ちなみにボディには「M8」とありますが「M8.2」で間違いありません。ボディ前面の表記は同じで、「M8.2」には赤マルのロゴの代わりに黒マルのロゴが付いています。じろじろ見まわしても大体真っ黒なのがお気に入りポイントです。

さて、まずなぜこんなに暗いのかというと、それは日中他の撮影に勤しんでいたという理由と、せっかく闇を写すレンズなのだから暗くなってから撮影してやろうという意気込みによるものです。最近、このカメラは個人的にノーファインダーの方が良いという結論に至ったのでほとんどの写真が目測です。極限まで暗い状態だったのでもちろんすべて開放F1.2で撮影しましたが意外と写してくれるものだと感心しました。ひょっとすると描写がやわらかいので「ジャスピンでもこんなもんか」と思い込んでいたのかも。

「ボケている」よりも、「滲んでいる」と言いたくなる湿った感じが雨に合います。
他にうまい表現が見当たらないのですが、後ボケは流石の歪み具合で、本来現行のレンズではお目にかかれないはずの世界観が飛び込んできます。こうも嫌な臭いを感じさせない特徴はそれを見るだけでもただならぬ拘りを思わせます。

いつも最短撮影距離が1mのレンズを使っているので、同じく最短が1mの本レンズは私にとっては得意中の得意分野。といいつつ外すときは盛大に外します。ぎゅっと手を伸ばしてなんとなく撮る松も、足元の花も、なんとなくでちゃんとピントが来てくれました。薄い合焦面が超高精細とは言えないこのセンサーの描写をより引き立ててくれているように思います。

そうですね、紫陽花は思い切り後ろに外しました。が、このレンズは前ボケが素敵です。だからよし。

両極端な音がある二枚。
手振れ、じゃあ失敗だ、そう吐き捨てるには勿体ない。足音も風の音も聞こえてくる写真。
静寂と雨音、雪の日+αみたいなオマケつきの静寂はモノクロで撮るのが相応しいでしょう。

空気が濁っていればいるほど、むしろその写真は艶を増すというか、「ああこれが好きだな」と心から感じさせてくれるレンズです。換算でだいたい65mmという少し目を凝らした画角も、その分少し削れたイメージサークルも、いい方向にばかり転んでいて本能的にずっと持っていたくなる組み合わせでした。

明るい、けど煩くない。
緩い、けど誤魔化さない。

カメラで写真を撮る行為における“ちょうどいい”のど真ん中に居座っているのではなく、どれもそこからおおきく離れた要素同士が上手にバランスを取り合って、総合的に見ればそれって結局重心が“ちょうどいい”にあるね、と、気付かされる経験です。すごい、これは。

バスは否が応でも画になります。
ゆらゆら揺れて、進んで、戻、りはしませんが、この機材がとても素敵なので、ちょっと、とまります。

それではまた。

「梅雨の説明書」バックナンバーはこちら

[ Category:Leica | 掲載日時:22年06月26日 18時20分 ]

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