ビシッと”写る”レンズなら国産の非球面レンズで良いではないですか。
そんな思いと共に、写りに癖があるレンズを愉しむ話です。
写すだけならスマホで良い。
その一歩先を求めるから機材に大枚を叩き、ああでもないこうでもないと言うのだと思います。
例えば「一歩先」とはスマホでは撮れない超広角だったり、超望遠だったり、マクロだったりします。
筆者の場合はたまたまそれが”甘さ”だったということです。
自分に甘く、他人に甘く、機材に甘く。
甘い生き方をしているうちに甘い機材が好きになってしまいました。
Leica M(typ240) + Leica Summar L50mm F2
どのような甘さが好きですか?
砂糖菓子の甘さも果物の甘さも脂の甘さも同じく”甘さ”。
一口に言っても色々あります。
周辺が回るのか、像が崩れているのか、ハイライトが滲むのか、周辺減光が大きいのか。
私は中央部を引き立てるように周辺の解像力が落ち、適度に滲む甘さが好きです。
ズマールは個体差が大きすぎて断言できませんが、私の個体はほどよく甘くほどよく締まった写りをしてくれます。
SONY α7RIII + Voigtlander Heliar Classic 50mm F1.5 VM
通勤路に椿が植えてあり、毎年冬の終わりには花が落ち切って地面だけ華やかになっています。
花は散り際と言いますが、落ちても尚地面で輝く花というのも粋だと思います。
ヘリアーは新品で買えるオールドレンズです。
絞りによって写りが大きく変わり、描写の幅が写真の楽しさを再確認させてくれます。
Leica M10 + Leica Summilux M35mm F1.4 2nd
クセ玉の王様、ズミルックス2ndもお気に入りの1本です。
1枚目はついつい綺麗に出たフレアに目が行ってしまいますが、左下の前ボケに綺麗なフレアと滲みがかかっているのもポイントが高いです。
このレンズを通して出てくる風景は写真というより絵画に近いように感じます。
2枚目は素直にハイライトを滲ませ、右下はコマ収差で輝いています。
上品さと我儘さを併せ持つ、間違いのない1本です。
Leica M(typ240) + Leica Summicron L50mm F2
甘さと写実性を両立したズミクロン1stです。
中央部の解像力と、周辺部の甘さの組み合わせが非常に好みです。
ボケはスムーズですが、その上に滲みが出ることで妖しさが増しています。
今日はシャキっとした写真を撮ろうという日は必ずこのズミクロンをつけています。
SONY α7RIII + Leica Thambar M90mm F2.2
最後は復活したソフトレンズ、タンバールです。
夜間にもかかわらず潤んだような描写。
ハイライトやシャドーに関係なくソフトさを全面に押し出してくる本レンズ、私にはまだ少し早いようです。
いつかこのレンズを使いこなせる時が来るのかな、来たらいいな。
そんな風に甘くこの話を締めさせていただきます。