通勤電車にゆられていると、制服姿の学生の姿が見えなくなっていることに気がつきました。
その代わりに家族や友達とお出かけを楽しんでいるような姿をよく目にするようになりました。
気がつかない間に夏休みになってしまっていました。
夏休み。いろいろな思い出があります。
部活で汗をかき、帰りにアイスを買って友達と食べたり。
家族で花火大会を見たり。
少し遠くに旅行に行ったり。
ダラダラ甲子園を一日眺めたり。
近所のお祭りに行ってわたあめを食べたり。
夏休みらしい動画を撮りに行こう。そう思い立ち、機材を持って出かけることにしました。
選んだ機材は、Leica SL2-SとアポズミクロンSL28mmF2 ASPH.です。
いつもの写真を少しだけ芸術的に写してくれるLeicaが今回はピッタリではないかと思ったからです。
選んだレンズはSL28mmです。SLレンズはどのレンズも立体感のあるはっきりする写りをします。全体的にMレンズと比べるとさっぱりしている印象です。
子どもの頃の夏休みは「広くて大きい」という思い出があるため広角レンズを選んでみました。
まずは動画をご覧ください。
ここからは動画から切り取った画像とともに振り返りたいと思います。
夏休みの象徴ともいえる入道雲を見つけたので、動画の始まりに最適だと思い撮影を始めました。
撮影していると車が通りかかり、もしかしたらお出かけに出かける家族なのかもしれないと思いました。
道のすぐ近くには水が流れていました。
草も風でそよぎ、アリもうろうろ歩いていました。
アリがちょこまか動いている様子をぼんやりと眺めていると、贅沢な時間の使い方だなあと思いました。
28mmはもう少し広すぎるイメージがありましたが、散漫となりすぎない画角なことに驚きました。
夏と言えばひまわり。ひまわりと言えば夏。
ひまわりが咲いている一帯があったので、これは夏休みらしいと思い撮影しました。
自然に囲まれた通学路を通う学生生活も良かったかもしれないと思いました。
部活帰りにアイスをなめながら友達とのんびり歩いて帰ったりするのでしょうか。
このカットは個人的にもお気に入りのカットですが、特にコンクリートの質感が良いなと思います。
Leicaがあると一回はコンクリートを撮りたくなります。ザラザラとしたコンクリートらしい質感の表現がすごいと思うからです。
これぞ「夏休み」のような風景です。
自転車であの一本道をまっすぐ走っていきたいです。
好きな映画の影響か、入道雲にまっすぐの道がなんとなく夏休みの象徴だと思っています。
そんなことを考えていると雲行きが怪しくなってきました。
手のひらに水滴を感じて急いでカメラと一緒に走ります。
SL2-Sは防塵防滴仕様となっているのである程度は雨にぬれても大丈夫ですが、やはり出来るだけ濡らしたくはありません。
移動して湖に向かうとさきほどの怪しげな雲は見る影もなく、すっかり晴れ間が戻ってきていました。
変わりやすい、と言えば秋の空ですが最近は夏の空もコロコロ変わるなあと思います。
この湖には白鳥がたくさんいて、人に馴れているのかこちらが近づいても逃げたりせずのほほんとしていました。
背景が少しボケてこれくらいの落ち着いたボケも良いなと思いました。
Leicaと一緒に夏休みを探してみました。
小さい頃から漠然と、一緒に話した他愛のないおしゃべりはいつか忘れてしまってもこの青空や景色は忘れないのだろうと思っていた記憶がいくつかあります。それは今回動画で撮影した青空や山に囲まれた景色などの風景です。
記憶をたどりながら子どもに戻って日が暮れるまで遊んでいましたが、あの頃と違って「そろそろ帰路につかないと明日に響くな」という思いが頭をかすめます。あの頃は親に怒られてしぶしぶ家に帰っていましたが、今は自分でストップできます。
現実に目を向けられるようになった、と言えば成長しているかのようですが、あの頃見えていた景色を私はまだ見ることができているのでしょうか。
それでもライカの描く夏休みは、私をたやすく少年時代に還してしまいました。
こんな夏も、いいかもしれない。
お小遣いが足りなくてあの頃の私には買えなかったラムネを2本、揺らしながらゆっくり帰路につきました。